国内飲料メーカーによるオレンジジュース商品の販売休止が相次いでいる。主産国での減産などで世界的にオレンジ果汁が不足し、価格も高騰しているためだ。国内で流通する果汁のうち約9割が輸入品と推計され、絶対量が足りていない。事態の収束が見通せない中、国産果汁の確保に動く国内メーカーも出始めている。
森永乳業は25日、オレンジジュース商品「サンキスト 100%オレンジ」(200ミリリットル)の販売を果汁原料がなくなり次第、休止すると発表した。
雪印メグミルクは「Dole オレンジ 100%」について、200ミリリットルを除く1000ミリリットル、450ミリリットルの販売を2023年4月上旬から休止している。アサヒ飲料も、「バヤリース オレンジ」(1・5リットルペットボトル)の販売を23年12月1日出荷分から販売休止し、販売再開の見通しは立っていない。
背景にあるのが、世界的な果汁不足と価格高騰だ。主要な輸入先であるブラジル産の不作で21年の輸入量は減少。その後も、同国での23年の大雨被害や、それに伴うカンキツグリーニング病のまん延などの影響で、オレンジ果汁の不足感が続いている。
26日発表の財務省の貿易統計によると、3月の輸入オレンジ果汁の価格は、前年同月比69%高の1リットル620円で、5年間で2倍になった。円安の影響や新型コロナウイルス禍の落ち着きで業務需要が高まっていることも重なり、価格の上昇傾向が続いている。
輸入果汁不足が深刻化する中、国産果汁を積極的に利用する動きも出てきた。JA全農子会社の協同乳業は、国産果汁だけを使用した飲料「農協果汁」を14年ぶりに復活。4月から販売している。商品販売を通して果樹産地を下支えする。
国産かんきつ果汁の需要増の好機だが、国内のかんきつ産地は高齢化などを背景に生産基盤の弱体化が進んでおり、供給力の確保が課題となる。(永井陵)
Yahoo!Japan/日本農業新聞 4/30(火) 9:40配信
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