ラジオ・フリー・アジア(RFA)はこのほど、中国では拘置所の収容者が大幅に増えており、「その背景には当局が犯罪には該当しない些細なことをした者も容疑者として扱っていることがある」とする見方が出ていると紹介する中国語記事を公式サイトで発表した。なお、RFAは正確・客観・公正な情報発信を職責として定めているが、米国当局による政治宣伝色が極めて強いとされるメディアだ。
記事によると、中国の多くの弁護士が、SNSを通して拘置所に収容される人が増加したり、拘置所が増設されていると指摘している。四川省在住の王瑞弁護士は、「拘置所は混雑しており、多くの地方で今年は拡張を計画していいます」と述べた。王弁護士によると、しばらく前にある当事者に面会するために拘置所に行ったが、定員が12人の部屋に20人から30人が収容されていた。暑い日だったが空調装置はおろか扇風機もなく、ベッドがないので床に横たわっていた人もいたという。
8月6日付の中国最高人民検察院の発表によると、中国の検察機関は今年上半期に前年同期比18.5%増の36万7000人の逮捕を承認し、同6.8%増の76万1000人の起訴を承認した。王弁護士は、拘置所に収容される人が大幅に増えている原因の一つは、当局が些細なことで犯罪に該当しない人を容疑者として処理していることだと考えている。
河南省在住の孫弁護士も、拘置所に収容されている人の数が、かつての2倍程度に増えていることに気付いた。そして、問題がないはずの行為が犯罪扱いされる事例がある。例えば中国では、一般人が行政などに対する不服を、さらに上級の部門に直接伝えて、解決を求める「信訪(上訪)」と呼ばれる行為が認められている。しかし、孫弁護士によると信訪をしたことで逮捕された事例があった。公務妨害でも騒乱でも、あるいは恐喝でも、当局側はどんな理由でも作って勝手に人を拘束する。「現在は、確かにそのような状況です」という。
やはり弁護士である王奎氏は「以前は多くのことに目をつぶってもらえましたが、今はだめです」と述べた。例えば商店を開業した場合、手続きに不備があると「違法経営」のレッテルが張られる可能性があり、資金繰りが上手くいかなくて、代金支払いが遅延した場合には詐欺行為と見なされる場合がある。「小さい罪に大きい罰」の傾向が顕著で、山で山菜を採ったり川で小魚を釣っても、犯罪と見なされる可能性があるという。
ただし、多くの弁護士は、犯罪行為が増えていることも事実と見なしている。その大きな原因は、多くの人が出産や住宅ローン、自動車ローンの支払いを抱えているにもかかわらず、経済は下振れしており、失業のリスクもあるために、中国では一律に禁止されているマルチ商法や、詐欺、マネーロンダリングなどに手を染める人が出ている。また、減収に直面した企業が契約詐欺を行う場合もある。
成都市拘置所
湖南省株洲市警察の幹部を務めた経験がある郭福建氏は、同市では数年前に、拘置施設の増設が始まったと説明した。その背後に中央の関連部門の指導があったことは間違いないという。また、中国の多くの地域の警察と検察は、売春やわいせつ関連、賭博、ネット上の言説についてなどの取り締まり強化を行っている。郭氏は、当局が「厳しい取り締まり」の範囲を拡大し、さらに強化していることが、現在の拘置所などの状況に関係しているとの考えを示した。郭氏によると、株洲市当局は中央の姿勢を観察して将来の情勢を早い段階で見越して、対応措置を取ったとみられるという。(翻訳・編集/如月隼人)
(出典 news.nicovideo.jp)
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