令和の社会・ニュース通信所

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    カテゴリ:国内 > 貧困


    生活保護申請が9カ月連続で増加しているのは心配ですね。景気の低迷や経済格差の拡大が原因とされていますが、社会的な支援体制の改善が急務ですね。貧困の連鎖を断ち切るためにも、さまざまな支援策が必要です。

    1 はな ★ :2023/12/06(水) 15:27:07.74 ID:lWTVKwvu9
    生活保護申請、1・3%増 9カ月連続、厚労省
    2023年12月6日 12時02分 東京新聞
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/294327?rct=national


    厚生労働省は6日、9月の生活保護申請は2万1644件で、前年同月比1・3%増だったと発表した。増加は9カ月連続。担当者は「新型コロナウイルス禍をきっかけに、増加傾向が続いている。引き続き動向を注視したい」と話した。

    申請件数の前年同月比の増加は、2~5月には10~20%台の高い水準で推移し、その後は1~3%台となっている。


    ※全文はリンク先で

    【【社会】生活保護申請、1・3%増 9カ月連続、厚労省】の続きを読む



    生活保護を受けている人に対する風当たりは本当にひどいですね。彼らも辛い状況に置かれているのに、なぜみんなが彼らを責めるのでしょうか?もっと支え合って生きていくべきだと思います。

    生活保護に関して行政の対応のまずさがニュースになりましたが、そこで改めて浮き彫りになったのは「生活保護制度への不平・不満」。なぜ生活保護は批判の対象となるのでしょうか。

    生活保護のよくある勘違い、5つ

    先日、群馬県桐生市生活保護を受給する50代男性に、月額約7万円の生活保護費を1日1,000円ずつ渡し、全額支給していなかったことが話題になりました。

    これに対して、市の対応を批判するコメントが相次いだ……ではなく、確かに市の対応はNGだけど「支援の仕方を考えたほうがいい!」「生活保護制度の見直しを!」などの意見が目立ち、改めて生活保護制度に対する不平・不満が浮き彫りになるカタチになりました。

    そもそも生活保護制度は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を権利として具体化したものです。しかし生活保護を受けていながら余裕のある暮らしをしている(ような)姿がネットで広く見られるようになると、生活保護自体が批判にさらされるように。ネガティブイメージが広がるなか、支援を必要としながらも申請を躊躇する人も増え、正しい情報が届かず、勘違いも多く生まれています。

    生活保護の勘違い① 働いているから生活保護は受けられない

    給与(手取り)が最低生活費を下回っていれば、働いていても生活保護を受けることができます。たとえば東京23区の40代の最低生活費は、生活扶助基準額が7万7,240円、家賃に相当する住宅扶助基準額が5万3,700 円。合計13万0,940円。手取りがこれを下回っていれば、その差額が支給される可能性があります。

    生活保護の勘違い②持ち家だから生活保護は受けられない

    持ち家であっても生活保護は受けられます。ただし高額である場合は売却するよう指導されることがあります。また住宅ローンを払い続けることは基本的にはできません。

    生活保護の勘違い③いま住んでいるところに住民票がないから生活保護は受けられない

    現在住んでいる住所の役所で、生活保護を申請することができます。

    生活保護の勘違い④年金をもらっているから生活保護は受けられない

    年金生活者であったり、労災保険や雇用保険、児童手当などをもらっていても、収入が最低生活費以下であれば、その差額が支給されます。

    生活保護の勘違い⑤車があるから生活保護は受けられない

    車の価値が低く、1年以内に再就職が見込めたり、公共交通機関のない地域で通勤に必要だったり、事業用に必要だったりする場合は、生活保護が認められることが多いようです。

    バッシングされる生活保護…欧州各国と比べると利用率は極端に低い

    日本における生活保護の利用者は203万人(2022年3月時点)。日本の総人口1億2,494万人から考えると、生活保護利用率は1.6%となります。この数値、欧州諸国と比べると随分と低い数字だといいます。たとえば北欧のスウェーデンでは4.5%、フランスは5.7%、ドイツは9.7%。また生活保護を利用する資格がある人のうち、実際に生活保護を受けている人は日本では2割に過ぎないとか。仮にドイツ並みの水準にすると、700万人近い人が生活保護を受けることになるといいます(厚生労働省資料より)。

