ハンガリーのグヤーシュ首相府長官は9日の記者会見で、ウクライナの欧州連合（EU）加盟に向けた交渉の開始を拒否する意向を示した。地元メディアが報じた。EU加盟各国は12月のEU首脳会議で交渉の開始について協議するが、交渉開始にはEU加盟27カ国による承認が必要で、曲折も予想される。

　EUの行政執行機関である欧州委員会は今月8日、ウクライナが少数民族への対応や、汚職対策を進めるなどの条件付きで、ウクライナとの加盟交渉を始めるよう加盟国に勧告した。

　グヤーシュ氏は9日、ハンガリーがウクライナと連帯して財政・人道的な支援を行ってきたとした上で「だからと言ってウクライナが交渉開始のための条件を満たしていない事実は変わらない」と述べた。ハンガリーのオルバン政権はウクライナに住むハンガリー系住民が母国語を使う権利を侵害されているなどと主張している。

　ロイター通信によると、欧州統合を担当するウクライナのステファニシナ副首相は9日の記者会見で、ハンガリーの反対について「そうした声があることは理解している」と述べつつ、ハンガリー政府に対話を求める考えを示した。

　ウクライナはロシアの侵攻が始まった直後の2022年2月末、EUへの加盟を正式に申請した。欧州委は今月8日、モルドバとボスニア・ヘルツェゴビナとの条件付き加盟交渉開始の勧告も出している。

　交渉開始を巡っては、ロシアに融和的な中道左派政党が第1党となったスロバキアも難色を示す可能性がある。【ベルリン念佛明奈】

毎日新聞 2023/11/10 06:55（最終更新 11/10 06:55）
https://mainichi.jp/articles/20231110/k00/00m/030/033000c

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