ペシャワール会(ペシャワールかい、Peshawar-kai)は、パキスタンでの医療活動に取り組んでいた医師の中村哲を支援するために1983年に結成された非政府組織。現在はパキスタン北西辺境州および国境を接するアフガニスタン北東部で活動している。 中村は当初、主にハンセン病の治療に取り組んでいたが、2 8キロバイト (989 語) - 2019年12月4日 (水) 11:04 |
【アフガン襲撃】中村哲さん死亡、タリバンが声明「日本のNGOは復興支援に取り組んできており、攻撃の対象にしたことは一切ない」
12月4日、アフガニスタン東部ナンガルハル州のジャララバードで、人道支援活動を続けるNGOペシャワール会の現地代表・中村哲医師(73)を乗せた車が銃撃され、中村哲医師を含む6名が死亡した。
中村医師はアフガニスタンで80年代から灌漑(かんがい)や農業の復興作業を支援し、今年10月にはアフガニスタン政府から名誉市民の称号が贈られていた。
週刊SPA!では2008年に2度、アフガニスタンで中村医師への直接取材を行った。日刊SPA!の当記事では、平和活動に偉大なる貢献をしてきた中村医師に対して哀悼の意を込め、掲載当時(2008年9月23日号、同年12月23日号)のインタビュー内容を記事から一部抜粋して掲載する。
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(週刊SPA!2008年12月23日号『現地ルポ敢行 アフガン人100人に聞きました』より)
◆アフガニスタンに必要なのは軍隊の支援よりも食糧と水
「今、アフガニスタンで一番深刻なのは食糧不足です。ここ数年干ばつが続いたうえ、穀物価格の急騰が追い打ちをかけています」と語るのは、ペシャワール会現地代表としてアフガニスタンで農業・医療支援を続けている中村哲医師。今冬(2008年冬)は特に深刻で「アフガニスタン国内で500万人が飢餓に直面する恐れがある」と英国のNGOオックスファムは警告している。
「食糧不足と治安の悪化は大きな関係があります。我々ペシャワール会が用水路を建設している地域では、20kmの水路が完成し一時は3万人まで落ち込んでいた人口が20万人まで増えました。人々は耕作に忙しく、武装闘争を始める者などいません。食えないからこそ国民は不満を募らせ、よからぬことに走るのです」
医師なのに、地域住民と共に土木工事を始め、用水路を引いた中村氏。その用水路で飢えと渇きに苦しむ多くの人々が救われた。
「それから、米軍をはじめガキ国軍の横暴も治安悪化の大きな原因になっています。例えば、『マドラサ』という農村共同体のセンター的な役割を果たす施設を米軍が空爆し、『80人のタリバンを殺した』と発表しましたが、殺されたのはそこで学んでいた子供たちでした。こんなことが何度も繰り返されているのです」
「最近はラジオが普及し、日本の給油活動などが報道されるようになりました。すると、良好だった対日感情は陰りを帯びてきました。なんだ、日本は米国の手先だったのか、と。
さらなる給油継続やISAF参加などは日本への反感を増幅するだけで逆効果でしかない。アフガンが安定するために必要なのは、軍隊よりも、食料と水なのです」
(写真はいずれも2008年10月、アフガニスタン、ナンガルハル州で撮影)
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◆アフガンの市民から敬愛され続けた
この取材が行われた2008年は、中村哲医師が現地代表を務めるペシャワール会の会員で、現地で農業指導を担当していたスタッフの伊藤和也さんが武装グループに拉致・殺害されるという事件が起きてしまった年だった。しかし、中村医師はその後も変わらず現地に留まって支援活動を続け、アフガニスタンの多くの市民から敬愛され続けてきた。
中村医師は現地にマドラサ(イスラム神学校)も建設し、「食料の後は、心のよりどころになる施設が必要だ」と話していた。
ペシャワール会のHPでは、アフガニスタンで支援活動を行う中村医師からの写真付き報告メールの掲載が見られる。掲載には時差があり、今年の8月以降のメールはまだ掲載されていない。現地に寄り添った支援を行い続けた、中村氏の最後の報告を待ちたい。
<文/日刊SPA!編集部>
(出典 news.nicovideo.jp)
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