    なぜ生活保護を必要としながらも申請しないのでしょうか。そこにはやはり、生活保護への風当たりがあるのでしょう。そして風当たりが強くなったきっかけが、生活保護の不正受給。生活保護を受けながら、優雅な暮らしをしている様子がネットなどで広く知られるようになると、生活保護を受けておきながら、我々よりも良い暮らしをしているなんて……許せん!」という声が溢れるようになったのです。

    厚生労働省によると、生活保護の不正受給は保護費全体の0.4%程度で、その割合に大きな変化はないといいます。それでも生活保護は、元々私たちの税金。不正受給はゼロにすべき!」という声も。しかし申請、調査が厳格になると、本当に生活保護を必要とする人がさらに躊躇してしまい、届けなければいけない支援がいっそう届かなくなる恐れも。なんとも難しいものです。

    生活保護を受けながらの生活を投稿した東京在住の30代の男性も、世間の風当たりの強さから申請を一度は躊躇したといいます。男性は会社員時代に身体を壊し入院、そのまま退職をしたといいます。貯蓄といえる貯蓄もなく、とても生きてはいけないと生活保護を申請。現在、月13万円程度の保護費をもらいながらハローワークと病院に通っているといいます。

    ――ハローワークや病院に通いながら、毎日1,000円を受け取りに役所通い……正直しんどい

    冒頭のニュースへの感想。また病院通いを投稿した際には、生活保護者は医療費がタダでいいよな」と悪意のあるコメントを多くもらい、一時、通院まで躊躇したとか。「でも、病院にいかないと社会復帰は遠のくので」と、再び通院するようになったといいます。

    ――世間の目が怖い。早く生活保護の生活から抜け出したい

    と悲痛な想いを綴る男性。一刻も早く、病気を治し、就職できるよう奮闘しているといいます。男性のように、大抵の生活保護受給者は、批判されるようなことはしておらず、何とも不憫。しかし生活保護が批判の対象になるのは、私たちのさまざまな不平・不満が背景にあります。

    ――最低賃金や年金が生活保護費より低いなんて許せない!

    きっと一度は聞いたことがあるこのフレーズ厚生労働省によると、東京都最低賃金は時給1,113円。仮に月6.5時間、1ヵ月に22日働いたとしたら、月15.9万円。そこから税金などが引かれると、手取り12.5万円ほど。生活保護費を下回ります。また年金の平均受給額は、厚生年金受給者で月14万円。実際の手取り額は月12万~13万円弱となるので、やはり生活保護費を下回ります。

    確かに、頑張っている人が生活保護を受けている人より収入が低いなんて……と批判したくなるのも分かります。しかし「最低賃金や年金が低すぎる」ことが何よりも問題です。

    最低賃金については、昨今の物価上昇もあり今後、さらに引き上げられる可能性は高いといわれています。しかし年金は……むしろ引き下げられる可能性が高く、公的年金の将来の給付水準などを示す「財政検証」によると、20年後に2割減は確実視されています。

    年金額が減少する理由のひとつは財政難。しかし年金が減少すれば困窮する高齢者が増えていくでしょう。そうなると、生活保護を受ける高齢者は増え、その分、コストはかさむはず。

    現在、生活保護受給者の半数以上が65歳以上だといわれています。「国にお金がない」→「年金額減少」→「生活保護の高齢者が増加」→「国の支出増加」……なんともちぐはぐなことが起きようとしています。

    (※写真はイメージです/PIXTA)


    (出典 news.nicovideo.jp)

    【【社会】生活保護月13万円・ハローワーク&病院通いの30代男性「世間の目が怖い」と悲鳴…生活保護受給者に向けられる、あまりにヒドイ風当たり】の続きを読む


    住宅弱者の支援は、急務だと感じます。物件探しの障壁を取り除くために、民間企業が情報提供や仲介の支援を行うことで、ひとり親やその他の住宅弱者の方々がより公平で適切な住まいを見つけられるようになると嬉しいです。その上で、賃貸物件の充実や家賃補助制度の拡充なども検討されるべきですね。

