令和の社会・ニュース通信所

社会の出来事やニュースなどをブログに書いて発信していきます。あと、海外のニュースなども書いていきます。

    カテゴリ:国内 > 教育


    ニュージーランドに比べると、日本の教育は少し古いと感じます。楽しいことが大切だけでなく、頑張る姿勢や努力も大切というのは理解できますが、もっと子供たちの自己表現や創造性を重視した教育が必要だと思います。

     ニュージーランドに移住したのは2006年、もう17年以上前のことです。若い頃にラグビーチームの遠征で訪れて以来、ずっとこの国に住みたいと思っていました。大学卒業後はアメリカの投資銀行に長く勤め、ロンドンニューヨークにも暮らしていましたが、人の優しさに包まれているニュージーランドでの生活は本当に素晴らしいものと日々感じています。

    日本ニュージーランドの教育の大きな違い

     現在、私が運営しているリアルニュージーランドは、日本からの留学生のお世話を業務としています。彼らの留学生活を通して、ニュージーランド教育の先進性、多様性を間近で感じています。

     住み始めてまず強く感じたのは、とにかく子供の数が多いということです。みんなが裸足で走り回っていて、とても元気そう。それもそのはず、つい最近まで合計特殊出生率は2・0を超えており、社会が活気と元気に溢れています。子供を大切にする社会とは、子育て世代を大切にする社会であるというごく当然のことも強く感じます。

     体外受精、助産師等の出産に関係する費用は全て無料で、出産後の子供の医療費、養育費の家庭負担も最小限となっています。

    教義的なことは算数、読書、作文のみ

     社会の包容力が大きいと感じるのは、プレスクール、そして小学校の初期教育の場でも同様です。小学校には入学式がなく、5歳の誕生日を迎えた後1年間で、個々の家庭が準備できたと思えるタイミングバラバラに入学します。

     基本的に、小学校には、教科書も時間割もありません。教室には、教壇も、横並びの机もありません。子供が楽しいと思える空間作りの工夫に溢れています。身に付ける教義的なことは、算数、読書、作文の三つだけです。子供たちは、アートや音楽、自然とのふれあい、遊びを通じて、もっと大切な多くのことに気づきを得て、何よりも大切な「生きていることは楽しい」という感覚をしっかりと芽生えさせ、ゆっくりと育んでいるのです。

     ニュージーランド教育の現場には、脳科学、教育心理学等の最新の研究結果がいち早く落とし込まれています。その先進性、機動性は、世界でも大変高い評価を得ています。本当の学びのためには、脳(気持ち)がリラックスしている状態が何よりも大切であるという研究結果は、先生方に徹底して共有されています。「楽しい」は決して楽をすることではなくて、子供たちの「学び」を最適化することであると理解されているのです。

    ニュージーランドには“受験”がない

     13歳から18歳までの、セカンダリースクール(中学高校)においても、教育の指針は変わりません。個々の「やりたい」「楽しい」を尊重すること。そして自分自身の時間、空白の時間の重要性についても学校側が深く認識しています。空白は、自身の今と将来を見つめるために、何よりも大切なものなのです。

     高校最終学年に履修するのは通常は4教科のみ。その中に必須科目はありません。学びたいことだけを学びます。ここでも、「楽しい」が最優先されています。楽しく学べないものは、決して身に付くことはないという理念に潔さまで感じます。

     個々の学生が、それぞれ好きな分野に集中するので、他人との成績比較など不可能ですし、意味がありません。また、履修教科数が少ないことで、午後3時過ぎの放課後は自分のための自由な時間をたくさん取ることもできるのです。

     ニュージーランドには受験というシステムがありません。高校3年間で履修した学科単位をもとに政府公認のNCEAという大学進学に必要な資格を得ます。NCEAは世界でも広く認められているので、ニュージーランドの大学はもとより、エディンバラ大学、シンガポール国立大学シドニー大学等の世界の名だたる大学に進学する子も少なくありません。

