令和の社会・ニュース通信所

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    カテゴリ:国内 > 評論家



    ウクライナ情勢についての小泉悠氏の分析は的を射ていると感じました。現在、ウクライナに対する支援疲れが広がっている状況であり、それがトランプ再登板の可能性を高める要因になるのは興味深いです。2024年のウクライナ情勢は予断を許さないものとなりそうです。

    【写真・画像】 1枚目

     ウクライナへの各国の支援が新たな局面を迎えている。

    【映像】“支援疲れ”をプーチン大統領はどう見る?

     2023年8月から10月末に新たに表明された支援額は去年の同じ時期に比べておよそ9割減の約3300億円となり、ロシアによるウクライナ侵攻以来最低となった。

     EUは500ユーロ(約7.8兆円)の追加支援の採決を行ったがハンガリーが拒否権を発動。アメリカも610億ドル(8.7兆円)の追加予算が年内に可決しなかった。 

     “支援疲れ”とも言われるEUやアメリカの状況について東京大学 先端科学技術研究センター准教授の小泉悠氏に話を聞いた。

    【写真・画像】 2枚目

    ━━“支援疲れ”が現実になってきているのか?

     「現状、戦車や大砲といったハードウェアはおおむね引き渡し終わっているが、おそらく『弾』の不足が起こっている。ウクライナがもう一度反転攻勢をかけるには兆円単位の大規模な支援が必要だが、アメリカ・EUの状況をみると反撃のための予算は通っておらず、この先のウクライナについての見通しが立たない」

    ━━アメリカ国内におけるウクライナに対する関心は?

     「最近のアメリカの新聞を見ると、ウクライナ問題は一面では扱われず、パレスチナ問題のほうが関心が高い。国民による『ウクライナの問題も安全保障上の大問題だ』という合意がなければ議会でも話が通りにくくなるだろう。我々自身がこの問題をどう語り続けるか、という問題でもある。」

    ━━ウクライナロシアの問題の解決にはさらに時間がかかるのか?

     「4年目も見えていると思われる。支援の停滞もあり、来年ウクライナは守りに入らなければならず、ロシアの攻勢が続くだろう。すると来年で決着がつくと思えない」

    ━━ロシアプーチン大統領はこの状況をどう捉えているのか?

     「ロシアは軍事的な能力を有しており、苦しいと言われる経済もけっして破綻はしていない。あと1〜2年戦いを続けられる体力がある。反対に、時間かけているうちに西側からのウクライナ支援がだんだん低下、さらにアメリカについてはトランプ再登板で完全にゼロになる可能性もある。そうなると首都キーウを占拠する見込みも立ってくるため、今やめる理由はないだろう」

    ━━苦しい状況が続く中、ウクライナ国民のゼレンスキー大統領への信頼は揺らいでいないのか?

     「侵攻が始まった頃の『何がなんでもゼレンスキー支持しよう。みんなで大統領のもとに結集しよう』という熱意はだんだん冷めているが、何もかも投げ捨ててしまうと完全にロシアの言いなりになってしまう。ゼレンスキー大統領に対しての不満も出てきているが、国民の中で自制が働いているのでは」

    (『ABEMAヒルズ』より)

    ウクライナへの“支援疲れ”で「弾」が不足 “トランプ再登板”ならキーウ占拠の可能性も? 2024年のウクライナ情勢を東大先端研・小泉悠氏が分析


    (出典 news.nicovideo.jp)

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    経営学の専門家としての意見が非常に興味深いですね。政府が経済政策を見直し、国民がより豊かになるためのサポートをするべきなのかもしれません。ただ単に経済成長を追求するだけではなく、国民の生活満足度を高めることが大切なのかもしれません。

    上がらない給料、停滞する経済……。平成から令和にかけて、日本に住む人々の生活は日々苦しくなっていく。なぜ、平成以後の日本経済は突然失速してしまったのか?

