令和の社会・ニュース通信所

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    カテゴリ:国内 > 男女


    年金格差問題は深刻ですね。女性も同じような働きをしているのに、なぜ男性の3分の2しかもらえないのでしょうか。もっと公平な社会を作るために、改善策が必要です。

    1 蚤の市 ★ :2024/03/08(金) 08:59:13.83 ID:/kWBU/kF9
    女性の年金受給額が「男性の3分の2」しかない現実 歩きながら「お金が落ちてないかな」と思う84歳

     3月8日は国際女性デーです。
      ◇
     65歳以上が受け取る老齢厚生年金の女性の月額平均受給額は10万9000円で、男性のわずか3分の2だ。生活に困窮する1人暮らしの高齢女性は少なくない。結婚と同時に仕事を辞め、家事や育児に専念した人たちが、老後に厳しい現実を突き付けられている。(中村真暁)
     「死にたい。生活はずっと苦しい」
     千葉県の大規模団地で1人暮らしする女性(84)は投げやりにつぶやいた。年金は月7万5000円。ほかの収入は、近所への冷凍食品配達で月1万円があるだけだ。月約5万円の家賃に光熱水費、食費を払うとほぼ何も残らない。約30万円の貯蓄は「*だときのために」と手は付けられない。服はもらい物。誘われても外出しない。
     昔、10年ほど勤めていた東京・新宿の老舗店は29歳のころ、結婚を理由に辞めた。「結婚後も勤める女性はいなかった。当時は皆そうだったし、あの人(夫)に仕事を辞めてくれと言われ、面倒みなきゃと思った」
     専業主婦となり2人の子を育て、病で倒れた夫を約20年、自宅で介護した。夫が10年前に亡くなると生活は苦しくなった。夫は自営業だった。厚生年金と違って遺族年金はなく、受け取れるのは自分の年金だけ。「道にお金が落ちてないかなって思いながら、いつも歩いてる。この先どうなるか不安」とため息をつく。
    ◆35年務めても「年金こんなに違う」
     千葉県の別の単身女性(81)は35年間、工場や市場で働いた。月約10万円の厚生年金で暮らす。「給料やボーナスが違うと年金までこんなに変わる」。男女の年金格差に憤る。

     職場で同僚男性から「残業したって、偉くなれないよ」と言われ、心にぐさっときたこともあった。働き続けたのは、夫の収入が十分でなかったことだけではない。何より横暴な態度に我慢がならず「自立したかった」。
     子育てを終え、夫とは60歳で離婚した。社会保険料の負担が生じる「年収の壁」を気にせず働いたことがよかったと思っている。「年収の壁を気にしていたら年金も貯金も少なく、離婚もできたか分からない」
     年収の壁が女性の働く意欲を下げ、受け取る年金額にも影響する。女性が家庭に縛られてきた背景の一つだと感じる。「女性が不利になっている仕組みを、もっと知ってほしい」
    ◆男女差最大の85歳以上で年54万円も
     国の全国家計構造調査(2019年)を基にしたニッセイ基礎研究所の坊美生子准主任研究員の集計によれば、単身世帯で女性が年間に受け取る公的年金・恩給額はおしなべて男性より低い。差は最小の70〜74歳でも年16万円、最大の85歳以上では年54万円になる。

     結婚後、男性が就労を続け、女性が家事育児を担う性別役割分業が背景とみられる。勤続年数が短い女性は厚生年金が男性に比べ少なく、夫の死後に受け取る遺族年金も夫の厚生年金より少ない。
     坊さんは「年金政策は『世帯』が考え方の根本となってきたため、個人単位の経済基盤への目配りが遅れてきた」と指摘。女性の平均寿命は87歳で男性より6年ほど長く、核家族化や未婚率の上昇で、単身世帯はさらに増加が見込まれる。

     困窮する高齢女性の増加が懸念される中、坊さんは中高年女性への再就職支援などの強化を国や企業に求める。「女性管理職の育成は若者に焦点が当たってきたが、中高年女性も除外せずにモチベーションを上げ、能力が発揮できるよう、リスキリング(学び直し)やキャリアアップの後押しをしてほしい」と話す。

    東京新聞 2024年3月8日 06時00分
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/313753

