TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。8月30日(月)の放送では特別企画「モニフラZ議会」を開催。Z世代の論客が河野太郎ワクチン担当大臣を支える小林史明内閣府大臣補佐官に、若者のワクチン接種を促進するための施策を提言しました。
新型コロナウイルスの感染拡大防止の期待がかかるワクチン接種ですが、8月27日公表の総接種回数は1億2,453万回。2回目の接種が完了した割合は43.5%で、65歳以上の高齢者は86.9%。政府のポータルサイトの数値では医療従事者等を除く65歳未満の接種率は18.5%で、若者の接種数がまだまだ少ないのが現状です。
こうした状況に対し、番組Twitterには「若者は打ちたくても打てないケースが多い」、「弟は予約と仕事の調整が面倒でワクチンが打てない」といった声が。さらには「夜に接種窓口が開いていれば接種者は増える」というツイートもあり、これに大きく頷くNPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さん。「繁華街に予約なしで接種できる会場を作ることはワクチン接種の加速度を上げていくために必要」と主張します。
これに小林補佐官も同意し、東京都内において「9月中旬から後半にかけ、より柔軟に接種できる場所、多くの人たちの生活体系にあった選択肢を提供していきたい」と意欲を示します。
キャスターの堀潤からはワクチンパスポートに関する質問が。海外で取得し帰国したものの、いまだに2週間の隔離期間が設けられており、ワクチンパスポートのインセンティブを増やしてほしいという声もあるなか、小林補佐官は「ワクチンパスポートを使いたいのは全く同感」と明言。
ただ、ワクチン接種のメリットは当初「重症化予防」、「発症予防」、「感染予防」の3つでしたが、デルタ株により「感染予防」の効果が軽減。感染を抑制するためには6~7割の接種率が必要で、それに満たない現状では感染させないためのケアが必要になります。しかし、病床に余裕ができれば感染したとしても入院治療が可能。小林補佐官は「ワクチンの接種率と病院の空き具合、その2つの指標を見ながらいつから発行できるのか判断したい」と慎重な姿勢を覗かせます。
かたや大空さんはワクチンパスポートを国内向けに作ることには否定的。その理由は現状で導入すれば高齢者だけが持ち、若者を持つことができないから。「どこでやるべきかは、慎重に考えるべき」と注意を促します。
一方、食文化研究家で株式会社食の会 代表取締役の長内あや愛さんは、重症化しやすい高齢者が先にワクチンを接種していることで、「私の周りでも若者は置いてけぼり感、後回し感を感じている」と危惧。ただ、長内さん自身は高齢者が先にワクチンを接種することが若者の行動制限の緩和に繋がることを理解しているとあって、「決して後回しではないということを発信してほしい」と小林補佐官に期待します。
この意見に小林補佐官は「そこが一番つらい」と吐露。そして、「全体としての目標は病院を空けておくこと」と示唆。そのためには重症化しやすい人をいかにさせないかが重要で、高齢者優先も否めませんが「とはいえ、活動が多いのは若い世代、ちゃんと説明して納得してもらえるようにしたい」と小林補佐官。
◆気になる日本が現在保有するワクチンの量は?
