令和の社会・ニュース通信所

社会の出来事やニュースなどをブログに書いて発信していきます。あと、海外のニュースなども書いていきます。

    2023年03月


    日本の政治は国民に対して透明性や情報公開を求められていますが、実際には官僚や政治家の内部のやり取りが日常茶飯事であり、情報操作も日常的に行われているのかもしれません。改革が必要とされる権力構造について、今一度考えさせられます。

    ■ウクライナ戦争の現場に「必勝しゃもじ」

    平和ボケ、日本ここに極まれりという感じだ。

    3月21日ウクライナを電撃訪問した岸田文雄首相が、ゼレンスキー大統領に「必勝」と書かれた「しゃもじ」をプレゼントしたというのだ。

    この「必勝しゃもじ」は岸田首相の地元の名産で、広島カープの応援する際にも用いられているほか、選挙などでも登場する。実際、岸田首相2021年自民党総裁選に出馬した時にも、大きい「必勝しゃもじ」を手にして、報道陣の前でガッツポーズも決めている。

    つまり、ウクライナ軍が1万人以上、市民が7000人以上亡くなって、ロシア軍も4万人以上が死んでいるといわれる、この悲惨な戦争を、岸田首相広島カープの試合や政治家の選挙と同じような感覚で捉えているというわけだ。

    ただ、これくらいならば「日本が平和な証しだな」なんて失笑するくらいでいられるが、今回のウクライナ訪問ではちょっと笑えない平和ボケ”も起きている。

    ■アメリカのジャーナリストは秘密保持を誓った

    日本政府は首相の訪問を公表せず、記者団同行もなしということで「極秘」扱いにしていたが、日本テレビポーランドのジェシュフ・ジャションカ空港で岸田総理を乗せたとみられる車列を撮影していた。また、ウクライナとの国境の町、プシェミシル駅で列車に乗り込む岸田首相の姿は、日本テレビNHKカメラがしっかりと押さえ速報ニュースとして流していた。

    要するに日本政府の「極秘」扱いだった首相のウクライナ訪問は「マスコミにダダ漏れ」だったのだ。

    よく言われることだが、これはアメリカと対照的だ。バイデン大統領も2月に同じルートウクライナに入っているのだが、この時に同行を許されたジャーナリストは2人だけで、出発の2日前に知らされて、秘密保持を誓わされた。そのうちの1人、ウォールストリートジャーナルのサブリナ・シディキ記者はこう述べている。

    「この旅行に同行するたった2人の記者として、AP通信のエバン・ブッチ記者と私は秘密厳守を誓うことになる。計画を知らせることができるのは、それぞれの配偶者と所属する報道機関の編集者1人のみ。ほぼ全行程で私たちの携帯電話は没収されるはずだ」(THE WALL STREET JOURNAL 3月25日

    しかし、日本の場合、秘密厳守もへったくれもない。ポーランドテレビクルーが待ち構えており、ほぼリアルタイムで「今から岸田首相ウクライナへ向かいます」なんてリポートされるありさまだ。

    ■「平和ボケ」は記者クラブの“副作用”

    岸田首相なんて襲ってもなんの得もないだろ」という意見もあろうが、西側諸国が牛耳っている今の世界秩序をひっくり返したいと考えるようなテロ組織からすれば、日本や岸田首相に恨みはなくても「見せしめ」で襲撃される恐れもゼロではない。

    また、スパイ防止法などが整備されていない日本は、各国の諜報員やその協力者が山ほど入ってきて、自由にのびのびと情報収集をしていると言われているが、今回のことであらためて「日本の機密管理はザル」だと世界に発信してしまった。

    では、なぜこんなにも日本は「平和ボケ」なのか。

    いろいろな意見があるだろうが、筆者は日本人の意識がどうこうという話ではなく、世界的にも珍しい「記者クラブ」という日本だけのガラパゴス的な国家情報統制の“副作用”だと思っている。

    一体どういうことか、順を追って説明しよう。

    ■なぜ国家の内部情報が簡単に漏洩するのか

    本来、官僚は国家に忠誠を誓うので、内部情報を外部に漏らすことはしてはいけないと徹底的に教育されるし、それに逆らったら厳罰を下される。例えば、アメリカバイデン大統領ウクライナ極秘訪問を、マスコミリークしたような官僚は国家反逆罪に問われるだろう。