    海外経験を社会全体で後押し

     また、ニュージーランドの社会教育の一つの大きな特徴は「世界は広い!」を常に子供たちに伝えていることです。それを受けて、毎年4万人以上の若者たちがこの国を旅立っていきます。日本にあてはめると毎年100万人以上の若者が国外に流出する規模です。ニュージーランドはそれを危機ではなく、Overseas Experience(海外経験)をOEと称し、社会全体で後押しまでしているのです。

     今いる場所がすべてではない、もっと「楽しい」ことが世界にはたくさんあるから、ここを出ていって「体験」してきなさいという強い思いがあります。ニュージーランド人はOEを通じていろいろな価値観に触れ、国内人口の20%にあたる100万人もが世界各地に居住しています。また、たくさんの他国籍の方々を自国に受け入れる、国民の優しさや包括力にも繋がっているのです。

    「楽しい」ニュージーランドの教育は「頑張る」日本の教育を上回る

    「楽しい」ニュージーランドの教育が、「頑張る」日本の教育を上回っているのではと感じる場面が多くあります。日本では、常に「楽しい」は「苦しい」「頑張る」の向こう側にあると教えられますが、本当なのでしょうか。15歳の基礎学力を測るOECDのPISAテストの結果は、両国ともトップ20内に位置付けられる一方、『エコノミスト』誌が発表する「未来のための教育指数」のリポートでは、ニュージーランド教育のほうが日本よりも遥かに高く評価されています。

     また、国の教育施策の長期的結果ともいえる社会経済面を見てみると、一人当たりのGDP、平均所得ともに、すでに2010年ごろには、ニュージーランドが日本を上回る結果になっており、その後は差が広がる一方です。

     今後、VUCAと呼ばれる不透明で不確実な時代に直面する子供たちに大切なのは、何よりも自分自身に対するConfidence(自信、信頼)だとニュージーランドは考えています。やらされることを「頑張る」のではなく、自分のやりたいことを見つけ、それに没頭する「楽しい」環境。その中でこそ、広い世界のどんな局面でも、楽しく、強く生きていける人間が育っていくのではないでしょうか。

    ◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2024年の論点100』に掲載されています。

    (藤井 巌/ノンフィクション出版)

    筆者提供


    (出典 news.nicovideo.jp)

    【【教育】ニュージーランドから見た、いつまでもアップデートされない日本の教育《楽しいよりも頑張ることが大切、は正しいのか》】の続きを読む


    受験率の増加は少子化による競争の激化を意味していますね。中堅校の志望者も増加しているようですが、それでも開成麻布などトップ校の人気は変わらないのが興味深いです。

    1 デビルゾア ★ :2023/12/28(木) 04:13:05.71 ID:2+CIc2k39
    2024年中学入試:首都圏の受験率は過去最高を更新も 人気継続で高まる安全志向 エキスパート座談会

    少子化が進む一方、中学受験率は右肩上がりだ。特に首都圏では都心部の受験生が増えており、2024年も厳しい入試が続きそうだ。その結果、志望校選びで安全志向が高まっているという

    (中略)

    ―24年中学入試はどのような状況になりそうですか。

    岩崎 1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)の23年の小6生数は22年より5373人減っていますが、中学入試の受験生数は前年並みになるとみています。22、23年は2年連続で中学受験率が過去最高になりましたが、24年はさらに更新しそうです。

    広野 サピックスも、中学受験生数は23年とほとんど変わらないとみていますが、地域によって増減が目立ちます。中でも文京区や千代田区、港区などの都心部の受験生が大きく増えています。小6生の約半数が中学受験をします。これらの地域の受験生が通いやすい学校は、志望者が増加傾向です。

