地球から100光年離れた太陽に似た若い星で、メガプラズマボール(巨大なプラズマの塊)の噴出が観測されたようだ。
それは「コロナ質量放出(CME)」として知られる灼熱のプラズマの塊が放出される現象である。太陽型の星でこれまで観測されたものの10倍以上もの質量で、仮にそれが地球に直撃すれば社会は大混乱に陥ったことだろう。
我々にとっても他人事ではない。この危険なメガプラズマボールは、太陽が噴出する可能性もあり、過去には火星のような惑星の形成にも関係していると考えられるそうだ。
京都大学をはじめとするグループが観測したのは、地球から111光年離れた黄色矮星「EKドラコニス(EK Draconis)」という星だ。
ラテン語でドラゴン(龍)を意味するEKドラコニスは、1億歳と若い星だが、私たちの太陽とよく似ている。研究グループによると、その姿は45億年前の太陽と同じであるという。
20年冬から春にかけての観測では、太陽で見られるものよりはるかに大きなスーパーフレア(太陽嵐)の噴出が目撃。
さらにその30分後には、何千兆キロという膨大な質量の「コロナ質量放出」が観測された。
噴出したフィラメントはプラズマの塊・流れとして太陽系の中に広がっていき
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太陽型の星で観測されたものとしては最大で、これまでの10倍と巨大なもの。研究グループが目にしたのは、「フィラメント噴出」と呼ばれる最初のプロセスだけだが、それでも怪物クラスで、最高速度は時速160万キロにも達していた。
フィラメントは太陽表面の上で磁場に支えられて浮かぶガスの塊のことで、それがプラズマの塊・流れとして太陽系の中に広がっていく現象がコロナ質量放出である。
Deadly solar storm could send mankind ‘back to the Dark Ages’, experts warn
太陽でも起こりうる可能性
これは地球上で暮らす私たちにとっては、あまり嬉しいニュースではない。太陽も同じようなドラゴン・ブレスを吐き出す可能性があるからだ。
高温のプラズマ粒子で構成されるコロナ質量放出は、万が一地球に直撃すれば、人工衛星を焼き、地上の電力ネットワークなどを破壊する恐れがある。
実際そのようなことが過去に起きており、1859年の「キャリントン・イベント」では、ヨーロッパや北アメリカ全土の電報ネットワークが機能を停止。鉄塔から火花が散り、電報用紙が発火したと言われている。
火星の形成にも関与?
太陽の場合、EKドラコニスよりも歳をとっているので、今回のような巨大なコロナ質量放出は、せいぜい数千年に1度しか起きないと考えられる。
しかし過去にはもっと頻繁に起きており、今では薄い大気と不毛の大地しかない火星の形成にも大きく関与していた可能性があるそうだ。
この研究は、『Nature Astronomy』(21年12月9日付)に掲載された。
References:A young, sun-like star may hold warnings for life on Earth / written by hiroching / edited by parumo
(出典 news.nicovideo.jp)
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