    この問題に対して果敢に切り込んでいるのが、「東大史上初の経営学博士」で慶大准教授の岩尾俊兵氏による『日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか』(光文社)だ。本記事では本書の一部を抜粋・再構成して紹介する。

    ◆日米経済戦争の勝者だった日本の「政治的敗北」

    日本企業の経営は国際政治に翻弄されてきた。

    平成元年ごろまでの日本は、アメリカにとって、ソ連に次ぐ仮想敵国とさえ言われていた。もちろん、軍事的には戦後の日本はアメリカと同盟関係にあった。だが、戦後の日本企業の大躍進による日米貿易摩擦は、日米「経済戦争」と表現されるまでに高まっていたのである。

    しかも、この経済戦争において日本はアメリカに圧勝した。戦後数十年もの間、アメリカにとって最大の貿易赤字相手は日本であった。

    こうした状況をアメリカが見過ごすはずはない。アメリカ主導の「国際協調」によって、日本企業の競争力は何度も叩き潰されてきた。その代表的な例が、1985年のプラザ合意である。プラザ合意では、アメリカの呼びかけによって、イギリスフランス西ドイツ、日本は協調して円高・ドル安を目指すことに決まった。

    円高・ドル安は日本で生産活動をおこなう企業にとって、(海外部品調達費等以外の)国際的な生産コストの増加を意味し、輸出が不利になるためである。プラザ合意は日本企業潰し以外のなにものでもなかった。

    ◆“偽りの国際協調”の正体

    円高・ドル安によって当然ながら日本経済には打撃が見込まれる。しかし、日本政府は、アメリカ政府との関係改善や国際協調のために、喜んで円高・ドル安に協力した(岡本勉『1985年無条件降伏』光文社)。“偽りの国際協調”のために、日本政府が率先して日本企業と日本国民を貧乏にする道を選んだのである。

    こうして、プラザ合意前に1ドル240円ほどだった円相場はわずか1年で1ドル150円を切った。これは、日本企業の製品・サービスが国際的に1.6倍の値段になったに等しい。

    日本経済はこの急激な円高に耐えられなくなり、日本政府はプラザ合意から1年半ほどで円安への国際協調を呼びかけた(ルーブル合意)。しかし、プラザ合意において日本が歩み寄った国際協調をあざ笑うかのように、ルーブル合意は無視された。

    ◆円高とデフレが作った「世界一裕福なのに国内は貧乏な日本」

    当時も今も正しく認識されていないが、実は円高には副作用があった。一般には「円高メリット」と呼ばれている、海外向けに投資したら海外から輸入したり、海外で消費する際には有利だという状況がそれである。

    日本はプラザ合意後の円高・ドル安を是正できず、反対に円高で国際的に強くなった円で海外に投資したり、円高不況対策の金融緩和に乗じて国内の不動産や株や国債に投資したりした。これが後のバブルとその崩壊につながったわけである。

    しかし、これはメリットでも何でもない。

    日本国内のお金を吸い上げて海外にばら撒くわけだから、国内が貧しくなるのは当たり前である。円高に突入して以降、日本の対外純資産は32年間も世界一キープしているのがその証拠だ(財務省令和4年末現在本邦対外資産負債残高の概要』)。日本は国内にお金を回さず、世界に資産を持つという、「対外的には世界一裕福なのに国内的には貧乏な国」という矛盾した状況に自ら進んでいった。

    すなわち、円高とデフレによって円が強くなったことで、働かずにカネでカネを生むことが簡単にできるようになってしまった。それが「ヒトよりカネが大事」な投資思考が蔓延する原因となったと考えられる。

    ◆平成時代にカネ至上主義が覇権をにぎった理由

    こうして日本は「投資をするだけで製品・サービスを作らない国」に向けてひた走った。

    だが、「ヒトよりカネが大事」ならば、それを管理するヒトはコストでしかない。日本の労働者は、価値創造(=顧客をはじめとした社会に価値をもたらす経営の主眼)の主役という立場から、投資に付随するただの管理コストという立場に追いやられてしまったのである。

    しかも、デフレ下の経営では、実際にカネの価値が上がってしまった。そもそも、デフレの定義に「カネの価値が上がること」が含まれている。このとき、希少資源を集める会社が経営上も成功することは、経営学研究において何度も確かめられた事実である。