    井上 日能研の公開模試の受験者数も、前年と変わりません。24年も厳しい入試になるのは間違いなさそうです。

    岩崎 コロナ下では、学校の魅力が伝わるように広報活動を見直した学校が多く、それが中学受験の裾野を広げて、私学の人気を高めるきっかけになりました。また、私学が今の時代に求められている教育に力を注いでいることも、中学受験ブームの根底にあります

    (中略)

    野澤 埼玉・千葉の1月入試は、東京や神奈川の受験生にとって前哨戦になります。1月入試を押さえとして受験する人が多く、確実に合格できる学校を慎重に選ぶ傾向が強まっています。栄東や大宮開成、市川、東邦大付東邦、昭和学院秀英などの上位校の志望者が減り、埼玉栄や昭和学院などの中堅校の志望者が増えています

    (中略)

    ―東京・神奈川の2月入試はいかがでしょうか。

    広野 開成や麻布、武蔵などの最難関校は微減です。無理をせずに合格の可能性が高い志望校を選択する傾向が強まっています。一方、駒場東邦は志望者が増えています。校舎はあまり新しくはありませんが、九つある理科室には貴重な標本や化石なども多く、男子に魅力的な教育環境が人気を集めています

    (中略)

    広野 巣鴨や城北、世田谷学園、攻玉社、桐朋などの伝統男子校も志望者が増えています。これらの学校は、守るべき伝統を受け継ぎながら、若い先生を中心にICTを積極的に活用するなど、新旧のバランスがとれた教育に変わってきています。

    (中略)

    広野 女子は学習院女子や東洋英和女学院、普連土学園、頌栄女子学院、大妻、香蘭女学校などの人気が高まっています。(中略)

    安田 大学の学部の新設・再編が進み理工系や農学系の進路が広がる中、保護者の意識が理系にシフトしてきました。中学受験でも鷗友学園女子や富士見、田園調布学園、普連土学園、カリタス女子など理系進学者の比率が高い学校は人気が上がっています。

    (中略)

    井上 ここ数年、女子校では理系進学率が上昇し続けていましたが、23年は初めて3割を超えました。数学ⅡBまで必修にするなど、理数教育に力を入れている学校が増えていることも一因です。大学入試でも東京工業大と東京理科大が総合型選抜で女子枠を新設するなど、女子の理系進学に追い風になっています。(中略)

    安田 23年は法政大と連携している三輪田学園が人気でした。国際基督教大と連携した佼成学園も人気が上がっています。大学側も高大連携の提携校を広げる動きが活発化しており、上智大が今秋、提携校を大きく増やしました。不二聖心女子学院や聖ヨゼフ学園、東星学園などから既に学校推薦型選抜の合格者が出ています。

    広野 立教大は付属校の推薦枠を増やす動きがあります。立教女学院は24年の高3生から推薦枠が151人から201人になります

    (中略)

    ―大学付属校の人気が落ち着いてきました。

    井上 以前は併設大への内部進学率が高い大学付属校は高人気でしたが、最近は早稲田のように他大学にも門戸を開いている付属校の人気が高まっています。中央大付横浜をはじめ、内部進学率が下がり他大学の合格実績が上がる傾向の付属校が目立ちます。

    広野 学習院女子も、他大学進学者が増えています

    (全文はこちら)
    https://news.yahoo.co.jp/articles/d37b6b2a0964a20fe3837183342cb8dfd5b64bba

    【【中学受験】少子化も受験率はさらに増、都心部の小6の半分が中学受験…開成麻布等トップ校は微減、確実に受かる中堅校の志望者が増加】の続きを読む



    (出典 shiritimes.net)


    学校のデジタル化が進んでいないとは驚きですね。早くデジタル化を進めて、より効率的な業務運営を図って欲しいと思います。

    1 煮卵▲ ★ :2023/12/27(水) 18:45:59.75 ID:3EbEUBh/9
    学校のデジタル化の状況を文部科学省が調べたところ、保護者とのやりとりでは多くの場面で進んでいないほか、業務にFAXを使用している学校は9割以上ありました。文部科学省は教員の負担軽減に向け改善を促すことにしています。