    しかし、日本の場合は違う。マスコミが首相の「極秘行動」を事前に察知していたことからもわかるように、官僚はいともたやすく情報を漏洩する。それどころか、情報漏洩が“官僚のたしなみ”のような風潮さえある。

    わかりやすいのが今、国会でわちゃわちゃやっている放送法文書問題だ。

    一般の法治国家だったら、放送法の解釈を歪めたとかなんだという話の前に、「誰が行政文書を外部に漏洩させたのか」とマスコミも大騒ぎで、警察の捜査も始まる案件だが、日本のマスコミは驚くほどそこは問題にしない。

    なぜかというと、そこに目くじらを立てると自分たちのビジネスモデルガラガラと音を立てて崩壊をしてしまうからだ。それは端的に言ってしまうと、「記者クラブ」というムラ社会で横並びの取材合戦をしながら、できるだけ早く官僚から「情報漏洩」をもぎ取ってくるというビジネスモデルだ。

    ■自分たちだけの、至れり尽くせりの取材場所

    日本の国会、役所、警察などは「記者クラブ」というものがあって基本的に、テレビや新聞など限られたメディアの記者しか所属できない「記者クラブ」の取材しか受け付けない。「文春砲」で知られるような文春記者や、ネットメディアフリージャーナリストは、どれほどその分野で取材経験があろうとも入れてもらえない。

    その「記者クラブ」には官僚側があらゆる情報を投げ込んでくれるし、会見も呼んでくれるので、記者は言われるままにそれらを取材して記事を書けばいい。まさに至れり尽くせりのありがたい場所だ。

    「報道の自由を守るために素晴らしい発明じゃないか! さすが日本!」と称賛する人もいるかもしれないが、世界ではこういう閉鎖的な任意団体はつくらないのが普通だ。報道機関が権力側に対して過度に「依存」を強めて、思うままにコントロールされてしまう「アクセスジャーナリズム」と呼ばれる弊害の温床になるからだ。

    「記者クラブ」の所属記者たちは基本的に同じ情報が横並びで渡される。日本人が大好きな「平等」が徹底されているのだ。ただ、閉ざされた世界でそれをやるとどうなるのかというと、テレビや新聞の情報が基本的にみな同じで、どのチャンネルをつけても、どの新聞を読んでも似たような情報、似たような切り口、似たような論調になる。

    ■官僚からすれば記者は「下請け業者」

    しかし、テレビや新聞も民間企業として「競争」をしているわけなので、どこかでこの横並びから頭ひとつ抜け出したい。

    そこでどういう現象が起きるのかというと、記者クラブの記者たちが、深夜や早朝に官僚の自宅などを訪問して、個人的にアプローチをして特ダネをとってくる。これを「夜討ち朝駆け」なんていかにもそれらしい呼び方をしているが、やっていることは基本的に官僚と信頼関係を築いて、いかに自分だけに情報漏洩をさせるのか、という競争なのだ。

    こういう扱いを若い頃から受けた官僚はどうなるのかというと、マスコミを「下」に見るようになる。自分がポロッとこぼした話を「○○省幹部」なんて匿名で扱い、自分が流した資料を「スクープ」として喜んで扱う若い記者たちを見ると、「下請け業者」のように考える。

    ■自分の「リーク」なしでは何も書けない

    だから、官僚たちは好んで「リーク」をする。怪文書も好きだ。まだネットSNSがそこまで普及していない時、筆者も官僚が作成した「××が不正をしている」「××が不倫をしている」という怪文書を何枚も受け取った。

    また、霞が関官僚の多くはよく無意識に「マスコミに書かせる」という言い方をする。自分たちが「リーク」でネタを与えなければ、記者クラブの記者は何も書けない存在であることを知っているからだ。この言葉通り、親しい記者に意図的に内部情報をリークして、政府や自分の役所にとってプラスになるような記事を仕掛ける「マスコミ操作」がクセになっているような高級官僚も少なくない。

    そんな官僚の傲慢さがよく表れたのが、財務省の事務次官が、テレビ朝日の女性記者と会食中、「胸触っていい」「抱きしめていい」などの言葉を執拗(しつよう)に投げかけたセクハラ騒動だ。