東京都は8月27日、16~39歳を対象にした新型コロナワクチンを予約なしで受けられる接種会場を開設。その翌日には接種枠354人に対し2,226人の希望者が訪れ、若者のワクチン接種に対する需要の高さが明らかになりました。さらに、都はアプリを活用した若者のワクチン接種を推進する取り組みに10億円の補正予算を計上。これは20~30代のワクチン接種者に向け、買い物で使えるポイントなどを提供するサービスで、接種に消極的な若者に向けた取り組みです。
この政策に堀は「啓蒙やインセンティブが必要だという一方で、打ちたいけど打てないという声もある。10億円かけた啓蒙が本当に必要なのか、議論の余地はある」と疑問を投げかけます。
予約なしのワクチン接種に関し、大空さんは希望者の想定ができなかった都の認識の甘さを指摘しつつも「批判してはいけない」と力説。というのも、トライ&エラーを重ねていくことが必要だから。「今回、ワクチンを打ちたくない若者がそこまでいないと思わせる意味では効果があった」と接種とは別の効果を認め、「予約なしでできるところを増やしていく、今はそれを温かく見守ることが重要」と訴えます。
一方、小林補佐官は東京都が用意したワクチン量が東京都内に16歳以上39歳以下の人が約400万人いる中で1日200~300人分程度とその少なさを残念がり、「もっとたくさん用意できてからスタートすれば混乱もない。ただ大空さんの言う通り、いいトライだとは思う」と評価。
大空さんは、ワクチンはあればあるだけ打つべきと言い、「今は廃棄されているワクチンも相当数あってもったいない」と今の運用を指摘。予約なしで打てるようルールメイキングし、大規模接種会場などで余ったワクチンをその場で打てるような柔軟な対応を希望します。
番組Twitterには「ワクチンが潤沢にあるなら、予約なしで打てるようにしてもいいのだろうけれど……」というツイートも見受けられましたが、実際にワクチンは潤沢にあるのか、小林補佐官にぶつけてみると「確保されている量という意味では、日本に住まう人に必要な量は確保している」との返答が。ただし、ワクチンが海外から輸入され、倉庫に入り、各地に配られる、そのスピード感には限界があり、今は希望者全員が打てる分、全てを提供できるわけではないとも。
◆Z世代から小林補佐官に向けて具体的な政策提言を発表
最後はZ世代から小林補佐官に向け、具体的な政策提言を発表。政治プラットフォーム「PoliPoli」代表の伊藤和真さんは、若者の関心をより集めるべく「接種後に“映える”特典」。さらにはニュージーランドのアーダーン首相が自宅からライブ配信を行い、国民からの質問に答えていたように「小林補佐官がSNSライブで発信」と2つを提案。
これに小林補佐官は「SNSライブは、ぜひみなさんと一緒にやりたい」と協力を求めます。また、特典に関しては大学接種の際にTwitter社によるマスクを配るなど、すでに一部で民間と協力し実施している事例も。
次に、長内さんの提言は「ワクチン効果 数字で表現」。若者のワクチン接種を促進させるためには「打ちたくても打てない人」ではなく、「打ちたくない人」にいかに打ってもらうかが大きなポイントと言います。そして、「ワクチンを打つことで、若者はどの程度発症が防げるのか」、「周りにどれだけ感染させないようにできるのか」、さらには「中等症や肺炎になる確率がワクチン接種でどう変化するのか」など、わかりやすく数字で示してほしいと切望します。
これはすでに政府でも準備しているそうで、「年代ごとにワクチン接種の有無でどれだけ感染したのか、そのなかでどれだけ重症化したのか見えるといい」と小林補佐官も語ります。現状では、デルタ株が拡大したなかでもワクチンを打った人の感染数は打っていない人の20分の1。「感染予防効果がまだ出ている」と言い、「(若者の)みなさんは調べる力があるので、それを信じて情報を提供していきたい」と言います。
なお、現在は都道府県別の接種率やワクチンが届いた数、消費量などは「ワクチンダッシュボード」というワードで検索すると見られます。今後はそこに人口データと感染者数、さらにはワクチン接種者も加味して提示できるようにしたいと小林補佐官。
続いて、大空さんは「EBPMと予約なし」と提言。EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)とは科学的な根拠やデータに基づいた政策立案のことで「若者と言っても主語が大きすぎる。東京都のモニタリング会議のデータでは、ワクチンを打ちたくないと言っている若者は20%程度。そこにピンポイントで当てていかなければならない」と大空さん。
さらにはこのEBPMこそが「日本の行政が本当に不得意としているところ」と苦言を呈し、「エビデンスに基づき、ただ単に若者向けということではなく、どこの層の若者に訴求が必要なのかしっかり分析してやること」と望みます。
「予約なし」は前述の通り、余りがあるならその場で打てるよう要求。大空さんはすでに2回の接種を終えているそうですが「それは大学生だから」と言い、「若者は学生ばかりでなく、アルバイトをしている人や子育てをしている人もいる。いろいろな生活スタイルの人に対応すべく、その場で打てることを目指していかなくてはいけない」と主張。
そんな大空さんの意見に、小林補佐官は「ぜひやりたい」と前向きな姿勢を示し、「EBPMと言うと、数字のイメージがあるが行動様式も」と補足。例えば、今は電話予約さえ面倒でチャットで完結したい人もおり、そういう人にいかに機会を提供できるかをポイントとして挙げていました。
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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
(出典 news.nicovideo.jp)
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