    そのため、希少資源となったカネに好かれる経営者、投資家受けのする経営者、生まれたときからカネに恵まれていた経営者が、経営上も成功してしまったのである。

    読者の皆様にとっても、「デフレ下の平成時代に名を挙げた経営者」のイメージは、大組織を作り上げる人間味あふれるリーダーというよりも、知名度のわりには何の仕事をしているのかよくわからない投資家的なリーダーという印象があるのではないだろうか。

    アメリカは「日本から学んだヒト重視の経営」にシフト

    これは、昭和の円安・インフレ期に台頭した経営リーダーが、松下幸之助や本田宗一郎のような他人から「オヤジと一緒に働きたい」と慕われるような人物だったのとは好対照をなす。

    ここまで述べてきたように、日本はインフレからデフレに大きく触れる中で、ヒトとカネの相対的な価値が入れ替わり、ヒト重視の経営思考からカネ重視の投資思考へと集団パニック的に移行してしまった。しかし、そもそも投資思考は大きな格差を生み日本の文化や制度と共存しえないものだった。だからこそ現代日本には多くの歪みが生まれているとも考えられよう。

    なお、過去の日本の「カネよりヒト」な経営の優位性はアメリカ大統領にも認識され、日本の経営思想を取り入れたアメリカ企業を大統領が直々に表彰するマルコムボルドリッチ国家品質賞が創設されたほどだ。

    さらに補足すれば、レーガン大統領はプラザ合意時の大統領であり、マルコムボルドリッチはレーガン大統領の右腕として円高・ドル安を強硬に主張した商務長官だ。アメリカは片方でプラザ合意や様々な協定で日本企業の成長の芽を摘みつつ、片方で日本企業の強みを冷静に取り入れていたわけである。

    TEXT/岩尾俊兵>

    【岩尾俊兵】
    慶應義塾大学商学部准教授。平成元年佐賀県生まれ、東京大学大学院経済学研究科マネジメント専攻博士課程修了、東京大学史上初の博士(経営学)を授与され、2021年より現職。第37回組織学会高宮賞著書部門、第22回日本生産管理学会賞理論書部門、第36回組織学会高宮賞論文部門受賞。近刊に『日本“式”経営の逆襲』(日本経済新聞出版)

    画像はイメージです


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    悲しい現実ですが、ガザ地区対テロ戦の構造は非常に複雑であり、解決策を見つけるのは困難ですね。繰り返される暴力行為は何とか止めるべきです。

    イスラエル軍の攻撃を受けたガザ地区南部のハンユニス。複雑なこの状況を収束させるには、長くて半年程度の時間は要すると予想される(写真:ロイター=共同)
    イスラエル軍の攻撃を受けたガザ地区南部のハンユニス。複雑なこの状況を収束させるには、長くて半年程度の時間は要すると予想される(写真:ロイター=共同)

    ウクライナ戦争勃発から世界の構図は激変し、真新しい『シン世界地図』が日々、作り変えられている。この連載ではその世界地図を、作家で元外務省主任分析官、同志社大学客員教授の佐藤優氏が、オシント(OSINT Open Source INTelligence:オープンソースインテリジェンス、公開されている情報)を駆使して探索していく!

    *  *  *

    ――ガザ地区でイスラエルハマスの激闘が続いています。

    佐藤 ウクライナ戦争が国家間戦争であるのに対して、この戦いは全く違います。ガザはパレスチナ自治政府の一地区で、実効支配をしているのがハマスというテロリスト集団です。イスラエルがガザ地区で遂行しているのはテロとの戦いです。

    そもそも枠組みが違うので、捕虜交換とかそういう話ではありません。ハマスに捕えられている民間人や兵士は、捕虜ではなく、あくまでも人質なんです。

    ――すると戦時に適用されるジュネーブ条約が一切、適用されない戦いということですか?

    佐藤 必ずしもそうではありません。どうしてかというと、ハマスベトナム戦争の時のべトコン(南ベトナム解放戦線)と同じ「交戦団体」としての地位は持っていると考えられるからです。だから、ジュネーブ条約は準用されます。この条約は普遍的な国際法の要素があるからです。

    ――では、もし白旗を掲げたハマスを即座に射殺するとどうなるんですか?