    1 蚤の市 ★ :2023/11/20(月) 12:05:56.06 ID:udoTH78s9
     身寄りのない高齢者やひとり親家庭、障害者ら、住宅の賃貸契約を断られやすい「住宅弱者」への対応が急務となっている。大家側が家賃の未払いや孤独*どトラブルを恐れたりするほか、偏見も入り交じって貸すことを拒むケースが多いという。単身世帯の増加などで対象者は今後増えるとみられるが、国の対応は後手に回り、全体数すら把握していないのが実態だ。対策に乗り出す民間業者や当事者らの思いとは。(嶋村光希子)

     住宅弱者 低額所得者、被災者、高齢者、障害者、高校生までの子を養育する人らを国は「住宅確保要配慮者」と定義して支援対象にしている。2017年施行の改正住宅セーフティネット法では、要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度や入居への経済的支援、要配慮者への入居マッチング支援を行う。
    ◆高齢、無職、同性カップル、外国人…多くの人たちが直面
     「年収や勤務形態、保証人の有無など根掘り葉掘り聞かれたのに、内覧すらさせてもらえなかった」。東京都内のひとり親女性(34)は悔しさをにじませた。複数の物件をあたったが、内覧予約をすっぽかされたり、契約を諦めるよう促されたり。独身時代の家探しと比べ、物件の選択肢は限られ、難航したという。
     賃貸物件の契約が困難なのはひとり親世帯に限らない。孤独*どのリスクを抱える高齢者や生活習慣の違いによる近隣トラブルを懸念される外国人、無知による偏見をもたれた性的少数者(LGBTQ)と、さまざまな理由で幅広い人たちが直面している。
     不動産情報ポータルサイトを運営する「LIFULL(ライフル)」(東京都千代田区)には切実な声が寄せられる。
    「65歳以上のため保証金を倍近く請求された」
    「障害により退職し、家賃を下げようと物件を探したがなぜ無職か厳しく問われた」
    「女性同士のカップルはトラブルが多そうとの理由で入居を断られた」
    同社が住宅弱者1300人を対象にした調査では約6割が物件探しや賃貸契約の際に困った経験があると答えた。
    ◆専門サービスが登場
     こうした悩みを解決しようと、同社は2019年から住宅弱者の部屋探しに理解のある不動産会社の検索サービス「FRIENDLY DOOR(フレンドリードア)」を運営。双方をつなぐ仕組みで、賛同する店舗数は5000店まで伸びた。人工知能(AI)を活用した接客支援も行う。サービスを考案した事業責任者で中国籍の龔軼群キョウイグンさん(37)は家族らが家探しに苦労した経験があり「生活に必要不可欠なことを決める上で差別を受けるのはおかしい。誰もがなる可能性がある住宅弱者について知って」と訴える。
     高齢者やひとり親ら各当事者向けを専門にした不動産仲介も登場。LGBTQら向けに特化する「IRIS(アイリス)」(新宿区)の須藤啓光社長(33)は「先入観や偏見による入居差別は根強い。高齢者や生活保護受給者などの要素が重複するとさらに部屋探しが困難になる」と語る。
     住宅弱者に詳しい追手門学院大地域創造学部の葛西*にしリサ准教授(住宅政策)は「いろいろな事情から家を借りられない住宅弱者は今後も増える」とみる。一方で全国的に空き家は増えており、「双方を橋渡しする存在が必要だ」と指摘している。
    ◆政府の対策は・・・足りない「専用住宅」
     国は住宅弱者を「住宅確保要配慮者」と定めて対策を進めるが十分ではない。
     民間住宅を要配慮者向けの「専用住宅」として登録し、家賃を補助する制度は2017年に始まったが、その数は全国で5000戸超に過ぎず、需要に応えられていない。数が増えないのは不安に感じる大家が多いためとみられ、国土交通省の担当者は「大家の不安感をどう解消するかが課題」と話す。要配慮者が何人いるかも、当事者の属性が重複する場合もあり「全てを把握できない」という。
     こうした状況に、今年7月から厚生労働省と国交省、法務省の3省で検討会を開催。住まいの円滑な確保や住宅政策と福祉政策を一体化した居住支援のあり方などを議論する。座長を務める東京大の大月敏雄教授(建築計画)は「空き家が増える中で、貸す・貸さないの二元論ではなく、どんな条件なら貸せるかを話し合える関係が必要」と述べた。
        ◇    ◇
    ◆「大家にとってはビジネスチャンス」東京大・大月敏雄教授(略)

