「大阪万博」が開幕ありきの強行軍に…問題だらけの現状から、私が感じ ... - 文春オンライン 「大阪万博」が開幕ありきの強行軍に…問題だらけの現状から、私が感じ ... 文春オンライン (出典:文春オンライン) |
夏です、祭りの季節です。新聞では「大阪万博」(2025年)が一気に盛り上がってきました。今回は万博報道の読み比べです。
まずは産経新聞をご覧ください。
「進捗」を「進歩」と読み間違えそうになりましたが、だいたい意味は同じでした。というのも海外パビリオン建設を巡り、運営主体の日本国際博覧会協会(万博協会)のガバナンス不全が顕在化しているという。
一体、大阪万博に何が起きているのだ?
まずは「万博報道」をおさらいでは最近の万博報道をおさらいしよう。まず7月1日に朝日新聞が1面トップで、
『海外パビリオン 建設申請「ゼロ」 25年の大阪・関西万博 開幕間に合わぬ恐れ 政府が対策へ』
と報じた。
《2025年大阪・関西万博をめぐり、参加する国や地域が独自に建てるパビリオン建設で必要な申請が、大阪市に1件も提出されていないことがわかった。人手不足が深刻化する建設会社と契約が進まないことが背景にある。》(同上)
『海外パビリオン申請ゼロ 万博協会 建設代行提案』(7月14日)
建設申請ゼロという事態に「建設代行案」まで出ているといい、万博協会には焦りの色が見える。本番に間に合うのだろうか。※現在は1件提出(韓国)。
個人的にはこういう話題になると「荒井注カラオケボックス事件」を思い出してしまう。
平成の最初の頃、ザ・ドリフターズのメンバーだった故・荒井注さんが伊東でカラオケボックスを建てた。しかし建物の入り口が狭すぎて肝心のカラオケ機材が搬入できないという事態が発生。この痛恨の珍事はワイドショーネタとなり伝説となった。私たちはあの教訓を今も忘れないが、大阪万博も本番がどうなるかわからないという点では荒井注万博の匂いがする。
大阪万博は「災害」級なのか?その一方で、大阪万博は現実を映し出す鏡にもなりつつある。たとえばこれ。
『パビリオン建設遅れの大阪万博、残業上限の「例外」要請…働き方改革に逆行と反発も予想』(読売新聞オンライン7月27日)
万博協会が来年4月から建設業に導入される時間外労働の上限規制を適用しないように政府に要請。つまりパビリオンの建設準備が遅れているから時間外でも働いてほしいというのだ。アンチ働き方改革万博である。昭和だなぁ。さらには協会側には「例外規定」を使えないか探る動きもあるという。
《労働基準法で上限規制を外せると定める「災害その他避けることのできない事由によって、臨時的に必要がある場合」に万博を含められないか、という案だ。》(朝日新聞7月29日)
大阪万博は「災害」級なのか? これには「政府内では万博は該当せず、労働基準法の改正が必要になるとの見方が強い」(読売新聞オンライン、同上)とのこと。当然だろう。
建設業界の悲痛な叫びこんな皮肉も言われだした。万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」だが、「長時間働かせようなんて、全然、命は輝いていないですよね」(建設業界の関係者・朝日新聞、同上)。
テーマと逆になってしまう万博って一体……。
万博協会の石毛事務総長は7月13日の会見で「年内に着工できれば開幕までに間に合う」と断言。これに対し日本建設業連合会は「何が根拠なのかわからない」と返した。
いやー、大阪万博、盛り上がって参りました。
産経新聞は、万博協会だけに責任があるわけではないとも書く。
《国家プロジェクトとはいえ、万博誘致は維新が政権に働きかけて実現した経緯があり、他党からは「開幕までに準備できなければ、維新の責任だ」との批判も出ている。政府と万博協会、大阪府市の連携が改めて問われている。》(7月30日)
維新関係者の恨み節こちらの記事も見てみよう。朝日新聞は、今回の万博は第2次安倍政権時代、政権との蜜月関係を築いた日本維新の会の橋下徹氏や松井一郎氏ら当時の幹部が開催を求めて誘致にこぎ着けたものだ、と書いた上で、
《維新と関係の薄い岸田首相に対し、維新関係者からはうらみ節が上がる。「安倍さんや菅さんならこんなことにはならなかった。首相はやる気があるのか」》(朝日新聞7月22日)
こうしてみると維新・馬場代表は、維新は「第2自民党でいい」と言ったが、たしかにそう思えてくる。おさらいすると、もともと自民党大阪府議だった松井一郎氏らが2010年、橋下徹府知事(当時)とともに地域政党「大阪維新の会」を設立した。そこから国政政党「日本維新の会」も誕生。
さらに言えば維新は安倍・菅氏に近く、今でも菅氏との関係は注目される。安倍・菅氏が首相だった頃は蜜月だったが、関係性が遠くなる岸田首相のときは“野党的な”役割もしているように見える。万博はその時々の自民党との距離がわかるバロメーターなのかも。
「開幕ありき」に覚えた既視感7月26日、大阪府の吉村洋文知事は海外のパビリオンについて、独自建設に「固執するべきではない」と述べた。ここから見えてくるのは、
《開幕ありきで当初の計画や労働者を守るルールまでがゆがめられかねない状況》(東京新聞Web7月28日)
開幕ありき……この言葉、どこかで既視感が……。
この記事では、神戸大の小笠原博毅教授(社会学)が「国民もこのような形の巨大イベントに意味はあるのかと思い始めている。このままでは、何となくやって終わり、誰も責任を取らない。東京五輪のようなことが繰り返されるだけだ」と話していた。
出た、東京五輪!
会場建設費の増額も?そういえばこんな記事も。
『万博協会、会場建設費の増額検討 既に当初比1.5倍の1850億円』(朝日新聞デジタル7月29日)
《実際に増やせば、2度目の上ぶれとなり、国や大阪府・市の負担も増えるため、批判が起きそうだ。》
維新は税金には敏感な反応をするイメージがあるが、果たして今後どう向き合うのか注目です。
(プチ鹿島)
(出典 news.nicovideo.jp)
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