    佐藤 国際人道法違反ですね。

    ――これは困難で混乱する地上戦になります。

    佐藤 仮に皆殺し作戦みたいなことをすると、イスラエル軍の軍規が乱れ、本当に滅茶苦茶になるでしょう。

    ――兵士の気持ちが荒れてしまうのですか?

    佐藤 兵士の気持ちの面もあるでしょうし、軍隊ではなく暴力集団になってしまう。しかし、イスラエルはそのようなことをしません。

    ――やはり、相手がテロリストでも軍規を守った軍隊として戦わないとならないと。

    佐藤 ハマスイスラエル人の赤ん坊を焼き殺したり、首を切ったりして殺しています。なぜ殺しているかというとユダヤ人だからです。これはユダヤ人という属性に基づいた排除をしているわけですよね。

    なので、ハマス第二次世界大戦ナチスドイツと一緒です。ユダヤ人を絶滅させるってことをやっています。そういう人たちと共存できないというのが、イスラエルの理論なんです。

    ――だからイスラエルのネタニヤフ首相は、このガザ地区での戦闘を独立戦争以来の独立戦争だと言っているのですね。

    佐藤 その通りです。

    ――ヨーロッパ連合は10月27日に戦闘の一時停止を求めました。その内容は、イスラエルには国際法の範囲内で自衛権があることを強調する、ハマスには前提条件なしで全ての人質を即座に解放するよう呼びかける、というものです。

    佐藤 ハマスイスラエルという国家の存在を認めていません。自衛権とは国家間戦争で用いられる概念です。ですから、今回の紛争にはなじみません。むしろ、イスラエルの自衛権ではなくて、生存権を確保することが問題になっています。

    繰り返しますが、自衛権というのは、主権国家が他の主権国家によって侵害された場合に生じます。だから、テロリストとの間には自衛権は生じないというわけです。

    ――イスラエルハマスに対して徹底的にやりますか?

    佐藤 徹底的にやらざるを得ないですよね。

    ――佐藤さんは以前の連載で、今回の武力衝突は「短くて2週間、長くて半年」とおっしゃっていました。もっと長期間になるということですか?

    佐藤 いや、半年以内に終わるでしょう。ただし、ヒズボラが参戦してこなければ、の話です。

    ――レバノン南部にいるシーア派武装組織・ヒズボラは、すでにイスラエルと小規模戦闘をやっています。

    佐藤 米国は空母打撃部隊を二個、送っています。ヒズボラが動けば空爆するでしょう。ただ、空爆したとてヒズボラの攻撃は収まりません。しかし、米国は地上戦に入ることは内政上の理由でできません。

    そうなると怖いシナリオが想像できますよね。イスラエルはいま10万人の正規軍に、動員した35万人を足した兵力45万人を二分割して北部に対応しないとならなくなるわけですから。

    ――ガザ地区で苦戦するのと同時に、イスラエル自体がさらに危機に陥ります。

    佐藤 そうです。すると、イスラエル核保有国であるという要因を考慮せざるを得なくなります。ただし、ガザ地区で使えば地中海からの西風で死の灰が自国に降り注ぐので使いません。しかし、ヒズボラのいるレバノン南部ならどうでしょうか?

    ――地中海からの風は、シリアイラク北部、イランに吹いています。

    佐藤 南レバノンにはユダヤ人がいないから、イスラエル核兵器を使えますよね。

    ――それは怖いシナリオです......。

    佐藤 第二次世界大戦ナチスドイツ600万人のユダヤ人が殺されました。そのときのホロコーストを踏まえ、「全世界に同情されながら死に絶えるよりも、全世界を敵に回してでも戦い生き残る」。これがユダヤ人たちの基本的な考えです。

    ■ガザでの地上戦闘

    ――ガザでの地上戦は今後、どうなるのでしょうか?

    佐藤 それを解き明かすには、ウクライナ戦争でのバフムトの攻防戦を考えたらいいと思います。

    ――あちらは国家間の戦争ですよね?

    佐藤 そうです。ですが、なぜバフムト攻防戦で、ワグネルの囚人部隊が使われたのでしょうか。

    ――ロシア正規軍がやるとしこりが残るからですか?