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    「男女格差解消は日本経済活性化に必須条件である」という意見に賛同です。女性が経済活動に参加し、活力を与えることで、企業の競争力が向上し業績が上がると考えられます。女性の多様な視点やアイデアを取り入れることで、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もあります。

    ■男女格差の研究がノーベル賞を受賞

    現在、アメリカでは広範な分野で女性が活躍しており、有力企業の幹部の女性の比率も増えている。私が初めて留学生として渡米した1960年代には、ニュースキャスターを務める女性は珍しい存在であったが、今や女性のほうが多いように思われる。

    そのような今のアメリカ社会でも男女の賃金格差は完全には解消していない。高賃金でも拘束時間も長い上級職に就く女性が、子育てのためキャリアを中断せざるをえず所得が低下する問題がある。そして、その間に同僚の男性が先に出世してしまい、賃金・所得の差が持続していく。以上のようなメカニズムを研究して2023年度のノーベル経済学賞を受賞したのが、ハーバード大学クラウディア・ゴールディン教授であった。アメリカの労働力に関する約200年分ものデータを用いて、賃金格差や女性の就業率が時代とともにどう変化していったかを、産業構造などの背景とともに包括的に説明してみせた。

    日本においても、この傾向は著しい。経済協力開発機構(OECD)の22年の国際比較によると、日本企業の女性の役員比率は15.5%と、先進7カ国の中では他国に大差をつけられて最下位であった。他の調査でも、企業管理職や議員・閣僚の女性の比率は世界的に見て低い。農耕時代には天照大神(あまてらすおおみかみ)を信仰していた国であることを考えると、不思議である。学術の分野においても同様で、19年の調査では、大学等の女性教員の割合はOECDの平均44%に対し、日本は28%でOECD諸国中最下位。研究者に占める割合も17.7%と群を抜いて低い。

    クリントン政権の財務長官を務めた経済学者ローレンス・サマーズは、ハーバード大学の学長だった05年、「女性からは物理・工学分野の卓越した研究者は生まれにくい」ととれる発言をして非難を浴び、結局は辞任することになった。

    男性と女性では生物としての役割が違うのだから、得意・不得意な領域があって当然であろう。確かに理系の研究者は男性のほうが数が多いので、その事実を指摘すること自体は問題がない。だからといって、競争条件が劣っていた女性が研究に向いていないと判断するのは早計であろう。

    科学者志望の女性は今まで大きな障害を乗り越えなくてはならなかった。アメリカでもかつて「男の子には立派な教育を授けるが、女性はいずれ主婦になって家庭に入るのだから、高等教育は受けさせなくてもいい」と考える親がいた。学者になりたいと教授に申し出たら、「あなたは女性だから弟子にとれない」と言われた学者もいた。しかし、その一人は今やイェール大学の生化学の看板教授である。同じ条件で競争したら成果も変わってくる。

    ■より業績が高いのは女性が参加する企業

    男女を問わず、人間は自分の趣向や能力を伸ばして一度きりの人生を精いっぱい生きたいと願う。ある生き方をしたいと思っても、男性に都合のよい社会制度ゆえに、それができない状態は解消していくべきである。より功利的に女性参画を正当化する方法もある。それは社会の生産性を上げる観点として、両性の能力の「質」の差、多様性に着目することである。両性は世の中を違った見方で見ており、あるいは同じ対象に対しても目の付け所が違う傾向にある。視点の違いがビジネスにせよ学問にせよ、新しい地平を切り開くために役立つ。

    アメリカのITリサーチ企業の調査では、意思決定に女性が強く関与する企業は、そうでない企業の業績を平均50%も上回った。その理由としては、まず「男女の多様性のある職場のほうが才能ある人材を集めやすい」からであるが、より重要なのは「多様な価値観の中で、異なるアイデアの交換が活発化する」からである。

    アメリカ人の妻は私にこう言う。「今のロシアウクライナ戦争ハマスイスラエルの戦争を見てみなさい。好戦的な男性がトップに立って喧嘩をしている。ドイツのメルケル前首相のように、女性が各国のイニシアチブをとれば世界は変わってくるんじゃない?」