    教員の働き方をめぐり、文部科学省の特別部会は、クラウドツールを活用した負担軽減や、保護者との連絡の原則デジタル化などを提言していて、文部科学省はことし9月から11月にかけ、全国の教育委員会や公立の小中学校に取り組み状況を調査しました。

    この中で、クラウドツールを活用して「完全に」もしくは「半分以上」デジタル化している学校は、「保護者から学校への資料の提出」では9%に、「学校からのお便りなどの配付」では33%などと、保護者とのやりとりの多くの場面で低くなりました。

    また、教員に個人のメールアドレスを付与していない学校が22%、業務でFAXを利用すると回答した学校は96%で、送信先を複数回答で聞くと、民間事業者が70%、教育委員会が58%でした。

    政府の「デジタル行財政改革会議」は今月まとめた中間報告で、小中学校でFAXの事務連絡や紙の出勤簿への押印を、再来年度中に原則廃止するなどとしていて、文部科学省は3年程度を集中取り組み期間とし、改善を促すことにしています。

    NHK
    2023年12月27日 18時04分
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231227/k10014301611000.html

    【【教育】学校のデジタル化進まず「業務にFAXを使用」9割以上に 再来年度中に原則廃止へ】の続きを読む



    「勉強は机でするもの」という考え方は、一部の人には合っているかもしれませんが、全ての人にとっては必ずしも最適な方法ではありません。勉強法は個人の学習スタイルや環境に合わせてカスタマイズするべきです。

    ―[貧困東大生・布施川天馬]―


     みなさんは、自分の子どもを学校に行かせるとき、どんな役割を学校に期待しますか?株式会社カルペ・ディエムとインビザラインジャパン株式会社による小学生高校生のご子息を持つ保護者を153名を対象にしたアンケートでは、次のような結果になっています。

    Q:学校教育に期待することはなんですか?一番近いものを選んでください。
    1位 自信をもてるように、明るく前向きな思考(自己肯定感)を身につけられるようにしてほしい 43%
    2位 思考力・課題解決能力を鍛える教育をしてほしい 37%
    3位 個性や独自性を尊重してほしい 8%
    4位 社会生活に必要な一般常識を教えてほしい 7%
    5位 宿題や議題を増やして教科の基礎力を定着させてほしい 4%
    6位 基本的な生活習慣を身につけてほしい 2%
    7位 英語教育を増やしてほしい 0%


    ◆学校教育に親が望んでいることは?

     この結果を見ると、アンケートに回答した方のうち、3分の1以上は「思考力や課題解決能力を鍛える教育をしてほしい」と答え、40%以上が「自己肯定感を身につけられるようにしてほしい」と望んでいることが分かります

     一方で、勉強に対する期待感はそこまで無いようでして、「宿題や課題を増やして教科の基礎力を定着させてほしい」(4%)「英語教育を増やしてほしい」(0%)に対しては全く票が集まっていません。すなわち、少なくともこアンケートに回答した保護者の方は、「学校の勉強はできなくてもいいから、自分の力で考えられる自己肯定感の高い子どもに育ててほしい」と考えていることが分かります

    ◆勉強の力が実は不可欠

     確かに、問題解決能力と高い自己肯定感さえあれば、自分の力で人生を切りひらいていけると思われます。親は、子どもに自立した一人の大人として育ってほしいと願っているのです。その割には、「社会生活で必要な一般常識を教えてほしい」や「基本的な生活習慣を身につけてほしい」の割合が低いことが気にかかりますが、ここは家庭の方で面倒を見るのでしょう。

     しかし、そのためには勉強の力が不可欠です。問題解決能力を得るきっかけにも、子どもたちが自己肯定感を高めるきっかけにもなりうるからです。落ちこぼれたちが一念発起して東大を目指す様子を描いた『ドラゴン桜』でも、同じことが語られています。