    佐藤 違います。たとえば正規軍は、人間の盾を使っている建物があったらどうするとますか?

    ――爆撃して建物ごと破壊します。

    佐藤 そうです。正規軍だと建物ごと吹っ飛ばして終わりますよね。

    ――そうなります。

    佐藤 なぜなら、正規軍は敵を選別する訓練を受けていないからです。良民とテロリストを選別する訓練を受けているのは武装警察。すなわち、国内軍の仕事になります。

    ――ロシアワグネルは何故、そこに使われたのですか?

    佐藤 ワグネルは傭兵部隊で正規軍ではありません。発注者のオーダー通りに戦います。さらに、傭兵はいくら犠牲が出ようとも、良民と戦闘員を区別して戦闘員だけを始末しろという命令を受ければ、その通りに動きます。

    ――傭兵ならば、「建物ごと壊すことなく、突入して一部屋ずつクリアにしろ」と命令すれば、その通りやると?

    佐藤 そういうことです。バフムト(ロシア名ではアルチョーモフスク)は「ドネツク人民共和国」にあってロシア領です。なぜ皆殺しにできないかというと、バフムトにいるのはロシア国民だからです。だから、ロシアは傭兵部隊であるワグネルを使わざるを得なかったということです。正規軍は訓練を受けていないので、良民を保護できませんから。

    ――するとガザ地区には、領民であるイスラエル人は人質以外はいないのですか?

    佐藤 パレスチナ人がいますよ。

    ――避難しろと言われて南部に行かない、または行けないパレスチナ人はいます。イスラエル人ではないですが。

    佐藤 ガザ地区はイスラエルの占領下にあります。自治政府があるけど、独立国家ではありません。すると、そこの占領国家であるイスラエルは住民を守らないといけません。

    ハマステロリストですが、ガザにいるパレスチナ人はイスラエルが守らないとイスラエルの体制が保てません。アラブ人イスラム教徒だからと皆殺しにしてしまえば、イスラエル国内のキリスト教徒のアラブ人と、チェルケス人などのイスラム教徒たちの反発を受けます。チェルケス人はもともと北コーカサスに住んでいましたが、19世紀後半にロシア帝国の支配を嫌ってオスマン帝国に亡命した人たちです。

    「独立戦争以来の最大の危機」というのは、アラブユダヤという民族対立になることです。独立戦争では、キリスト教徒のアラブ人やチェルケス人たちはイスラエル側につきました。そこから完全な宗教対立にならなかったのは、チェルケス人がイスラム教徒だけどユダヤ人側についたからです。

    だから、イスラエルはその体を保たないとなりません。単純にトンネルにパンガーバスター地中貫通爆弾)をぶち込んで、皆殺しにするわけにはいかないのです。

    ――なんと複雑な!!

    佐藤 イスラエルはあくまで、パレスチナ人とテロリストハマスを選別して戦わないとならないのです。

    ――行くのはイスラエル軍ですよ。正規軍です。

    佐藤 そうです。しかし、イスラエル軍が他国の軍と違うのは、普段からテロ対策をやっている正規軍だということ。国内で良民とテロリストを分ける訓練をして、実際にやっています。

    ――佐藤さんは以前「ハマスは2割が戦闘員で、残り8割は一般人」とおっしゃっていました。

    佐藤 そうです。役人や医者、学校の先生にもハマスはいます。ハマスから完全に離脱していて中立的な立場になり、イスラエルに敵対しないならば見逃してもらえるでしょう。しかし、ハマスに協力するか抵抗するならば、民間人でも容赦なくイスラエル軍は殺します。そうしなければハマスというテロ組織を解体できないからです。

    ――ハマスに協力している人間は守るべきパレスチナ人ではない、ということですね。

    佐藤 テロリストです。『エルサレムアイヒマン』(みすず書房)という本を読めばわかります

    ――ナチスドイツ秘密警察・ゲシュタポのユダヤ人移送局長官ですね。戦後、アルゼンチンに逃亡していたのを、モサドが発見、確保し、イスラエルに移送された。

    佐藤 そのアイヒマンは裁判で罪を問われ、こういう趣旨のことを言いました。

    私は任務中にやった事は、直接命令してユダヤ人を殺した事もないし、自らの手で殺したこともない。私がユダヤ人の専門家として、具体的にナチスの中でやっていたのは、収容所にユダヤ人を送る列車のダイヤグラムを書いていた。そういう意味で、ダイヤグラムの専門家です。

