北朝鮮で、食糧が底をついた家を指す「絶糧世帯」が続出している。
穀倉地帯の黄海南道(ファンヘナムド)の甕津(オンジン)のある農場では、半数が絶糧世帯に陥ったと、米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)が現地の情報筋の話として伝えているが、山がちで農地の少ない両江道(リャンガンド)はより状況が深刻なようだ。
現地のデイリーNK内部情報筋は、道内の農村では平均して10世帯のうち1〜2世帯が絶糧世帯で、4〜7世帯が1日1食を食べるので精一杯だと伝えた。一方で都市部では、市場での商売で現金収入が得られるため、絶糧世帯は多くないとのことだ。
例年なら、食糧が乏しくなるポリッコゲ(春窮期)は4月から6月ころまでだが、今年は年初から絶糧世帯が現れた。相次ぐ自然災害に加え、コロナ鎖国も慢性的な食糧難に拍車をかけている。
昨年末に開かれた朝鮮労働党第8期第4回総会では、「党が最も重視する農業部門で評価できる成果、自信をもたせる明確な進歩が達成された」と報告されたが、情報筋は「食糧のことで心配は要らない」という国内向けの宣伝に過ぎないと切り捨てて、農村の現実について言及した。
「農民は、秋の収穫後に国から得た肥料や農業機械の借り賃を返さなければならず、軍糧米(軍向けの食糧)をはじめとして各種機関にも食糧を差し出さなけれならない。すると、農民が受け取る分配は、1ヶ月分の食糧にも満たない」(情報筋)
元々分配が少ない上に、農民は肥料代などを賄うために借りた借金に苦しめられ、軍糧米を巡っては軍と農民との間でトラブルが絶えない。その結果が絶糧世帯の続出だ。
当局も完全に手をこまねいているわけではないが、人民班(町内会)で余裕のある家から少しずつ食糧を集めて、絶糧世帯に渡すのが関の山で、余裕のある家にとってもかなりの負担だ。
北朝鮮国内で上がっているのは、韓国や国際社会からの食糧支援を望む声だ。
「首領様(金日成主席)、将軍様(金正日総書記)の時代には、『大韓民国』との文字が刻まれた援助米を見ることができたが、今はそんなものはない。住民は南朝鮮(韓国)と国際機関の食糧援助を切実に望んでいる」(情報筋)、
ただ、自力更生を強調し、事大主義現象との闘争を強力に繰り広げよとの指示が下されている現状では、そんなことを口に出して言える雰囲気ではないとのことだ。
(出典 news.nicovideo.jp)
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