    東京新聞 2023年11月20日 06時00分
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/291085

    【【社会】ひとり親「内覧すらさせてもらえなかった」…物件探し難しい「住宅弱者」どう支援する? 民間企業も参入】の続きを読む



    「弱者に寄り添うはずのマスコミが見落とすKKO問題」という記事、とても興味深いですね。確かに、シングルマザーや非正規中年男性といったさまざまな弱者の問題がある中で、マスコミが一部の問題にフォーカスしすぎてしまうことがあります。全ての弱者の声に耳を傾けるべきですね。

    日本のマスコミの多くは「弱者に寄り添う報道」を信条としてきた。ところが、そうした報道が批判を集めることも少なくない。ジャーナリスト佐々木俊尚さんは「前世紀と違い、いまの社会では弱者と強者は固定化されたものではない。それなのにマスコミは『絶対的な弱者』を前提にしている」という――。(第1回/全3回)

    ※本稿は、佐々木俊尚この国を蝕む「神話」解体』(徳間書店)の一部を再編集したものです。

    ■マスコミの「弱者に寄り添う」の「弱者」とは誰か

    「弱者」「マイノリティ」などの用語は、21世紀になって棍棒のように振り回されすぎたせいで、すっかり軽いことばになってしまった。新聞やテレビツイッターなどいたるところに「いまの政治にはマイノリティへのまなざしが欠落している」「弱者に寄り添え」などの言いまわしがあふれている。

    もちろん、弱者の味方をすることが悪いわけではない。弱者を救うのは当然のことだし、それを否定する人はいないだろう。では、このように「弱者」「弱者」と言いつのることの問題点とは何か。

    それは「弱者」「マイノリティ」がいったいだれを指しているのか、ということが大きく変化してきていると認識されていないことである。弱者の意味が変わってきているのに、それを看過してしまって、ステレオタイプに弱者、マイノリティと言い続けていることが問題なのである。

    ■昔は障がい者やLGBTが「弱者」と捉えられていた

    この数十年の歴史を振り返ってみよう。

    1960年代の高度経済成長の頃から1990年代ぐらいまでは、日本は「総中流社会」と呼ばれていた。貧困はほぼ撲滅したと思われていて、格差はあってもさほどは目立たず、大半の日本人が「自分は中流である」と考えていた。マジョリティとマイノリティの違いは明快だった。

    この時代のマスコミには「標準家庭」という用語があって、会社員の夫と専業主婦の妻、子ども2人の4人家族の意味だった。増税などのニュースがあると、新聞やテレビは「標準家庭では、平均して年に1万2000円の負担増になります」と解説していた。

    すなわち、この4人家族こそが「標準」でありマジョリティだったのである。そしてこの「標準」に当てはまらない人が、マイノリティ。障がい者や病人やLGBTや在日の人、さらには働く独身女性なども、時にこのマイノリティの箱に入れられていた。

    わたし1990年代には、事件・事故や社会問題を扱う全国紙の記者だった。先輩や上司からは、さかんに新聞記者の理念を叩き込まれた。このような理念だ。

    「マイノリティの目線で社会を見よ。社会の外側から社会の内側を見て、光を逆照射することによって、総中流社会に潜んでいる問題が見えてくるのだ」

    この理念は、21世紀になっても綿々とマスコミの中に引き継がれているように感じる。しかし世紀が変わって、時代の空気も大きく変化している。それにマスコミの人たちは気づいていない。

    ■圧倒的「強者」だった男性が「弱者」に転がり落ちてきた

    最大の変化として、2000年代小泉純一郎首相のときに派遣法が改正され、非正規雇用がどっと増えたことがある。いまや働いている人の4割が非正規雇用である。正社員はだんだんマジョリティではなくなってきている。

