ロシアの地中海拠点からの大規模撤退が噂されていますが、その背景にはシリア情勢の激変が影響しているとのこと。この動きがウクライナ戦争にどう影響するかも注目です。国際情勢の変化により、ロシアの戦略がどのように変わるのか、多くの人が関心を持っているでしょう。

地中海への影響力を維持するロシア軍の要だった基地。

衛星写真などで大きな変化を確認

ウクライナ国防省情報総局は2024年12月8日ロシア軍シリアタルトゥース海軍基地やフメイミム空軍基地で大規模な撤退を行っていると発表しました。

タルトゥース基地は、地中海に位置するロシア海軍唯一の拠点です。シリアのアサド政権への安全保障の見返りとして、1971年以来、旧ソ連ロシア地中海での影響力維持のために機能してきました。2022年2月に開始したウクライナ侵攻の影響でボスポラス海峡の通行が制限されると、地中海方面で展開するロシア艦艇唯一の補給・修理基地として機能していました。

しかし、11月27日に始まったシリア反政府武装組織による反撃攻勢により、アサド政府軍が崩壊したことを受け、駐留艦艇を続々と撤退させていることが、すでに欧米のメディアを中心に報じられていました。

ウクライナ国防省情報総局は12月8日に同基地からロシア黒海艦隊のアドミラル・グリゴロヴィチ級フリゲートアドミラル・グリゴロヴィチ」と、ロシア連邦北方艦隊の貨物船「エンジニア・トルビン」が出港したと発表しており、この動きをロシア海軍の撤退の一環であるとしています。

また、2015年からアサド政権支援のため前線基地として機能していたフメイミム空軍基地に関しても、同基地に駐機してあった輸送機などを使用し、シリアに置かれていた武器や装備などを輸送していると発表しています。

この動きを受け、ウクライナ国防省情報総局は「ロシアタルトゥースとフメイミムの軍事基地を失う可能性が高いことで、中東におけるクレムリンの敗北は決定的なるだろう」と見解を述べています。

シリアの軍港に最近まで停泊していたと言われるアドミラル・グリゴロヴィチ級フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」(画像:ロシア国防省)。


(出典 news.nicovideo.jp)