    長い人類の歴史で、狩りに出てより広くの領地を獲得しようとしてきた男性と、子どもを安全に育てる本能を持つ女性では戦争に対する見方は違う。このような視点があることで、世界は多様化して豊かになっていくのであろう。

    ■日本経済の活性化に男女格差解消は不可欠

    日本政府も女性の才能を活かすことに熱心である。13年に閣議決定した日本再興戦略において、女性の力を「わが国最大の潜在力」として成長戦略の中核に位置づけ、保育所定員を72万人増やすなど、女性の労働参加率を引き上げるためのさまざまな政策を展開した。

    その結果、第2次安倍政権時代の8年間で、30代以下の既婚女性を中心に、女性の就業率は55.9%(12年)から69.6%(20年)へと大きく上昇した。しかも、その上昇分のほとんどは正規雇用による増加であった。

    とはいえ、自民党の一部に残る男性優位の価値観に影響されているのか、政府は特に税制で男女格差を残す制度を温存している。パートアルバイトで働く人の年収が130万円以上になると、税額控除や国民年金や国民健康保険料の支払いにより手取り収入が減ってしまうため、女性の働く時間を制約する「130万円の壁」がある。これは事実上、女性が一定以上働かないことを政府が後押ししている制度にほかならない。このような税制は一刻も早く廃止すべきである。

    夫婦別姓をめぐる議論では、最高裁は現行の制度に違憲性はないと判断した。「形式的にはどちらの姓をとってもいい」という言い訳があるのかもしれないが、働く女性にとっては結婚するとき、姓の変更がさまざまな面で大きな負担になる。こうした制度がなかなか変革できないことは、昔ながらの男性中心主義的な考え方の裁判官がまだ多いことを示している。他方、トランスジェンダーの性別認定の条件として断種手術を課す法律を裁判官全員で違憲とした判決は、日本の将来に希望をつなぐものと思いたい。

    ある国立大学の教授がこのようなことを言っていた。「今の男子学生は、どこに就職すれば出世コースに乗れるかと考えて、既存の世の中の仕組みに頼ろうとする。むしろ女子学生のほうが、自分で起業するとか、みんなが気が付かない新機軸で新しい経営を試そうとする」

    本当にそうであるかはともかくとして、今、日本経済に最も必要なのは、そのような態度ではないだろうか。男女格差の解消は、日本経済を活性化させるために必須の条件である。

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    浜田 宏一(はまだ・こういち
    イェール大学名誉教授
    1936年東京都生まれ。東京大学法学部入学後、同大学経済学部に学士入学。イェール大学でPh.D.を取得。81年東京大学経済学部教授。86年イェール大学経済学部教授。専門は国際金融論、ゲーム理論2012~20年内閣官房参与。現在、アメリカ・コネチカット州在住。近著に『21世紀の経済政策』(講談社)。

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    (出典 news.nicovideo.jp)

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    女性の活躍推進は社会全体の課題です。小池知事のような著名な女性の存在が、世の中に女性が活躍できることを示し、多くの女性が勇気づけられることでしょう

    女性首長らによる女性の活躍を進めるための会議が開かれ、共同代表を務める小池知事は「政治分野で女性は野党だ」として結束の必要性を訴えました。

    6月25日栃木県日光市で開かれた、女性活躍推進にむけた会議「びじょんネットワーク」では、小池知事や栃木県の女性市長らが議論したほか、東京の女性区長や市長らもオンラインで参加しました。

    女性活躍を巡っては、スイスシンクタンクによる各国の男女平等を順位付けした「ジェンダーギャップ」で、日本は調査対象の146カ国中125位と過去最低まで落ち込んでいます。また、政治分野では女性の首相が誕生していないなどを理由に138位と、最低水準に沈んでいます。

    小池知事はこうした状況を踏まえ、女性のリーダーたちが連携を深めていく必要性を訴えました。

    小池知事:「まだまだ政治の社会・世界において、女性はずっと野党なんですよ。だからここはどうみんなで連携して、女性の力を政治の分野で生かしていくのか。これからの日本の大きな勝負、分かれ目につながっていくんじゃないかな」


    女性活躍推進へ 小池知事「政治分野で女性はずっと野党だ


    (出典 news.nicovideo.jp)