    さらに正社員であっても、平成不況の30年のあいだにコスト削減と人員削減のあおりを受けて仕事はきつくなり、労働時間も増え、ブラック労働の問題も大きくクローズアップされるようになった。終身雇用は事実上崩壊し、いつ会社が潰れるのか、いつ自分が失業するのかわからないという不安を、非正規の人だけでなく正社員の多くも感じるようになっている。

    つまり圧倒的な強者だったはずの男性が、平成のあいだに弱者に転落してきているのである。「家父長」という古いことばもあるように、昭和の頃までは男性は家庭でいちばん偉い人だった。会社や組織には、偉そうにいばっている中年の男はたくさんいた。いまでもそういう人がいなくなったわけではないが、多くの男性が結婚もできず、非正規で働き、正社員であっても日々抑圧されて、弱者に転落している。

    「総中流社会」もすっかり崩壊し、格差が広まり、富める者と貧しき者の上下の分断が進んでいる。年収200万円以下の貧しき中年男性が、どうして強者やマジョリティになれるというのだろうか。

    ■「総弱者社会」の到来

    さて、このように前世紀とくらべると社会構造が大きく変化したのにもかかわらず、マスコミはいまも「マイノリティの目線で社会を見よ」という古い姿勢を引きずってしまっている。

    LGBTや障がい者への差別がなくなったわけではないのはもちろんだが、「差別される弱者」は一部の人たちだけではなくなったことが大きな変化なのである。LGBTや障がい者だけが弱者なのではなく、社会のあらゆる層が弱者化していくという「総弱者社会」が到来しているのである。

    この「総弱者社会」では、だれが弱者になっていてもおかしくない。しかし、もし全員が弱者になってしまったら、いったいだれが弱者を守ってくれるのか?

    ■シングルマザーと非正規中年男性、どちらがより弱者か

    ほとんどの人が弱者である社会をイメージしてみよう。弱者の「弱さ」にも強弱がある。強いところと、弱いところがある。

    たとえばシングルマザーは、とても弱い存在だ。厚生労働省2016年の調査だと、母子世帯の母親の平均年収は約200万円だという。働いている人全体の平均年収の半分以下である。支援も行き届かず、困っている人はとても多い。

    では、シングルマザーよりももっと弱い弱者はいるだろうか? インターネットスラングで「キモくて金のないオッサン」というのがある。略して「KKO」という。年収200万円以下の非正規雇用の人は日本に1000万人近くいて「アンダークラス」などと呼ばれているが、このアンダークラスの中でも中年の男性はとびきりの弱者だ。彼らをシングルマザーと比べてみたらどうだろうか。

    もちろん、ひとりひとりによってさまざまなケースがあるので、単純に「どちらがより弱者か」などと比較するのは、倫理的にもよろしくない。しかし、それでも強いて比較対象として見ると、シングルマザーには一点だけKKOに優る部分がある。それは「女性だから、助けの手を差し伸べてもらいやすい」という点だ。

    ■「だれが弱者か」を決めつけるのは問題

    KKOは、容易に助けの手を差し伸べてもらえない。なぜなら「キモい」からである。ボランティアなど女性の支援者がうかつに手を差し伸べたりすれば、勘違いして襲ってくることだってあるかもしれない。だれからも見棄てられてしまう可能性が高いのが、KKOなのである。しかし社会は「彼らは男性だから」という理由で弱者として扱うことをしない。

    「だれが弱者で、だれが弱者ではない」と決めつけることの空しさが、ここにはある。

    女性とトランスジェンダーのどちらが弱者なのか? という議論も、複雑だ。

    しばらく前からくすぶっている「トランスジェンダー女性はスポーツ競技の女子種目に参加していいのか?」「トランスジェンダー女性は、女子トイレや女性用の浴場を使っていいのか?」という議論がある。トランスジェンダー女性というのは、もとは男性だったが「自分は女性である」と自認している人たちのことを言う。

    ここで厄介なのは、性別適合手術を受けていないトランスジェンダー女性でも、これらの権利を認めるべきだという訴えがあることだ。

    トランスジェンダーは弱者である。弱者の権利は保障されなければならない。このロジックで言えば、みずからを女性と自認するトランスジェンダー女性は、女子競技への参加や女子トイレ使用の権利を認められなければならない。

