北韓の農村地域でアヘンの原料となるケシを栽培して生計を立てている農家が増えていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。
北朝鮮では「オルム(氷)」や「ピンドゥ(氷毒)」と呼ばれる覚せい剤が乱用されてきたが、原材料の密輸入が滞るようになり、代わりに国内で密造できるアヘンの需要が増えているという。
RFAは咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋の話として、「高原郡にはケシを栽培し、闇市場に売る農家が多い。私の地元では10軒のうち5軒はケシを植えている」と伝えた。
医療制度が崩壊状態にある北朝鮮の家庭では、これらの違法薬物が風邪薬などの代用品として誤用されており、需要は根強い。
そのため違法薬物を取り締まっている北朝鮮当局も、20坪程度の畑に「薬の原料だ」として植えられている限り、ケシの栽培を見逃すケースが多いとこの情報筋は述べている。
一方、覚せい剤はと言うと、「製造には中国から密輸入した原材料が必要だが、コロナ対策の国境封鎖が解除された後も密輸が徹底的に統制され、国内での流通が減少した」という。
農民がケシ栽培に血眼になる背景にはもちろん、経済難がある。北朝鮮当局は密貿易に加え、市場での商売に対する統制を強めており、庶民が現金を得られる機会が減っている。畑で作物を育てるしかない農民は、「アヘン(ケシ)を植えれば、トウモロコシを育てて収穫する量の数倍の収益を得られる」(RFA)という事実から、目を背けるのが難しいのだ
「クルミほどの大きさのケシの実1個にゴマ粒より小さい種がいっぱい詰まっている。これをいくつか手に入れて畑に撒くだけなので、アヘンは初期費用がかからない。反面、ビンドゥ(覚せい剤)は少なくとも3千ドルを投資して原料と資材を購入し、やっと200グラム程度の現物を密造できる」(RFA)
この初期投資額の差は、密売時の末端価格競争力にも反映され、経済難に苦しむ北朝鮮の人々は、より安価なアヘンに手を伸ばしているということのようだ。
(出典 news.nicovideo.jp)
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