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    道のりは長いです。

     3月8日は「国際女性デー」だ。国連は今年の国際女性デーのテーマを「持続可能な明日に向けて、ジェンダー平等をいま」としている。しかし、日本社会の置かれた状況を見ると、「ジェンダー平等」「男女共同参画」は、遅々として進んでいないという現実がある。

    「平成の停滞した日本経済を指す『失われた30年』という言葉がありますが、この期間は女性の社会進出という面でも『失われた30年』です」

     そう語るのは、国際人権法やジェンダー論を専門とする法学者の谷口真由美氏だ。谷口氏は、昨年まで日本ラグビー協会の理事を務めた経験から、日本社会の「男性中心主義」「序列主義」の問題点を問う新刊『おっさんの掟』を上梓したばかり。谷口氏は、日本社会で女性登用が進まない本質的な理由を同書でこう語っている。

    ◆ ◆ ◆

    社会のあり方は「おっさん中心主義」のまま

     日本は1985年に世界の女性の憲法と言われる女性差別撤廃条約を批准、同年「男女雇用機会均等法」も成立しました。それから平成30年間を経て、働く女性こそ増えたものの、「おっさん中心主義」の社会のあり方は根本的には変わっていません。

     セクハラ、マタハラ(マタニティハラスメント)など女性へのハラスメントは減少したと言えませんし、「最近になってようやくそのような概念の存在を知った」という男性も残念ながら少なくないでしょう。

     数字の上でもその停滞ぶりは明らかです。日本政府は約20年前から「202030」という政策を進めていました。これは2020年までにすべての公職における女性リーダーを30%にするというものです。また、民間企業の女性管理職の割合も増やすよう求めていました。

     しかし、この目標は達成できず、政府は2030年代に指導的地位にある男女の比率が同水準になることを目指すという方針に変更しました。経団連も「2030年30%のチャレンジ」として「2030年までに役員に占める女性比率を30%以上にする」としていますが、2021年7月の内閣府調査によると、東証1部上場企業の3分の1は、いまなお女性役員がゼロとなっています。

     また、2021年10月の解散総選挙は、男女の候補者数をできる限り均等にするよう政党に求めた「政治分野における男女共同参画推進法」が成立して初めて行われた衆議院選挙でした。ところが、当選者に占める女性議員の割合は9.7%に過ぎず、前回衆院選を下回る結果となっています。

     これでは、女性の意見が通るはずがありません。

    女性は社会のさまざまな場面でマイノリティになっている

     ちょっと想像していただきたいのですが、あなたを含めたお友達10人が「焼き肉お寿司、どっちを食べに行こうか」となったとします。ひとりが焼き肉、9人がお寿司と希望を言えば、当然「お寿司」ということになるでしょう。ふたりが焼き肉、8人がお寿司でもそれは変わらない。

     では、3人が焼き肉で、7人がお寿司だったとします。そしたら「焼き肉派」の意見もようやく考慮されるようになる。つまり多数決が原則の社会において、「マイノリティの意見」が認識されるのは3割を超えてからがやっとで、それまでは見向きもされないわけです。

     私がよく耳にするのは「大事なのは優秀な人材が登用されることだ。30%と割合を決めると『女性なら誰でもいい』となり、優秀な男性を排除する“逆差別”になりかねない」という意見です。しかし、それは人口比で言えば男性とほぼ同数であり、マジョリティであるはずの女性が、社会のさまざまな場面でマイノリティになってしまっているという構造的矛盾から目をそらしています。

     マジョリティの側が意識して、政治的、政策的なルールを作って手立てを打たなければ、女性に限らず、マイノリティはずっとマイノリティのままなのです。

     また、「30%」を実現するための「高い壁」の正体がなんであるかという議論が進んでいないことも、大きな問題です。

    「谷口さんはオンナやし、どうせわからへんやろ」

     先ほど申し上げたハラスメントの問題に加え、相変わらずの性別役割分担観念、女性の経済的な問題など、その要因は数多くありますが、やはりもっとも大きく立ちはだかっているのは「自らがマジョリティであることに、いまだ無自覚なおっさんが多すぎる」という問題でしょう。

     私のラグビー協会での2年間で、「マジョリティによるマイノリティ排除の空気」を嫌というほど感じました。

     もちろん法人準備室長、審査委員長という重責を任されたこともあり、私のことを尊重してくださった協会の皆さんも多かった。とくに若手スタッフにはラグビー界の改革を真剣に考えている人も多く、彼らからの期待は強く感じていました。