    この女性記者は事務次官から電話があって呼び出されると深夜のバーでも駆けつけた。当然だ。事務次官から気に入られれば、他社にはない「リーク」が得られるかもしれないからだ。また、事務次官側も、自分と記者が元請けと下請けくらいの上下関係があるとわかっているので、深夜に呼び出してセクハラをすることができた。

    ■官僚とクラブ記者の癒着関係を解消する方法

    このような「リーク」を前提とした官僚と記者の癒着関係を日本に定着させてきたのが、他でもない「記者クラブ」だ。閉鎖的なムラ社会の中で競争をしている以上、記者は「ムラの有力者」である官僚には逆らえない。自分のところだけが「リーク」のおこぼれをいただけないという「村八分」に遭うかもしれないからだ。

    先ほどの財務省ケースでいえば、もし事務次官からの飲みに誘いを女性記者が断ったり、セクハラ被害を訴えたりすれば、「テレ朝の女性記者はダメだな」なんて悪評がムラの中ですぐに広まってしまうだけではなく、報復として「テレ朝の記者にはネタをやらない」なんて嫌がらせを受けるかもしれない。

    記者クラブオープンにして、海外のようにある程度の取材実績のあるジャーナリストなら誰でも加盟できるようにすれば、こういうパワハラ的な構造はかなり解消される。当然だ。記者クラブに『週刊文春』や『週刊新潮』の記者がいれば、深夜にテレ朝の女性記者を呼びつけてセクハラをしようなんて考えすら浮かばないだろう。

    こういう官僚とクラブ記者のウエットな癒着関係が解消されていけば、官僚による「情報漏洩」も減っていくだろう。

    ■いつまで「リークもぎ取り競争」を続けるのか

    よその国と同様に、大手マスコミの記者でも、フリージャーナリストでも同じ条件下で、取材者としての力量だけで「スクープ」を狙う。「○○記者はうちの上司も気に入っているし、いつも麻雀付き合ってくれているから、このネタはそのお礼ね」なんて感じで、なし崩し的な「リーク」は価値がなくなっていくのだ。

    しかし、残念ながら今の日本はまだ記者クラブという特殊な世界がバリバリに健在だ。一般庶民にはわからないこのブラックボックスの中では、クラブ記者たちが夜打ち朝駆けを繰り広げて、官僚と酒を酌み交わしながら「岸田政権の内部情報をいかにリークさせるのか」という熾烈(しれつ)な競争を繰り広げている。

    今回のウクライナ極秘訪問における「リークもぎ取り競争」で勝利したのが、NHK日本テレビだったというだけの話なのだ。

    ■「報道のあり方」より記者クラブ制度に切り込むべき

    3月27日岸田文雄首相は参院本会議でウクライナへの訪問について報告した際に、政府の公表前に報道があったことを巡り「危険地での報道のあり方について、安全対策や情報管理の観点から不断に検討する」と述べた。

    本来は「報道のあり方」でなく、官僚のリークの温床となっている記者クラブ制度に切り込むべき話なのだが、おそらく今回もそういう話にはならない。マスコミもこの部分は深く突っ込まれたくないところなので、いつものように問題先送りだ。

    ということは、まだまだ官僚の「リーク」は続くということだ。解散総選挙を望む声も上がってきたことだし、政権与党内の足の引っ張り合いも始まるタイミングだ。

    かつてのモリカケ問題のように、どでかい「政府の内部文書入手スクープ」が、どこかの新聞の一面を飾る日も近いのではないか。

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    窪田 順生(くぼた・まさき)
    ノンフィクションライター
    1974年生。テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者等を経て現職。報道対策アドバイザーとしても活動。数多くの広報コンサルティングや取材対応トレーニングを行っている。著書に『スピンドクター“モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)、『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)など。

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    2023年3月21日、キーウ(キエフ)での共同記者会見で文書を交換する岸田文雄首相(左)とウクライナのゼレンスキー大統領(右) - 写真=PAP/時事通信フォト


    (出典 news.nicovideo.jp)

    【【社会】だから官僚は「マスコミに書かせる」と公言する…岸田首相の「電撃訪問ダダ漏れ」が示す日本の歪んだ権力構造】の続きを読む


    そうなると今後、日本と英国の関係性が一層深まりそうですね。韓国もこの機会を逃さず、TPPに加入することで大きな経済的恩恵を受けることができるかもしれません。

    1 荒波φ ★ :2023/03/30(木) 10:41:19.93ID:flpV9Ibh
    ※聯合ニュースの元記事(韓国語)
    「英国CPTPP加入、加盟国合意展望…7月署名」
    https://www.yna.co.kr/view/AKR20230329161500073