    ◆勉強が苦手な人ほど「机の前で座って行うもの」と考えがち

     東大受験の立役者である桜木から「勉強とは何か」を問われた高原は、「然るべき教育環境の中で教養を学び、物事を考える力を養うこと」と答えます。しかし、これを桜木は一蹴。「勉強とは生きることだ。勉強と生活は一体なのだ」と返します。

     勉強するうえで、最も大切なことは、それが生活の中に組み込まれていること。勉強が苦手な人ほど、「勉強とは机の前に座って行うものだ」と考えがちですが、それは大きな間違いです。生活で行う一挙手一投足すべてが勉強に直結している状態こそが、なによりも理想になっています。

     買い物に行って商品の産地から地理を学んだり、金額の計算から算数を鍛えたり、散歩で星を眺めながら地学を学んだり、様々なことが学べます。ここで鍛えた勉強への好奇心や、知識欲は、間違いなく机の上のお勉強になっても活かせます。こうして、成績が上昇していくのです。成績が上昇していけば、その子は「自分はできる人間なのだ」と考えるようになるでしょう。そして、自己肯定感を得ることにもつながります

    ◆数字目標を掲げることの意味

     勉強ファーストで考えるのは確かに良くありませんが、だからといって、生活と勉強を切り離すのもまた、意味がないことです。「勉強」と「自立した生活」は、表裏一体の存在。どちらも力を入れて、初めて自立した一個人として、「問題解決能力」を携えた大人になることができます。

    「数値目標を掲げて勉強に力を入れる」と聞くと、冷たく無機質な感じがしますが、実態はそうではありません。誰よりも、子どものことを考えるのであれば、まずは目に見える数字を使って目標を管理し、ひとつひとつゴールに達する喜びを子どもに教えることが、重要なのです。そうして成長を実感した先にあるのが、「自立した大人」であると、私は考えています。

     学校で学ぶことは社会に出ても役に立たないと言われることもありますが、これは全く正しくありません。学校で学んだことを通して自身の成長を実感し、学校で学ぶことをたたき台にして自身の思考力を鍛え、初めて社会に出られるのです。だからこそ、勉強を疎かにしていては、思考力も自己肯定感も身につきません。

     生活と勉強、その両輪を自身の力で回し続けられるようになるためにも、まずは学校の勉強に注力するところから始めてみてはいかがでしょうか。

    <文/布施川天馬>

    【布施川天馬】
    1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネスタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Twitterアカウント:@Temma_Fusegawa

    ―[貧困東大生・布施川天馬]―


    ©三田紀房/コルク


    (出典 news.nicovideo.jp)

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    外部に依頼しないのかな?

    PTA加入は、本来任意のはずだが、強い同調圧力が働き実質的には強制加入という慣習が残る学校もある。そんな学校で「PTAの加入は任意ですよね?」と確認したところ「加入しないとどうなっても知りませんよ」という答えが返ってきたら……。関西学院大学の社会学部教授、貴戸理恵さんは「『どうなっても知りませんよ』という言葉の背景には、『相互監視の抑圧』がある。しかし、みんなイヤだけど引き受けているなら、その『みんな』と監視しあうのではなく連帯し、一緒に制度を変えるという方向性もあるのではないか」という――。(第1回/全3回)

    ※本稿は、貴戸理恵『10代から知っておきたい あなたを丸めこむ「ずるい言葉」』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。

    ■「どうなっても知りませんよ」

    このお母さんは、すごいと思います。「PTAは任意ですよね」って、なかなかいえることじゃありません。

    ある小学校で、PTAから4月に配られる文書を見たことがあります。

    子どもひとりにつき一度以上はPTA役員を務めてもらいます。○月○日の役員決め総会に必ず出席のこと。出席できない場合は委任状を提出してください。免除対象の場合は事前に申告してください。無申告・無断欠席の場合、役員に選出されたら引き受けてもらいます」