     しかし一方で、「つねに蚊帳の外」という雰囲気もありました。

    「あぁ、谷口さんはオンナやし、どうせわからへんやろ、しゃーない、しゃーない、ええよ、ええよ」みたいな。これは一種の気遣いとも言えますが、そこには「俺たちのやり方がわからんヤツは、口を出さんでいい」みたいな“排除”の空気も感じられたのです。

    「女性だからわからないだろう」「選手の経験がないから」「ヨソから来た人間だからしゃーないわ」みたいな三重のマイノリティであるために、組織のルールや内輪の論理がわからず、なかなか議論に踏み込んでいけない。私みたいなズケズケ言う性格ですらそうなのですから、ほかの女性理事はもっと大変だったと思います。

    男性中心、年功序列など「従来のルール」の改革を

    「話が長い」と揶揄されるくらい、女性理事はみなさん頑張って言うべきことを言ってきましたが、圧倒的に協会側との情報量が違うため、どうしても最終的な意思決定は、協会幹部に一任せざるを得ないことも多かったのです。

     社会における女性比率の底上げをルール化することはもちろん重要ですが、こういった「マジョリティとマイノリティの情報格差」を改善すべく真剣に取り組まない限り、いくら数字だけの女性登用を推し進めても、決して本質的な問題解決にはならないでしょう。

     何度かお話ししたように、スポーツ庁は競技団体の女性理事の割合を40%以上とするガバナンスコードをつくり、男女のギャップ解消に取り組もうとしています。ラグビー協会もその方針に沿って女性理事を増やし、私が理事を外れた2021年6月の役員改選で女性理事を25人中10人にし、女性比率を40%まで引き上げました。

     しかし、そこで選ばれた女性理事が、協会を引っ張っていけるかと言えば、それほど簡単ではありません。男女の「数」だけではなく、「機会」そして「情報量」を均等にすること、「サポート体制」と「心理的安全性」が確保されることがなにより大事だと思います。

    「心理的安全性」とは、「組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態」のことを指します。近年、「生産性が高いチームは心理的安全性が高い」という研究結果が発表されたことから注目されている概念で、この概念を掘り下げた書籍『恐れのない組織』(エイミー・C・エドモンドソン著・英治出版)はベストセラーになっています。

     権力をもった男性が中心となってルールをつくり、招き入れた女性たちに「俺たちのルールに従え」と強要するだけでは、未来は拓けません。それは私のラグビー協会での2年間を見ても明らかです。

     アリバイ的に女性を多く登用しても、男性中心、年功序列など「従来のルール」に手をつけなければ結果的になにも変わらなくなってしまう。組織の意思決定者が考えるべきは、これまで当たり前のように固定化されてきた「おっさんの掟」を意識的に改革していくことなのです。

    (谷口 真由美)

    谷口真由美氏


    (出典 news.nicovideo.jp)

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    いろんな問題があります。そんな中でも女性差別は起きているようだ。

    自衛隊の幹部候補生を養成する防衛大学校には1割ほどの女子学生がいる。防衛大学校を卒業したライターの松田小牧さんは「女子学生は、生理中でも遠泳や行軍などの訓練に参加しなければいけないため負担が大きい。男子学生から『女子のくせに』と言われることも多く、努力することを諦めてしまう女子学生もいる」という——。(第3回)

    ※本稿は、松田小牧『防大女子 究極の男性組織に飛び込んだ女性たち』(ワニブックスPLUS新書)の一部を再編集したものです。

    ■「女子は生理が止まって普通だから」と語る指導教官

    防衛大学校の生活を紹介するうえで、女子特有の悩みにも触れておかねばならない。生理についてだ。

    生理痛は個人差がひどいため、「イライラしてしまうサイクルがあるのが嫌」「生理中の訓練が本当に苦しかった」と挙げる者がいる。ある者は、生理痛が重いため、過酷な行軍時に被らないようにとピルを服用し、副作用に耐えていたのに行軍時に生理が来てしまって泣いたという。

