「中学高校の生徒さん、先生へ 文化祭でダンボール必要なの分かりますが、店員に相談せず、ダンボール置き場から全て持っていくのは困ります」。こう呼びかけるスーパー店員のツイートが話題になっている。
投稿者によると、ある日、スーパーに約10人の学生が来店。1人あたり、厚さ15センチのダンボールを持ち去ったという。店員から学生たちに声がけしたものの、無視され、持ち帰られてしまったようだ。
投稿者は「無断で大量に持っていくことが、他のお客様のご迷惑になっていることを理解していただきたい」「ダンボールを持っていくこと自体は、店としては怒りません。お願いだから、店員に相談してください」とつづっている。
スーパーの中には、購入品を入れるために、客にダンボールを提供しているところもみられる。ダンボールを無断で持ち帰ることに違法性はないのか。泉田健司弁護士に聞いた。
●理屈をこねれば「窃盗」といえなくもないが…ーー店舗で何も購入せず、ダンボールを店員に無断で持ち帰る行為は、窃盗をはじめとする犯罪にあたりうるのでしょうか。
店舗は購入者の便宜を図るためにダンボールを無償提供しているのであって、購入者でない人が無断で大量にダンボールを持っていく行為は窃盗罪であるーー。
このように理屈をこねれば、窃盗だといえなくもないでしょう。
一方、店舗側は、個数制限を表示せず、ダンボールを提供しているのだから、自由に個数無制限で持ち出してよい!
……というように考えれば、窃盗罪は成立しないでしょう。
このように、机上の議論をするのも楽しいかもしれません。
ただ、実務家である私からしてみれば、程度の軽重という観点から、犯罪として取り締まったり、違法性を検討して損害賠償請求をしたりするというほどの事案ではない、とまず考えるのです。
そのため、結局、店舗に対しては、学校側に苦情を申し入れたり、「商品ご購入者の方が、商品持ち帰りに必要な限度でご持ち帰りください」と張り紙を張ってください、とアドバイスしておしまいなのです。
●学生側も相手の立場に立って考えてーー店舗側からみれば「迷惑行為」にあたるようにみえますが…
もちろん、店員さんの言い分もよくわかります。
ダンボールを大量に持ち帰る行為は「店舗側の善意に付け込んだ迷惑行為」です。他の利用者やダンボールを補充しなければならなくなる店員さんへの迷惑とかを考えることができていないわけです。
ましてや、今回のケースでは、店員さんが学生に声掛けをしたにもかかわらず持ち帰ったとのことなので、余計に非常識であるといわざるを得ないでしょう。
また、たとえば、「商品を購入したから大量に持ち帰ってもいいだろ」というのも違いますよね。買わないよりはましかもしれませんが、迷惑行為であることに変わりないでしょう。
このツイートの店員さんも「相談してほしい」と言っています。つまり、相談してもらえさえすれば、ダンボールを準備することもできたのでしょう。 学生側が相手の立場に立って考え、ほんの少しの気遣いができれば、何も問題なかった話、ですね。
【取材協力弁護士】
泉田 健司(いずた・けんじ)弁護士
大阪弁護士会所属。大阪府堺市で事務所を構える。交通事故、離婚、相続等を中心に地域一番の正統派事務所を目指す。
事務所名:泉田法律事務所
事務所URL:http://izuta-law.com/
(出典 news.nicovideo.jp)
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