    しかしシス女性(性自認と生まれ持った性が一致している女性)からは、反論が出ている。当たり前のことだ。元男性で筋力など運動能力が非常に高いトランス女性が女子競技に出れば、運動能力に劣るシス女性は入賞できなくなってしまう。男性器をつけたままの見知らぬ人といっしょに風呂に入ってもいいと思う女性も多くはないだろう。

    このように「どちらが弱者なのか?」という話は、社会のいたるところに点在している。「だれが弱者か」を固定的に決めつけてしまうのは、問題が多いのだ。

    かといって、ここで「弱者ランキング」を作成して比較するようなことも、意味はない。そんなランキングは、歪んだヒエラルキー意識を社会に持ち込むだけだからである。トランスジェンダーはある場面では弱者であり、別の場面では強者にもなり得る。そういう理解が最も公正なのではないだろうか。

    ■生活保護29万円のシングルマザーが叩かれる世の中

    2013年に、とある生活保護家庭の家計についての記事が朝日新聞に出た。「貧困となりあわせ」という見出しの記事で、家計はこう紹介されている。41歳の母が14歳の長女と11歳の長男を育てる母子家庭。受給している生活保護の額は毎月29万円。その使い道の内訳も掲載されており、習い事などの娯楽費に4万円、衣類代に2万円、携帯電話代に2万6000円、固定電話代に2000円

    この記事がネットに出まわると、批判が殺到した。「私の給料より多い」「なんで毎月2万円も服が買えるんだ」などの声がたくさん聞かれた。

    それぞれの家庭にはさまざまな事情があり、この家のお金の使い道が妥当かどうかは簡単に決めつけられることではない。しかし、この炎上ケースから見えてくるのは、「生活保護の母子家庭=弱者」「会社員=強者」という20世紀的な構図が崩れてきており、ブラック労働で給与も減っている一般労働者のほうが、生活保護家庭よりも悲惨な生活を強いられていることだってある、ということだ。

    2021年車椅子の女性がJRの無人駅に行こうとしたところ、JRから「乗車拒否」にあったとブログで訴えたことがあった。バリアフリーな社会を目指すのは当然だし、車椅子の女性が弱者であるのは間違いない。しかし彼女のブログは、JRの駅員にかなり強硬な調子で対応を求めているように受けとれ、またマスコミの力を借りてJRを糾弾する対応を用意していることも書かれていた。この結果、ブログは炎上して彼女は批判を浴びることになった。

    車椅子の女性と、巨大企業のJRをくらべれば、女性のほうが弱者であるのは間違いない。しかしインターネットでの反応を見ていると、「巨大企業のJR」というよりも実際に鉄道の仕事にたずさわっている駅員さんに同情する声が目立っていた。「エッセンシャルワーカーとしてたいへんな労働を強いられている駅員さんと、マスコミバックに駅員さんを強く叱りつける女性」という構図になっていたのである。

    ■マスコミは「新しい弱者」に目配りできていない

    すべての無人駅エレベーターを設置するなどの対応をJRは求められるが、それを決定するのは経営者や役員であって、末端の駅員さんたちではない。JRは強者だが、駅員さんたちは強者ではなく、乗客からのいわれなき非難や暴力にも日々さらされて苦労している弱者なのである。

    このように弱者か強者かというのは、その都度の場面によって、関係によって、コロコロと変わる。

    だから大切なのは「弱者だから大切にせよ」「強者だから非難されて当然」と最初から決めつけてしまうことではない。弱者と強者が混じり合って存在し、つねに立場が入れ替わってしまうような社会で、その都度バランス良く「何が公正か」を判断していくことなのである。

    「こぼれ落ちている弱者はいないか」「弱者が転じて強者となって、逆に抑圧を生んでいないか」ということを、わたしたちはつね振り返り続けなければならないのだ。

    しかし20世紀の価値観から抜け出せない新聞やテレビ、そして一部の社会運動は、いまも「絶対的な弱者」観に頼り、「新しい弱者」に目配りできないままでいる。社会に対する観察の射程があまりにも短すぎるのではないか。