    1学年時の夏の訓練では、東京湾8キロ遠泳がメインとなり、毎日海やプールでの練習が実施される。高校時代までは、「今日あの日だから見学で」が通用するが、私の知る限り、防大では「生理だから」と言って練習を休んだ女子学生はいない。

    訓練期間は約1カ月あるため、大体一度は生理期間が重なる。みんな慣れないタンポンを装着して訓練に挑むことになるが、そもそもタンポンを使ったこともない者がほとんどのため、トイレで悪戦苦闘し、時間にも追われて軽いパニックになることもある。

    ある者は「遠泳本番と生理2日目が重なった。なんとか乗り越えたけど、『こんなキツいことがほかにあるのか』と思った」と振り返る。話を聞く限り、女子学生の生理への扱いは、昔の方がキツかったようだ。

    40期(女子1期)代は、「あまり問題視、重要視されなかった」と振り返る。防大には医務室があり、風邪などの治療はそこで受けられるが、婦人科はないため、外部の病院に通院するには指導教官の許可が必要となる。

    そんな中でピルを処方してもらうため、「男の指導教官に言いたくもないのに申請に行ったら、『女子は生理が止まって普通だから。そういうケースはよく聞くよ』と言われた同期がいた」と話す者がいた。

    また、なんとか横須賀にある民間病院にかかったところで、「『オリンピックに行った女性は血を垂れ流しながら走ってた』って言われたから、あそこ行かない方がいいよ」などという話をしたこともあったという。

    ■医師から「子宮が未熟な状態です」と告げられる

    生理をめぐっては、普段は少ない女子同士の確執があったという意見もあった。

    訓練前になると、ピルの処方の希望の有無を聞かれる。訓練の強度で言えば4学年の陸上要員が最も高いため、下級生がピルを処方してもらおうとすれば「『今のうちからピルを飲むとか信じられない。今からそんなこと言ってたらこれからやっていけないよ』と言われて諦めた」「3学年のときに野営があるから処方してもらおうと思ったら『3年なのにピル使うの』と4学年の女子に言われた」という者もいた。

    私自身、1学年の途中から約2年間、生理が止まった。本来であればすぐに病院に行くべきだということは頭では分かっていたが、ただ「楽だから」という理由で放置していた。

    3学年時、武装走というフル装備で行う障害物競走のような訓練の本番当日に生理がやってきて、「久しぶりに来た」という安堵と「なんで今……」という悲しみの気持ちが入り交じった。その後もかなり周期が不規則で、一度病院で診てもらった際には「子宮が未熟な状態です」と言われ、「将来妊娠できるのだろうか」と不安になったことがある。

    ところが自衛隊を辞した途端周期が安定し、今では二児の母だ。防大在学中は「大体のことは気力でカバーできる」と思っていたが、身体は思ったより正直なんだと妙に感心した。取材の中でもやはり、「生理が止まった」と話す者が複数いた。聞く限り私と同様、「まずいなぁとは思ってたけど、病院には行かなかった」という。

    ■いまだに生理不順が続く卒業生も

    訓練期間中、陸上だと山に入ればトイレがないこともある。つまりナプキンを取り替えることもできない。となれば、「生理がない方が楽」と思ってしまうことはやむを得ない。

    「防大、自衛隊はやっぱり女子のリズムには合っていない」と指摘する者もいた。今回の取材ではテーマとして「生理」を問うたわけではないが、複数の女子から生理についての言及があった。おそらく、私が聞いていないだけで不調を抱えていた女子はまだいるだろう。

    部隊に行ってからピルを飲み始めたというある者は、「生理を自分で管理できるし、生理痛も減ったし、なんなら肌も綺麗になった。なんで防大時代飲んでなかったんだろう」と話す。私は運良く女性としてのリズムを取り戻せたが、卒業して自衛隊を退職し、それなりの月日が経過しても「まだ不順のまま」という者もいる。

    生理が来ない、というのは楽なことではあるが、女性の身体にとっては不自然な状態だ。その割を食うのは、子どもを欲したときの将来の自分かもしれないことを、よく認識する必要がある。

