「消費税は年金、医療、介護、子育ての財源だ。(減税すると)社会保障(の予算)を3割カットしなければいけない」。茂木氏は28日、沖縄県北谷町の街頭演説でこう語り、「現実的な与党か、現実性のない野党かが問われる選挙だ」と強調した。
与党内では内閣支持率の下落を受け、物価高騰が有権者の不満に火を付けかねないと警戒する声が急速に広がる。茂木氏は22日の公示以降、繰り返し「消費税は社会保障の財源」と発言。減税論議に波及しないよう予防線を張っている。
公明党も同様だ。山口那津男代表は28日、東京都内で演説し、「社会保障に生かされている消費税を軽くしろという主張は、大局観も責任感も効果もない」と断じ、野党を厳しく批判した。
これに対し、立憲民主党や日本維新の会は税率5%への時限的な引き下げを提唱。共産党や国民民主党を含む全7野党が「減税」や「廃止」を掲げる。党首討論や遊説でも盛んに言及している。
立民の泉健太代表は28日、茂木氏の発言について記者団に「国家予算全体で財源を確保すべきだ。年金3割カットでは国民生活が犠牲になる」と非難。この後の演説で「冷酷な考え方だ。これは怒らなければいけない」と聴衆に呼び掛けた。
維新の松井一郎代表(大阪市長)も記者団に「国民を脅すような発言だ。財源が心配なら国会議員の厚遇をやめればいい」と反発。共産党の志位和夫委員長は「高齢者をどう喝するひどい政治だ。富裕層と大企業に応分の負担を求める道がある」と指弾した。
国民の玉木雄一郎代表は記者団に「減税がすぐに年金の減額につながるわけではない。誤解を与える」と指摘。ある野党幹部は「手応えがある。自民党には具体策が何もない」と述べ、引き続き消費税減税を論戦の軸に据える考えを示した。
時事通信 2022年06月29日07時08分
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