北朝鮮のロシア派兵という報道は、冷戦時代の緊張を再燃させる要因になり得ます。特に、ロシアが北朝鮮の支援を受けることによって、その影響力が地域に及ぶことが懸念されます。韓国のメディアは『レッドライン』について言及していますが、このラインがどのように定義されるかが重要です。国際社会がこの問題にどう対処するか、今後の動向に注目が集まります。


北朝鮮ロシア派兵の見返りに何を求めているのか。韓国国防情報本部は10月末、国会に「ロシアの宇宙技術や先端軍事技術はもちろん、在来兵器の技術力向上も進めると判断している」と報告。韓国紙は「ロシアは絶対に『レッドライン』を越えるな」とけん制した。

朝鮮日報によると、韓国国防情報本部は「北朝鮮ロシアとの関係が血盟へと根本的に変化する過程で相互に軍事支援が行われている」と指摘。北朝鮮軍の一部がすでにウクライナの戦場に到着したとの報道が相次ぐ中、北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外相は10月30日モスクワに到着した。ウクライナ派兵の見返りについてロシア側と交渉を行う可能性が高そうだ。

米CIA(中央情報局)元職員で米大統領補佐官を務めたデニス・ワイルダー氏は「派兵の見返りとしては原子力潜水や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の大気圏再突入技術などが考えられる」とした上で「北朝鮮の原潜が西太平洋を航行した場合、どこの国にとっても頭が痛い問題になる」としたが、韓国にとっては頭が痛いどころか安全保障上の深刻な脅威だ。

朝鮮労働党金正恩キム・ジョンウン)総書記は昨年9月、海からの核ミサイル攻撃が可能な戦術核攻撃潜水艦進水式で「海軍の核武装化は切迫した課業だ」と発言した。現在、北朝鮮は水中発射核ミサイルを保有しているが、原潜建造技術はない。もしロシアが原潜技術を北朝鮮に提供した場合、無制限の航行が可能な潜水艦核ミサイルを搭載し海中に姿を隠すことができる。韓国にとってはまさに災害レベルの脅威だ。

金正恩総書記が原潜まで保有し、米国が北朝鮮核ミサイルを100%防げないとなれば、北朝鮮に対する米国の態度も変わってくる可能性が高い。北朝鮮核保有を認め、制裁を解除することも考えられる。これも韓国にとっては大きな災害だ。

北朝鮮10月31日日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射。高角度の「ロフテッド軌道」で発射されたICBMと推定される。

北朝鮮はICBMを通常の角度と距離で発射したことがないため、大気圏再突入技術は現時点で確保していないとみられる。しかし、ロシアがICBM再突入技術を提供すれば、それで北朝鮮核ミサイルは完成する。北朝鮮が望む米国との「核軍縮交渉」が可能になる条件がすべて整うことになる。

朝鮮日報は社説で「金正恩総書記が朝鮮人民軍兵士1万人を無償で死地に送り出すことなどあり得ない。今焦っているのは60万人以上の死傷者を出したロシアプーチン大統領金正恩総書記からのいかなる要求も受け入れるのは間違いない」と言及。「もしプーチン大統領が原潜、ICBM再突入技術、最新型戦闘機などの先端兵器を提供した場合、これは韓国国民に対して直接、刃を向ける敵対行為になるため、そうなれば韓国も緊急の対応を取らざるを得ない」と危機感をあらわにした。(編集/日向)

北朝鮮のロシア派兵の見返りについて、韓国軍当局は「宇宙技術、先端軍事技術や在来兵器の技術力向上も」と報告。韓国紙は「ロシアは絶対に『レッドライン』を越えるな」とけん制した。写真はロシア国旗。


(出典 news.nicovideo.jp)