    ■「幹部が100キロ歩いて敵陣地に乗り込む時点で戦争に負けてる」

    次に「体力」に関連する事柄だ。これは陸上要員で圧倒的に多かった。

    シンプルに「1学年の時はずっと走らないといけなかったから足が痛くなった」「訓練、学生舎生活は体力的にキツかった」「体力勝負でどろんこになって、という訓練がどうしても好きになれなかった」などという意見はもちろんある。

    腕立て、匍匐(ほふく)前進、銃を持って走る「ハイポート」……どれもしんどい。海上・航空とは少し異なり、体力至上主義のきらいがある陸上要員での退職者の中には、「航空だったらやめてなかったと思う」と話す者もいるくらいだ。

    行軍では「元々靴擦れをしやすかったので1学年のころから半長靴が足に合わなくて本当に嫌だった。眠い中、痛みと共に強制的に歩かされる、黙々と歩いていて何やってんだろうって毎回思ってたし、なんとかこなしてた空しい感じがあった」

    「幹部がこんな100キロとか歩いて敵陣地に乗り込もうとしてる時点で戦争には負けてる。結局精神を鍛えるためだけのもので、それでこんなに心身をすり減らすのって意味あるのかなと思ってた」などの意見が寄せられた。

    余談だが、卒業後、出産を経験した同期たちと「行軍と出産、どっちが楽だったか」という話を何度かした。結果は半々くらいだった。私自身はかなりの安産だったこともあり、断然「出産の方が楽だった」派だ。女子にとっての行軍はそれくらいキツい。

    ■「お前がお荷物なんだから」「これだから女は」

    また、何人かから挙がった「怪我」については、男女問わず防大生は怪我が多いのは確かだが、個人的には比率としては女子の方が多いように思う。

    単に「怪我をして痛かった」からつらかったという意見もあったが、「怪我をすると普通の防大生活が送れなくなる。なんとかついていくのに必死だった」「周りに負担をかけて『何してんだ自分』と落ち込んだ」ことを苦しい思い出として挙げる者もいた。

    ただでさえ、男子に後れを取っていると感じているところ、さらに怪我をすればその心理的負担は増すことになる。「体力がないことで男子についていけないことに起因するつらさ」を挙げる声も多かった。いくつか紹介しよう。

    「自分は足が痛くなったときに受診して走らなくなったけど、周りには足が痛いのに走ってる人がいて、自分が甘えてる感じがしてつらかった」
    「競技会の練習中、『お前がお荷物なんだから』と言われた」
    「行軍中靴擦れを起こし、足の皮はベロベロ。必死に歩いてたが、後ろから荷物を持ってくれた男子にお礼を言ったら『これだから女は』と言われた」
    「どの学年になっても結局体力勝負の競技が多い。どんなに頑張っても自分が足を引っ張っているのが耐え難い。自分の分の荷物を男子に渡して、男子が荷物を二つ持って走っているのに、ビリになってチームの足を引っ張る。それが屈辱だった」

    「男子から『体力ないんだから、もっと自分ができることを積極的にした方がいいよ。じゃないと男子とうまくやれない』と言われた」
    「学力ではトップだったのに、戦闘機搭乗訓練の順番決めの際に女だからって理由だけで最後にさせられた」
    「いざ作戦を考えるというとき、当たり前のように『じゃ、お前は見張りな』と言われた。作戦なら私にだって立てられる。でもそこですら戦力外とみなされる。何も来るわけがない山の中で突っ立って涙を流した」
    「『行軍中、女子はLAM(個人携帯対戦車弾、約13キログラム)とか持てないんだからさ、もっと下手に出ろよ』と言われた」など、枚挙にいとまがない。

    体力の部分は、どう頑張っても補えないところがある。それに直面して苦しみ、男子学生からの「何気ない」一言にまた傷付く。おそらく、上記の発言をした男子学生は、自分がそのような発言をしたことを覚えていないだろう。ましてや言われた側の心に傷を付けたことなど想像すらしないだろう。

    ■つらい訓練に追い打ちをかける「アンチ女子学生」の存在

    「つらかったこと」として、「アンチ女子学生の目に留まること」と回答した者もいた。防大には、一定数「女子だから」という理由だけで存在を一段下に見る男子学生が存在する。

