ふわふわと体が浮かぶ無重力空間は、ずっと座っているよりは腰に良さそうに思える。だが意外にも宇宙飛行士の2人に1人が腰痛で苦しんでいるようだ。
米ジョンズ・ホプキンス大学などの研究グループによると、「重力の小ささ」「急激な加減速」「放射線の増加」などが、宇宙飛行士に蔓延する腰痛の原因と考えられるそうだ。
ある研究で、772回の宇宙飛行を分析したところ、宇宙飛行士の52%が宇宙に出てから2~5日後に何らかの腰の痛みを経験していることが判明したという。
8割以上の腰痛は軽度だったが、それでも作業に支障をきたすほどの痛みがあるものだった。
さらに軍用ヘリのパイロットと乗組員を対象とした調査でも、急激な重力の変動を経験した人たちの半数が、腰痛になっていることがわかっている。
パイロットにいたっては、椎間板ヘルニアになるリスクが一般人より3倍高かった。
だが、NASAが2010年に行った研究によると、宇宙飛行士の腰にはそれ以上の負担がかかっているようだ。
椎間板ヘルニアになるリスクが一般人の4倍で、しかも地球帰還からの1年は、さらに高リスクだったのだ。
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背骨のカーブが伸びてしまう
研究グループのラドスティン・ペンチェフ博士によると、人間の背骨はS字のカーブを描いているために、重力に耐え、柔軟性を保ち、体重や衝撃を吸収することができる。
ところが、重力が小さくなるとカーブが伸びてしまう。そのおかげで、突然痛み出したり、地球に帰還してから背骨が不安定になったりする恐れがあるのだそうだ。
腰を保護する宇宙服の開発が急務
これまで宇宙飛行士の腰痛予防には、「アイソメトリック(等尺性筋収縮)」「スクワット」「ランジ」「ベンチプレス」などのエクササイズが主に行われてきた。
ほかにも「マッサージ」「栄養補給(ビタミンDやカロリー摂取など)」「電気による神経・筋肉の刺激」「陰圧装置」といった予防策もある。
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ひるがえってSFなどに目を向ければ、回転することで人工的な重力を作り出す宇宙ステーションなどがよく登場する。
だが、それよりも特殊な宇宙服を開発し、地球にいるときと同じような背骨への負荷を再現する方が、現実的かつ効果的かもしれないとペンチェフ博士は述べている。
この研究は『Anesthesiology』(21年5月12日付)に掲載された。
References:Back Pain in Outer Space | Anesthesiology | American Society of Anesthesiologists/ written by hiroching / edited by parumo
私は宇宙飛行士ではないが、21歳で椎間板ヘルニアを発症し、以降手術まではいかないものの腰痛で悩まされている。整形外科にいっても、対症療法(薬)かリハビリしかないと言われて、コルセットを着用しつつ、痛みと寄り添いながら日々を送っている。
全く運動していないし、筋力とか無に等しいから、良くなるわけはないよなーっと思っているのだが、NASA開発の腰痛を軽減する服とか、誰よりも待ち望んでけど。
(出典 news.nicovideo.jp)
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