    しかし、その釈明は成り立たないと言ったのが、ハンナ・アーレントです。アーレントは何と言ったかというと、政治は子供の砂場遊びではない。あなたたちが作り上げたシステムというのは、私たちがユダヤ人であるということを唯一の理由として、私たちを地上から抹消していいと考えた。あなたはそのシステムに加わった。こういうシステムの中にいる場合は、積極的に行動したとか、命令に服従したとかは、本質的な問題ではない。そのシステムの中で服従する事は、積極的に行為する事と同じなのだということです。

    そして、あなた方たちは、私たちがユダヤ人であるだけで、この世に存在してはいけないという価値観を持ち、それを実践した。それ故に、私たちは、貴方に地上に存在して欲しくない。これが貴方を死刑に追いやる唯一の理由だと言いました。

    今、世界がこのことを分かっているか、分かっていないか、なのです。世界がどう言おうと、イスラエルはこの理論で動くのです。この理論がユダヤ人を保全するには必要なんです。

    ――どのようにするのですか?

    佐藤 いろいろな理由があって、逃げられない人たちもいます。その中から、良民とテロリストを分けないといけません。イスラエルの指示に従って南に移動していれば完全に安全ですが、それ以外には、ひとりずつ精査することになるでしょう。

    ――その選別は、向こうから撃ってきたら......。

    佐藤 殺されます。武双抵抗をするものはハマスとみなされます。

    ――白旗を持って出てきた場合は?

    佐藤 本当の白旗かどうか吟味します。

    ――自爆がありますからね。

    佐藤 そうです。

    ――とても難しい戦闘になりますね。改めて、本当にイスラエルは多民族多宗教国家であることが分かりました。

    佐藤 そうです。だから、純粋なユダヤ人国家でもないのです。まず、シオニスト国家ということを認めて、その中で生きていく人たちを尊重するというのがイスラエルの基本原則です。

    パレスチナ人でイスラエルと共存を考えている人たちはいます。これは、イスラエルの生存権が認められることが大前提になります。ハマスというテロリスト集団に対する掃討作戦を国家間戦争の類と考えるから、分からなくなるんですよね。

    ――すると、やはりガザ地区は時間がかかりますね。

    佐藤 バフムトも一年かかりましたからね。ただ、ガザ地区は狭いし、投入される兵力は多く、イスラエル軍兵士はよく訓練されているので、長くても半年くらいだと思いますね。

    次回へ続く。次回の配信は11月17日を予定しています。

    取材・文/小峯隆生

    イスラエル軍の攻撃を受けたガザ地区南部のハンユニス。複雑なこの状況を収束させるには、長くて半年程度の時間は要すると予想される(写真:ロイター=共同)


    (出典 news.nicovideo.jp)

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    池上さんが岸田首相の「増税メガネ」というあだ名についてどう思うかは分かりませんが、一部の人々からは増税政策に対しての強い反発や不満の声が上がっていることは確かです。このあだ名がそれを象徴しているのかもしれません。

    Q 岸田首相についたあだ名が「増税メガネ」ってどう思いますか?

     ネット上でついた岸田首相の「増税メガネ」という呼び名ですが、先日は予算委員会でも「気になりますか?」と質問で言及されるなど、すっかり広まっている印象です。でも、岸田政権で増税はされていないのに、なぜこのようなあだ名が浸透したのでしょうか?(20代・女性・会社員

    A 「増税メガネ」という呼び方が本当にイヤなのでしょうね

     岸田首相財務省財政再建路線を支持する宏池会の出身ですから、内閣発足当初から「財務省の主張を取り入れて増税に踏み切るのだろう」と見られていました。そうしたら、防衛費を増額するためには将来的に増税が必要だと言い出したので、「やっぱり」という反応が強まっていました。