    自分に自信を持てない状況下では、自分に否定的な者の存在がより大きくクローズアップされる。個人的な経験としては、女子学生を一段下に見る発言をしがちなのは、普段は「お前は頑張ってるよ!」などと声をかけがちな男子学生で、自身にも余裕がないときには急に「女子サゲ」になる傾向があった。行軍はその最たる例だ。

    行軍では6人ずつ程度の分隊に一つずつ、機関銃(9キログラム)とLAM(13キログラム)が渡され、目的地まで持ち運ばなくてはならない。分隊員で持ち回りをするが、そもそも背のうと呼ばれるリュックも十数キログラムあり、4キログラムの小銃も携行しているので、女子はそれ以上の荷物をなかなか持つことができない。

    男子学生自身も決して楽とは言えない状況の中、「女子学生がいる分こちらに負担が増えている」とイライラし出すと、上記のような発言が飛び出しがちだった。

    取材の中では、「『これだから女学は〜』と言ってた奴に限って、卒業後に会ったら『俺普通の女と結婚したんだけど、めっちゃ弱いしすぐ文句言うし。防大の女子って頑張ってたんだな』とか言う。女関係で痛い目見たのかな(笑)」などという声もあった。

    ■対等に扱われず自己肯定感を失っていく女子学生

    さて、体力差、またこのような発言を許す風潮は、女子学生の意識も変化させる。

    「女子を下に見てる感じ、女子はいらねぇとか、邪魔なんだよとか言われてるような感じがずっとあって嫌だった」
    「陸上の初歩的な戦闘戦技訓練が始まり、肉体的な男女の相違をいやおうなしに実感させられるようになってからが特につらかった。総合的な体力は平均的に男性の72%しかない、関節や骨格、筋肉の構造が異なるという前提を認識していないまま、同期の中で対等に扱われたい、同じ基準を満たしたい、または満たさなければならない、でもできない、という葛藤があった」
    「同期に助けてもらってばかりの自分が情けなく、そんな人間が指揮官になって何ができるのかと卑屈になった」
    「訓練はついていくのがやっと。かといって勉強面で優れているわけでもなく、自分は価値のない人間だと思い込んだ」

    男子学生についていけないことで、自分が「劣った存在」であると捉えてしまう女子学生が多いことが見て取れる。「十分頑張っている、そこまで思い悩む必要はないのに」という女子であってもだ。

    ちなみに、訓練の悩みとしては、陸上は上記のように圧倒的に体力だが、海上の訓練では「船にはワッチ(見張り勤務)があり、夜寝られないことがある。しかも夜寝ていないからといって昼寝られるわけではないので眠かった」「シャワーや洗濯が制限されるのがキツかった」という声があった。

    航空からは、「つらかった」経験として訓練の話は一切挙がらなかった(「訓練でつらかったことは何ですか」と聞けば出てきたのかもしれないが、今回は誰に対してもそのような聞き方をしていない)。

    ■「女子のくせに」と言われつづけ頑張ることを諦めてしまう

    そんな環境下では「頑張る前に頑張ることを諦める」女子も出てくる。

    「本当は意見を出したりまとめたりするのが好きなのに、自分が女子だからという理由でそれができなかった。女子がリーダーになったらみんな嫌がるから」
    「同期の女子が学生隊本部で役職に就いた。すると『女子のくせに』とか、『どうせ女子は内恋(内部恋愛)してるからダメだ』という批判が飛んだ」
    「目立つ女子の上級生がいろいろ言われているのを聞いていた。頑張って目立てばこんな風に言われるのかと思って前に出るのをやめた」

    このように、入校ほどなく、「女が目立つのは大変。そして目立ったら目立ったで悪評が立つ」ことを学ぶ。結果、「女性は一歩引く、我慢するものというのが植え付けられた」と話す者もいる。このような状態で「私は頑張って上に立とう」と思うには、相当の気力がいる。

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    松田 小牧(まつだ・こまき)
    ライター
    1987年生まれ。大阪府出身。2007年防衛大学校に入校。人間文化学科で心理学を専攻。 陸上自衛隊幹部候補生学校を中途退校し、2012年時事通信社に入社、社会部、神戸総局を経て政治部に配属。2018年、第一子出産を機に退職。その後はITベンチャーの人事を経て、現在はフリーランスとして執筆活動などを行う。

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    ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AH86


    (出典 news.nicovideo.jp)

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