    聯合ニュースなど複数の韓国紙は、日本メディアの報道をもとに、英国がCPTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に加入することについて、加盟国が近いうちに合意する見通しだと報じた。

    報道によると、英国と加盟国の閣僚は今年7月にニュージーランドで英国の加入に署名する方向で調整している。

    CPTPPはアジア・太平洋地域の11カ国が結成した多国間自由貿易協定(FTA)であり、11の加盟国がすべて賛成しなければ加入できない。

    米国がドナルド・トランプ前大統領の任期中に環太平洋経済連携協定(TPP)から脱退すると、日本の主導のもと、カナダ、オーストラリア、メキシコ、ペルー、シンガポール、ベトナムなど残りの国が2018年12月に発足させた。

    CPTPPは、商品貿易における関税撤廃レベルが高いだけでなく、標準及び技術障壁、投資、サービス、知的財産権、電子商取引などでも高いレベルの条項を含んでいる。

    英国はブレグジット(Brexit-英国のEU離脱)以降、新しい輸出市場を探し、アジア・太平洋地域に力を入れており、日本が主導するCPTPPに加入を申請した。

    英国以外にも中国、台湾、エクアドル、コスタリカなどが加入を申請した状態であり、韓国も加入を推進している。

    韓国の経済紙チョソンビズは今月8日の記事で、「これまで日本は既存のCPTPP会員11カ国の中で唯一、韓国の加入について曖昧な態度を示してきた」としつつ、最近行われた日韓首脳会談により、「前政権(文在寅政権)時代にこじれた韓日関係が改善されるとの期待が高まる中、韓国のCPTPP加入にも青信号が灯ったという評価が出ている」などと伝えている。

    一方で、農水産物弾帯などは、以前から、CPTPP加入によって外国産製品の輸入が増えることで、自国産業が損害をみるとして反発している。

    文在寅政権時代の2021年12月13日、韓国総合農業団体協議会は声明を発表し、「(韓国のCPTPP加入は韓国の農業、さらには食の主権を放棄することに等しい」と反対の姿勢を示している。


    この報道をみた韓国のネットユーザーからは以下のようなコメントが投稿されいている。(※ネイバーニュースコメント参照)

    「マジで日本が世界を主導しているな。日本は滅亡すると言ってた奴がいたが」
    「文在寅政権が退陣したことで国が救われた」
    「尹錫悦はやっと仕事らしいことをしたな」
    「未来を築くからといって歴史を忘却することが良いことなのか?」
    「というか、CPTPP加盟国とは日本を除いてすべてFTAを結んでるんだよね」
    「輸出主導型の我が国はこれしから生きる道は無いよ」
    「元植民地国が旧宗主国をまくる唯一の例になれば良い」
    「大騒ぎしたこれまでの(日韓関係の)5年間って何だったんだろうな」
    「自尊心を売り払って何をしたいのか」


    2023年3月30日
    https://korea-economics.jp/posts/23033001/

    【【韓国紙】 「英国が日本主導のTPPに加盟合意へ」 「韓国も今がチャンス」 】の続きを読む


    長期金利2%という数字が示すのは、日本の経済や社会情勢にとってどういう意味を持つのでしょうか。内田副総裁のような専門家による分析は非常に興味深いですね。

    1 蚤の市 ★ :2023/03/29(水) 19:05:54.07ID:+VBr4GOn9
    日銀の内田真一副総裁は29日の衆院財務金融委員会で、長期金利が2%に上昇した場合に日銀の保有国債に生じる含み損が約50兆円になるとの試算を示した。日銀は国債について満期保有を前提とした会計処理を採用しており、含み損が発生しても直ちに経営は悪化しない。

    長期金利が0.5%だった2月末時点の利回り曲線が全体的に1.5%上昇したと仮定し、試算したという。日銀は2022年12月末時点で国債の含み損が9兆円規模で生じている。

    内田氏は今後の金融政策について「(日銀が掲げる物価目標の)2%に近づいていく過程では様々なことが考えられる。日本経済に必要であればあらゆる選択肢を排除しない」と述べた。内田氏が国会で答弁するのは20日の副総裁就任後初めて。

