こんなにも多くの非正規労働者が生活のためにネットカフェやベンチで過ごすなんて、本当に悲しい現実です。どうか、彼らがより良い環境で生活できる社会が実現することを願います。

働く人たちの厳しい現実。今回は非正規で働く人に聞いた“本音”のなかから、反響の大きかった記事トップ3を発表。第1位はこちら!(集計期間は2018年1月~2022年12月まで。初公開2022年5月17日 記事は取材時の状況)
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 新型コロナでより深刻度を増している貧困問題に追い打ちをかけるように続く、最近の値上げラッシュ。インフレの嵐が低所得層の生活を脅かす現状について総力取材。その中で、ネットカフェの値上がりに耐えきれず、現在バス停のベンチで夜を過ごすことになってしまった男性に話を聞いた。

ネットカフェ値上げで野宿を余儀なくされる日雇い労働者の地獄

 ’19年の冬に東北から上京してきたという野田淳平さん(仮名・45歳)の全財産は現在6000円。

 今はアパートに入居するどころか、ネットカフェに泊まることすらままならないという。

「以前はタクシードライバーとして正社員で働いていましたが、週休1日、一日12時間労働で年収は280万円弱とブラックな環境でした。過干渉気味の親と暮らすのもしんどくて、ある日衝動的に実家を出たんです。住む場所もなく、ネットカフェに居座ったのが運の尽きでしたね。とはいえ、当初は日雇いの仕事とアルバイトの掛け持ちで月15万円ほど稼げていて、地元の企業に勤めるよりもずっと楽だと思っていました」

◆毎月の収入が7万~9万円台に激減

 しかし、景気や企業業績に暮らし向きが左右されるリスクが高いのが、非正規雇用者。野田さんも例外ではなかった。上京して半年ほどでコロナ禍となり、生活は徐々に苦しくなっていったという。

緊急事態宣言が出たことで、昨年4月にアルバイトで働いていたラーメン店が休業。事実上の解雇になりました。日雇いの仕事のみとなり、毎月の収入が7万~9万円台に激減し、ネットカフェ代を払うだけでギリギリ。もとはウィークリープランを利用して、鍵付き個室を自宅同然に使っていましたが、月7万円の出費になるため、昨年夏に引っ越しました」

 そうして次の根城に選んだのが、都内にある別チェーンネットカフェだった。しかし、その施設は連泊禁止だったため、長くても24時間しか滞在できない。そこから野宿を余儀なくされる日が増えていったという。さらに悪いことに、昨今のインフレが困窮する野田さんを襲った。

ポテト食べ放題が終了。栄養失調気味に…

「利用していたネットカフェポテト食べ放題だったのですが、今年2月にサービスが終了。12時3000円台だったナイトパックが、4150円に値上げされたので、さらに安い2駅先のネットカフェに格落ちしました。最近ではポテトの代わりに菓子パンばっかり食べているせいか、体調が悪い。とにかくずっと横になっていたいんです。

 日雇いの仕事も休みがちになって、収入は減る一方ですね。本当は実家に帰るべきかもしれませんが、惨めな状況になればなるほど、この姿を親に知られたくないと思ってしまうんです」

バス停のベンチで夜を明かす

 値上げと収入減により、今年の4月末から週4日の野宿生活に至った野田さん。バス停のベンチで夜を明かすことも増えた。

「今年に入って身にしみたのは、貧乏人の味方だと思っていたネットカフェが値上げして、僕にとっては贅沢品になってしまったということ。僕らのような最底辺の人間は、どこに身を置けばいいのでしょうか……」

 もともと不安定な生活を送っていた野田さんだが、インフレでより深い貧困の底に沈んでしまった。

<取材・文/週刊SPA!編集部>

野田淳平さん(仮名・45歳) バス停のベンチで夜を明かす日々。荷物は必要最低限、バックパックと手提げカバンに入っている分が所持品のすべて


(出典 news.nicovideo.jp)