    その脅迫的な書き方に、思わず「こわい」とつぶやいてしまいました。1年生の親は、先輩親から「働いているなら地域活動委員がいいよ、会合が土曜日だから」とか、「低学年のうちに済ませておくのが得策。6年生で学年委員になると、運動会ダンスのときみんなの前でお手本を踊(おど)らなきゃならないのよ」などとアドバイスを受けていました。「じゃあ○○委員かなぁ」などと思案する1年生の親たちに、「そもそも加入するか・しないかを選べる」という前提はありませんでした。

    ■「子どもが人質」だと躊躇してしまう

    けれども、じゃあこのシーンのようにいわれて、それでも「わたしは入りません」といえたでしょうか?

    「全員参加のポイント制」とは、PTAの係に重要度によって点数を付け、「何点以上」などとノルマを決めておくやり方で、「負担の平等」を確保するためにしばしば行われています。だからこの発言は、「みんな苦労しているのに、ひとりだけ負担を引き受けないんですね?」ということを意味します。

    ここで「やりません」と押し通せば、「勝手な人」と親同士の人間関係から外されるかもしれません。地元のしがらみがあったり、仕事と生活圏が重なっているという人は難しいでしょう。

    また、「卒業式のお花」を持ち出すのは「加入しないと、あなたの子どもがのけ者にされますよ」という脅迫です。PTA関連ではしばしば「子どもが人質」という言葉を聞きます。自分は何と非難されてもいい、という人だって、子どもに不利益があるとなれば躊躇するのではないでしょうか。

    ■なかなか言えない「わたしは入りません」

    これらを考えると、この母親が希望通り断れるかどうかは、心もとない気がします。PTAを取材する新聞記者の堀内京子さんは、小学校の説明会でひとりの母親として、多くの保護者や教師の面前で手を挙げ、「PTAは入退会自由ですよね?」と質問したときのことを次のように書いています。

    「新聞記者の仕事をして20年、社長会見や大臣会見で食い下がることはあった。でも人生の中で、あのPTA説明会でのたった一つの質問ほど、口が乾かわき、舌が思うように回らなかった経験はない」(『PTAモヤモヤの正体』2021、筑摩選書)。

    知識・スキル・経験のある人でさえそうなのですから、「よく知らないけどなんとなくイヤだなぁ」と思っている一般の保護者が断るハードルはどれほどでしょう。「参加は任意。だからわたしは入りません」は、それ自体は正しいけれども、なかなかいえない言葉なのです。

    ■互いの監視はだれのため?

    「どうなっても知りませんよ」という言外の意味を持つ、この言葉の背景を考えてみましょう。

    そこにあるのは、相互監視の抑圧です。別にこのセリフをいっている人だって、やらなくて済むならPTAなんてやりたくなかったかもしれないのです。もちろん楽しんで、やりたくてやっている人もいるかもしれませんが、そういう場合は断られたって「あらそう、やればおもしろいのに」くらいのもので、「どうなっても知りませんよ」なんて圧力をかけることはないでしょう。自分だってイヤだけど「負担は平等に」という「掟」に逆らわずやってきた、という人が、「ひとりだけ楽をするのは許さない」と隣の人に監視のまなざしを向けるのです。

    ところが、それをやってもその人に得はありません。自分の負担が減るわけではないのですから。江戸時代の五人組や、第二次世界大戦下の隣組に明らかなように、相互監視の制度によって利益を得るのは、「掟」を定めるより上位の権力です。この場合、一番ずるいのは、「どうなっても知りませんよ」と互いを監視する個々の人ではなく、自分は何もしなくても目的を達成できる上位権力なのです。