     その一方で、岸田首相は眼鏡にこだわりを持ち、外務大臣だった2015年には「第28回 日本メガネベストレッサー賞」の政界部門で受賞しています。高級な眼鏡を何種類も持っているようです。

     これに“注目”した人が「増税メガネ」と名付けたようです。岸田首相は、「なんと呼ばれても構わない」と強がっていますが、やはり堪えたのでしょうね。「増税どころか減税するぞ」と言い出したのです。

     景気対策やインフレ対策には一律の給付金の方が効果的だという指摘がある中でも「減税でいく」と主張しています。来年6月に実施という遅い対応になっても減税にこだわる。「増税メガネ」という呼び方が本当にイヤなのでしょうね。

    (池上 彰)

    10月27日の衆院予算委員会で立憲民主党の長妻昭政議員から「『増税メガネ』という言葉は気になりますか」と問われた岸田首相は、「色々な呼び方はあるものだなと思っております」と答えた ©文藝春秋


    (出典 news.nicovideo.jp)

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    いろいろあるようだ。

    モーリー・ロバートソン「挑発的ニッポン革命計画」一般市民の犠牲もいとわぬ苛烈な報復、そしてこれまでの「抑圧」がクローズアップされるにつれ、国際社会ではイスラエルへの風当たりが強くなりつつある。それでもイスラエル擁護の姿勢が際立つアメリカの「歴史」と「事情」を、『週刊プレイボーイ』で「挑発的ニッポン革命計画」を連載中の国際ジャーナリストモーリー・ロバートソン氏が解説します。

    * * *

    パレスチナ自治区・ガザ地区を実効支配するハマスイスラエルに仕掛けた大規模な襲撃テロは欧米社会にも大きな衝撃を与え、当初はイスラエルへの同情論、対ハマス強硬論がおおむね主流だったように思います。

    しかし、その後のイスラエルによる空爆が民間人の甚大な被害を生み、地上侵攻でさらなる犠牲が予想されること、そしてこれまでイスラエルパレスチナ人を長年抑圧してきたことから、次第にパレスチナへの同情論が勢いを増してきました。

    そんな中、アメリカイスラエルとの連帯を強調し、国連安全保障理事会や国連総会の決議でもイスラエル擁護の姿勢を際立たせ、逆風が強まっています。

    アメリカ政界や経済界の上層部にはユダヤ人が多く、ロビー団体も強力だ。だからアメリカは親イスラエルなのだ――。そんな解説を見聞きしたことのある人も多いでしょう。ただ、現実にはもっと複雑な事情が絡み合っています。

    アメリカに残る贖罪意識と「危機感」

    2000年前、ローマ帝国に王国を滅ぼされたユダヤ人たちは各地に離散し、迫害の歴史が始まりました。19世紀後半から20世紀初頭には、東欧のユダヤ人排斥(ポグロム)から逃れる形で多くのユダヤ人が新天地アメリカに渡ります。

    その後、欧州でナチスドイツユダヤ人を苛烈に弾圧し、ホロコーストの悲劇にまで至ったことは日本でも広く知られています。

    こうした背景から、ドイツをはじめ欧州社会にはユダヤ人に対する贖罪意識が今も残り、一方アメリカではナチスを倒し、ユダヤ人を救って民主主義を守ったことが誇らしく語り継がれています。うがった見方をすれば、第2次世界大戦アメリカが「絶対的な正義」を主張できる最後の戦争でもあったのです。

    補足すれば、その後のベトナム戦争は国民世論を二分し、最後は敗北に等しい撤退。イラク戦争については「2001年同時多発テロショック脊髄反射的に攻撃しただけの戦争。そもそも根拠がなく、ひたすら残酷なものだった」と見る人と、「イスラム原理主義のテロに対する正当な防衛だった」と見る人との間で深い分断が生じています。

    1948年アメリカユダヤ人国家イスラエル建国に大きな役割を果たし、直後に勃発した第1次中東戦争でもイスラエルを支援しました。以来、アメリカにとってイスラエルは、外交戦略的には「中東に民主主義をもたらす要」「反米勢力が中東を牛耳らないようにするための要塞」として、重要な友好国であり続けています。