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    佐々木 俊尚(ささき・としなお)
    ジャーナリスト評論家
    毎日新聞社、月刊アスキー編集部などを経て2003年に独立、現在はフリージャーナリストとして活躍。テクノロジーから政治、経済、社会、ライフスタイルにいたるまで幅広く取材・執筆を行う。『レイヤー化する世界』『キュレーションの時代』『Web3とメタバースは人間を自由にするか』など著書多数。総務省情報通信白書編集委員。TOKYO FM放送番組審議委員。情報ネットワーク法学会員。

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    佐々木俊尚氏 - 画像提供=徳間書店


    (出典 news.nicovideo.jp)

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    厳しい現状に直面しています。年金15万円という数字を聞くだけでも希望を持ちますが、現実的にはもらえないのではないかと感じています。これからの生活設計に不安が募るばかりです。

    1 煮卵▲ ★ :2023/11/14(火) 15:04:16.34 ID:6HW1ZF269
    THE GOLD ONLINE 11/13(月) 19:12配信

    「厚生年金に40年間加入して、その期間の平均収入(月額換算した賞与含む)が月43.9万円の場合、受給額は月額約9.0万円の老齢厚生年金と、月額約6.5万円の老齢基礎年金を合計した約15.5万円(2021年度)になります」。

    厚生労働省の運営するホームページ
    『いっしょ一緒に検証!公的年金』
    には、このような例が受給額としてあげられている。

    月15.5万円……これを多いとみるか少ないとみるかはさておき、「厚生年金に40年間加入」「その期間の平均収入が月43.9万円」というのは、なかなかハードルが高いのではないか。


    ⬛就職氷河期世代「年金なんて、どうせもらえないから」

    厚生労働省が運営するホームページ『就職氷河期世代の方々への支援のご案内』によると、「就職氷河期世代」とは、「バブル崩壊後の1990~2000年代、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行い、現在も様々な課題に直面している方々」をさす言葉だ。
    就職氷河期世代の置かれてきた厳しい環境は、厚生労働省のレポート「平成21年版 厚生労働白書」にも記されている。
    “バブル経済崩壊以降、厳しい雇用情勢の中で若者の就職環境も厳しいものとなり、いわゆる就職氷河期が続いた。

    この間の状況を概観してみよう。
    まず、就職率・就職内定率(就職希望者のうち就職(内定)者の占める割合)と求人倍率を見てみると、大卒では求人倍率は1990(平成2)年の2.77から2000(平成12)年には0.99に、就職率は調査を開始した1997(平成9)年の94.5%から2000年に91.1%まで落ち込んだ。高卒についても、求人倍率は1990年の2.57から2003(平成15)年の1.21に、就職内定率は1990年の99.2から2002(平成14)年の89.7に落ち込んだ。

    完全失業率を見ると、もともと若年層は、中高年層と比べると失業率の水準が高い傾向にある中で、
    全年齢では2002年に5.4%、15~24歳層では2003年に10.1%、25~34歳層では2002年に6.4%のピークを記録した後、低下する傾向にあったが、25~34歳層では全年齢の動きに比べて失業率の改善に遅れが見られており、2008年には再び前年より上昇し5.2%となるなど全体的に高止まりの状況にある。

    また、年齢階級別に長期失業者数(失業期間1年以上の失業者数)を見ると、25~34歳層の長期失業者が最も多くなっており、長期失業者全体に占める割は
    1998(平成10)年までは10%台後半から20%台前半で推移していたところが、1999年頃から上昇し、20%台半ばから後半で推移するようになった。


    ”就職氷河期世代の年金問題は、正規社員になれず、厚生年金に加入していなかった期間が長いというだけではない。

    当時、「年金制度は破綻している。どうせ自分たちの時代にはもらえないのだから、払うだけ損だ」という考えが若いフリーターを中心に流行した。
    そのため、実際に国民年金を支払っていなかった層がある程度いたのである。

    続きは
    https://news.yahoo.co.jp/articles/a9ea37c660b20d7b2e7df8b27cd96548427c9b44

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