    PTAの場合は、「よーし、保護者に互いを監視させて効率よく支配してやれ」と考える「わかりやすい権力者」がどこかにいるわけではないかもしれません。でも、PTAという組織は、実はピラミッド型の全国組織で巨額のお金を動かしており、全体像がわかりにくいところがあります。そこには「保護者の無償の労力提供によって教育支出を抑えながら、それを『子どものため』といいくるめる構造」を、見て取ることができるかもしれません。

    ■抜け出すための考え方

    だめなのは「負担を避けるあの人」ではなく「負担を強いてくる構造」です。そう考えると、「互いの足を引っ張りあうのではなく、構造を見通す」という道が見えてくるのではないでしょうか。このシーンの登場人物たちは対立しているように見えますが、実は同じ構造のなかでともに抑圧されており、社会を変えるニーズを持っている人たちなのかもしれません。

    「こういわれたら、こういい返せばよい」というような簡単な対処法はありません。でも、引いた視点から自分が巻きこまれている状況を見すえ、どのような仕組みのなかでみんながしんどくなっているのかを考えることはできます。「みんなイヤだけど引き受けている」のはなぜでしょう。みんなが引き受けなくなったら、困るのはいったいだれでしょう。そもそもPTAとは、いったい何のための、だれのための組織なのでしょう。

    「みんなイヤだけど引き受けている」なら、その「みんな」と監視しあうのではなく連帯し、一緒に制度を変えるという方向性だってあります。実際に、PTA改革が進められ、活動内容をしぼって任意参加にするといった改革が行われるケースも増えてきています。

    ■もっと知りたい関連用語

    【PTA(Parents & Teachers Association)】

    2010年代以降、PTAの問題は、メディアSNSなどを通じて知られるようになりました。たとえば、共働き世帯のほうが優勢なのに平気で平日の昼間に設定される会合。貴重な有休を使って学校に集まり、折り紙を折っているワーキングマザーはめずらしくありません。そして抑圧的な役員決め。免除してもらうために「病気」「介護」などの事情を会員の前で話させるところもありますが、個人情報保護の観点からNGです。極めつけが、「任意だけど実質的には強制加入」という慣習。法的には何の根拠もありません。

    近年では、任意加入の原則を明示したり、活動をスリム化して「やりたい人だけがやる」とするなど、改革事例も見られるようになりましたが、課題が多いのも現実です。

    また、PTAは、各学校単位のPTAの上に地域ごとの連合会があり、さらに上に日本PTA全国協議会がある、というピラミッド型の組織で、そうした構造もさまざまな問題をはらんでいます。

    そのひとつが、お金の問題です。上部団体のPTAは補助金の受け皿になったり、保護者が支払う会費が「上納」されたりと巨額のお金が動くのに、その流れは不透明です。

    ジェンダー不平等の問題も深刻です。会員のほとんどが母親なのに、会長や上位団体になるにつれ男性が増えます。母親たちは、子育てと仕事に追われながらPTA役員を引き受け、対外的に発信する場では「長」である男性を立てています。そのうえ「動員」されて興味もないのに参加した講演会で「ぞうきんは手縫いしろ」などといわれた日には、たまったものではありません。

    子どもの学校に親が関わることは、大切です。それは学校が地域に開き、多くの人との交流のなかで子どもが学び、育つことを支えるでしょう。そうした環境を整備するためにも、問題を直視し、適切に対応することが求められます。

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    貴戸 理恵(きど・りえ)
    関西学院大学教授
    1978年生まれ。関西学院大学教授。専門は社会学、不登校の〈その後〉研究。アデレード大学アジア研究学部博士課程修了(PhD)。著書に『「生きづらさ」を聴く 不登校・ひきこもりと当事者研究のエスノグラフィ』(日本評論社)、『「コミュ障」の社会学』(青土社)などがある。

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    貴戸理恵『10代から知っておきたい あなたを丸めこむ「ずるい言葉」』(WAVE出版)より


    (出典 news.nicovideo.jp)

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