    日本経済新聞 2023年3月29日 13:02
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB293190Z20C23A3000000/

    【【経済】日銀、長期金利2%なら国債含み損50兆円 内田副総裁】の続きを読む


    中国とロシアは近い関係にあるというイメージがありますが、こういった連帯が米国に影響を与えるとは驚きです。

    (古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

    JBpressですべての写真や図表を見る

     首脳会談を行った中国の習近平国家主席とプーチン大統領の連帯表明が、米国に歴史的とも呼べる衝撃波を与えている。

     戦後の長い年月、米国が主導して構築し、運営してきた国際秩序が、中国とロシアの新たな団結とその反米の基調によって根幹から崩されるのではないかという懸念が、静かながらも切迫感をもって広まってきたのだ。

     この懸念では、中国がロシアを先導し欧亜大陸全体のパワーの主役となって米国と対決するという、グローバルな地殻変動とも言える新冷戦の構図が予測されている。

    中露の接近は米国にとって巨大な脅威

     習近平主席は3月20日から22日までモスクワを訪問した。今回の中露首脳会談は米国でも真剣な関心を生み、バイデン政権が連日のように声明を出すとともに、各種メディアや研究機関が大々的に報道し、論評した。

     バイデン政権はこの中国とロシアの接近を批判的にとらえ、両国接近がウクライナ戦争の戦況や、ひいては国際秩序を変えるようなことはないとする見解を強調していた。たとえばホワイトハウスの国家安全保障会議のジョンカービー報道官は、習近平氏とプーチン大統領の連帯表明について、「便宜上の結婚のようなもので、愛情はないから、その実効を心配することはない」と述べていた。

     しかしトランプ前政権で国連大使を務め、2024年大統領選への立候補を表明した共和党ニッキー・ヘイリー氏は、中露両大国の今回の接近には米国にとって巨大な脅威としての重大な意味があるとする論文を発表した。

     ウォール・ストリートジャーナルに載った同論文は「ロシアウクライナを征すれば中国が勝利する」という見出しで、中国の意図について「米国を軍事的、経済的、文化的に抑えて国際秩序を変えることであり、今回の習近平氏のロシア訪問は、その野望にプーチン大統領を引き込むことなのだ」と警告した。

     この中露の連帯の狙いは、究極的には米国を圧倒して、米国主導のこれまでの世界の秩序を変えることにある、という認識だった。

    「米国主導の国際秩序の崩壊の始まり」か

     この種の警戒感は、バイデン政権以外のワシントン国際問題研究者たちの間でも強かった。今回の中国とロシアの接近は、既成の国際秩序に地殻変動的な変化をもたらす新たなプロセスの始まりだとする意見も多い。

     この種の見解をまとめる形でベテラン国際問題評論家デービッド・イグネシアス氏が3月22日ワシントンポストに寄稿した論文が注目された。「習近平プーチン訪問は西側を懸念させる」という見出しの同記事は以下のような骨子だった。

    ・米国は年来の国防政策では常にアジアと欧州、東と西とを区分し、東はインド太平洋軍、西は北大西洋条約機構NATO)の欧州軍と分けて、それぞれ中国とロシア旧ソ連)への抑止を保ってきた。だが、この区分は不適切となるだろう。なぜなら中国がロシアを従属的な立場に置いて欧亜(ユーラシア)大陸の覇者として米国と対決する構えを明確にしたからだ。

    ・中国はすでにロシア領の中央アジアや極東で経済的な進出を増し、軍事力でも核戦力以外ではロシアはるかに凌駕している。とくに宇宙、サイバーロボット、人口知能(AI)など軍事関連の高度技術の分野でロシアを凌駕し、ロシアを誘導する立場にある。このため中国は、米国が中国を封じ込める戦略をとっているのに対して、ロシアを事実上の同盟国のようにして引き込める。

    習近平氏の今回のロシア訪問は、ウクライナ戦争で苦労しているプーチン大統領に外交的、政治的、かつ心理的な支援を与え、将来の軍事支援の可能性をもほのめかして、中国への依存を強める効果を生んだ。同時に中国は、今回のロシアとの共同声明で国連憲章の順守を強調し、グローバル・サウスと呼ばれる南半球の開発途上諸国へのアピールも打ち出して、米国に代わるグローバルなリーダーイメージを強めた。