    しかし、実はそのアメリカでも、1920年代には強い反ユダヤ主義が優生思想と合体する形で唱えられ、極右団体、白人至上主義団体はユダヤ陰謀論を広めるようになります(それが欧州へ〝伝播〟し、ナチズムに影響を与えたとの説もあります)。

    やがて国内の経済問題まで反ユダヤ思想に結びつけられ、第2次世界大戦期にはナチスに迫害されたユダヤ人難民の受け入れを渋ったこともありました。その反省や贖罪意識、さらにはアメリカ社会の各階層に残留する反ユダヤ主義への危機感もあり、戦後アメリカメディアや知識人はイスラエルを批判することに抑制的で、慎重です。

    ウクライナルーツを持つユダヤアメリカノーム・チョムスキーなど、一部のリベラルな知識人たちはイスラエルの罪に言及し続けていますが、それがマジョリティに響かないのは、こういった言説はともすれば反ユダヤ主義やユダヤ陰謀論を展開する人々に利用されかねないという潜在意識があることとも無縁ではないでしょう。

    若年層はパレスチナ寄り。その理由は?

    今回の問題に関連して、そんな空気がよくわかる〝事件〟も起きています。

    ハーバード大学の学生団体が「暴力の責任を負うべきはイスラエルの『アパルトヘイト(人種隔離)体制』だけだ」と、イスラエル側にすべての原因があると主張する声明を発表したところ、総スカンといってもいいほどの猛批判を浴びたのです(一部の企業経営者からは「署名した学生は先々まで雇用しない」といった声まで上がりました)。

    戦後、イスラエルと戦勝国が一方的に現状変更をした結果、パレスチナ人たちが弾圧されている。ならば時計の針を75年分巻き戻し、ユダヤ人は元いた場所(その「場所」で長年、ユダヤ人たちは迫害されてきたのですが)に戻るべきではないのか――そんな〝単純で危険な結論〟が多くの人々の心に巣くってしまう怖さを、米社会は身をもって知っているという見方もできるかもしれません。

    ただ、この学生たちに限らず、近年はアメリカの若年層が「パレスチナ寄り」になっているのは確かなようです。今年3月に「ピュー・リサーチセンター」が実施した調査によると、パレスチナ人に好意を持つ30歳未満のアメリカ人の成年は61%で、イスラエル人への好意を上回りました。

    この世代は、2001年同時多発テロ発生時はまだ生まれていないか、小さな子供で、アメリカ中にイスラム教への恐怖や偏見が広がったあの空気を経験していません。リベラルが主流で人権意識が高く、イスラエル国家によるガザへの迫害やヨルダン川西岸で国際法違反の入植が進んでいるという「事実」にも極めて批判的です。

    また、アメリカ社会の政治、経済、学術機関において戦後、高い地位をキープし続けてきたように見えるユダヤ人たちへの冷淡な視線という「情緒」もある。その情緒には、「同じマイノリティでも黒人やヒスパニックは社会的な上昇を阻害されてきたのに」という相対主義が見受けられます。

    ただし、「非白人ほど差別されなかったからユダヤ人は楽な思いをして、今は上流階級に居座っている」とする言説は、多くのユダヤ系の人々の苦難、努力、才能を否定する安直なものであり、なおかつ反ユダヤ主義に〝材料〟を与えかねない論理展開でもあります。

    このように、今や「アメリカ国民のイスラエル観」は一枚岩ではありません。

    また、政治においても以前は「保守・共和党イスラエル絶対支持、リベラル民主党イスラエル国家に批判的」という整理が一応成り立ちましたが、今回の紛争では民主党バイデン政権が最大級のイスラエル支持を打ち出し、それもまだらになりつつあります。

    まだまだ説明しきれていない点も多いのですが、この複雑さこそが問題の根深さ、解決の困難さを示しているということくらいは、日本でももう少し知られていいのではないかと思っています。加害者被害者をきれいに分けてジャッジしたいという「見物人」の視線からは卒業するべきでしょう。

    週刊プレイボーイでコラム「挑発的ニッポン革命計画」を連載中のモーリー・ロバートソン氏


    (出典 news.nicovideo.jp)

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