    ・米国の歴代政権はこれまで、中国とロシアとは一定以上には連帯しないという前提でそれぞれに個別の対応を試みてきた。だが現状では、ロシアの苦境により中国への依存や接近がかつてなく強まり、中国にとっては欧亜大陸全体を代表する条件が整ってきた。米国のバイデン政権側も、2021年6月のバイデンプーチン大統領のジュネーブでの会談に象徴されるように、ロシアに接近して中国から切り離すという戦略を一時はとったが、成功しなかった。

    ・グローバルな役割を拡大して米国を後退させるという中国の戦略は、この3月に実現したイランサウジアラビアの国交樹立での仲介でも顕著となった。米国にとって敵対国のイランと同盟国のサウジアラビアを、中東から地理的に離れた中国が和解させるという外交成果は、本来、中東に深く関与してきた米国の弱体化や後退を印象づけた。この動きはバイデン政権の外交の消極性と多分に関係がある。

     以上のようなイグネシアス論文は、中国とロシアの接近に対する米側の多くの専門家の懸念を総括するような指摘が多かった。だからこの動きは、米国対中露という「新冷戦の始まり」とか「米国主導の国際秩序の崩壊の始まり」という表現で、その地殻変動的な重要性が指摘されている。

     国際秩序のこの種の構造的な変動が日本に大きな影響を及ぼすことも、また必至だろう。

    [もっと知りたい!続けてお読みください →]  「ウクライナ戦争、そろそろ停戦してほしい」と中国がジリジリしだした理由

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    ロシア・モスクワの土産物店で売られていた、中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領の肖像が描かれたマトリョーシカ人形(資料写真、2023年3月21日、写真:AP/アフロ)


    (出典 news.nicovideo.jp)

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    いろいろと問題点があるようだ。

    アメリカのEV充電ステーション。数時間のドライブも日常の一部となっているアメリカでは、急速充電器のさらなる拡充が求められる
    アメリカのEV充電ステーション。数時間のドライブも日常の一部となっているアメリカでは、急速充電器のさらなる拡充が求められる

    日本でも都市部では電気自動車(以下、EV)を目にする機会が日に日に増えているが、世界のEVシェアの成長率は、今後いったん足踏み状態となる可能性がある。

    エネルギー分野の調査会社「ライスタッド・エナジー」のレポートによると、世界の月ごとの乗用車販売台数に占めるEVの割合は、2022年4月以降右肩上がりを続け、2022年12月には23%を記録した。ところが今年1月には14%にまで急落している。

    ■補助金頼みのEV普及に影?

    顕著なのは欧州市場で、2023年1月のEV販売台数は、前月(2022年12月)比では半減となった。2022年1月の自動車販売台数に占めるEVの割合が約8割に達していた脱炭素先進国ノルウェーも、今年2023年1月の販売分に関しては66.5%に低下している。

    これも、前年同月比81%減というEVの販売台数激減が影響している。イタリアスウェーデンスペインでも、乗用車販売台数に占めるEVのシェア率は頭打ちとなりつつある(各国運輸当局の統計などによる)。

    欧州各国では、これまでにEV購入に高額の補助金を交付しており、EV販売台数およびシェアの成長率の停滞は、その反動が出始めているという見方もある。

    一方で、私が住むアメリカでは、今年1月の乗用車販売台数に占めるEVの割合は前年同月の4.3%から7.1%に増えている。ただこれは、実質7500ドルの補助金の受付が昨年末に始まったことによる一時的な「ブースト効果」とみることもできる。

    ともかく、世界でのEVシェアの成長は今のところ、純粋な需要だけではなく、補助金によって支えられているところも大きいというのは、間違いないだろう。

    アメリカ国内に関して、EVに対する需要の足枷となっているのが、充電設備の未拡充だ。アメリカ人の年間走行距離の平均は2万km超。日本人平均の7000km弱のおよそ3倍以上となっている。

    広大な内陸部では、3~4時間にわたる長距離ドライブも生活の一部となってるが、その際には目的地までの途中で「経路充電」を行う必要がある。経路充電には急速充電器が不可欠だが、全米に設置されている急速充電器は4万基ほど。8000基程度にとどまっている日本と比べれば格段に多いが、日本の25倍もある国土をカバーするには不十分だ。

    ■充電器拡充に米特有の足かせが

    充電ステーション拡充において主に問題となるのが、採算性と半導体や銅などの資材不足だ。しかしアメリカの場合、「安全に考慮した場所選び」というもうひとつのハードルが加わる。

    ひとつはEV充電器そのものの安全だ。アメリカでは充電ケーブルに使われている銅線を狙った窃盗が横行しているのだ。

    昨年4月23日FOXニュースによると、ロサンゼルス市内のある非営利団体が運営する40基の充電器のうち38基が銅線の盗難にあい、1万8000ドルの被害を被ったと伝えている。ロサンゼルス警察も「この種の盗難は、充電ステーションが増えるにつれて新しいトレンドになりつつある」とコメントしている。

    EV充電器のケーブルには1基あたり数十ドル程度の価値がある銅線が使用されており、窃盗犯に狙われている
    EV充電器のケーブルには1基あたり数十ドル程度の価値がある銅線が使用されており、窃盗犯に狙われている

    そしてもうひとつは、充電ステーションの利用者の安全だ。ガソリンスタンドで給油中の客を襲う強盗は、昔から典型的な手口のひとつだ。しかしガソリンスタンドよりも人目につかない場所にあるEV充電スタンドで、数十分と停車して車内にとどまっていることは、強盗犯にとってさらに魅力的なターゲットとなりうる。

    筆者も友人のテスラモデル3」で、カナダバンクーバーまで片道5時間超のドライブをしたことがある。その途上、深夜に閉店後のショッピングモールの片隅に設置された充電ステーションを利用したのだが、「今強盗に襲われたらどうしよう」と不安な30分を過ごした。

    なにせ充電プラグを差し込んでいる間は、強盗の襲撃にあったとしても車を始動させることができないのだ。同乗の友人も「ひとりだったらここで充電したくない」といいながら、何かあった際にはすぐに911に通報できるよう、スマホを握りしめていた。

    北米のテスラオーナーが集う掲示板でも、充電中の強盗被害が複数件報告されている。カリフォルニア州オークランドで充電中に強盗未遂事件に遭遇したあるユーザーは、「夜間の充電ステーションでは、テスラドライバーはカモにされている」と警告している。

    深夜のガソリンスタンドでの給油中の強盗被害は、過去にたびたび起きているが、より長い時間を過ごすEV充電にはさらに大きな不安を抱く人も多い
    深夜のガソリンスタンドでの給油中の強盗被害は、過去にたびたび起きているが、より長い時間を過ごすEV充電にはさらに大きな不安を抱く人も多い

    女性なら不安はなおさらだ。事実、2022年アメリカで行われた8000人以上の成人を対象としたアンケート調査によると、「充電に関する考慮がEVの購入を躊躇させる」と回答した人のうち、「公共の充電ステーションで充電する際の安全性への懸念」を挙げた女性の回答者の数は、男性の2倍にのぼっている。 

    というわけでアメリカでは、充電ステーション設置の際に、充電器自体もその利用者も、犯罪被害にあう危険性の低い場所を選ぶ必要があるのだが、これがなかなか難しい。

    中の人口密集地ならまだしも、内陸部の幹線道路などでは、人っこひとり出くわさないような道が数百キロと続いているところも少なくないのだ。

    アメリカの内陸部ではEVの普及が遅れているが、充電時の安全に対する不安も、足枷の一つだ。今後、EVが先進国だけでなく、発展途上国への普及を目指す際にも、同じ問題がネックとなりそうだ。

    一方で、アメリカより格段に治安もよく、車での平均移動距離も短い日本はEV利用により適しているはずだ。しかし、新車販売に占めるEVの割合は1.7%程度(2022年)と、先進国中最下位レベルにとどまっていることは、新しいものに慎重な日本人の国民性というまた別の要因が影響しているように思える。

    ●吉井透 
    中国在住フリーライターとして約10年間活動するも、パンデミック下のゼロコロナ政策に嫌気がさし、自由を求めて米オレゴン州ポートランドに移住。テキストメディア以外にも、テレビユーチューブチャンネルなど、映像分野のコーディネーターとしても活動している

    文/吉井透 写真/pixels.com

    アメリカのEV充電ステーション。数時間のドライブも日常の一部となっているアメリカでは、急速充電器のさらなる拡充が求められる


    (出典 news.nicovideo.jp)

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