日米の尖閣防衛に不備あり、米シンクタンクが暴露 中国が着々準備、日本インフラへの破壊、サイバー、電磁波攻撃(1/5) - JBpress 日米の尖閣防衛に不備あり、米シンクタンクが暴露 中国が着々準備、日本インフラへの破壊、サイバー、電磁波攻撃(1/5) JBpress (出典:JBpress) |
日本の政治家が尖閣防衛に法改正案
「中国は本気で尖閣を取りに来る」
そう言い切るのは野党第一党の国民民主党の前原誠司代表代行(元外相)だ。
2021年2月中国は準軍事組織、海警局の公船の武器使用を可能にした改正海警法を施行した。日本の領土である尖閣諸島周辺で操業する漁船や海上保安庁の船舶に発砲できるという国内法だ。
前原氏は、尖閣の警備強化のための自衛隊法や海上保安庁法の改正を議員立法で今国会に共同提出する。
ひと言で言えば、海上保安庁に「領土保全」の任務を持たせ、間断のない自衛隊の部隊行動基準(Rules of Engagement=ROE)を法律に明記するという改正案だ。
(https://janet.jiji.com/apps/contents/view/20210531/565/viewtemplate1)
同時に「日米の連携を強化し、抑止力を高め、北東アジアの平和と安定に取り組む」と主張している。
日米の連携をどう強化するかについて同氏は言及していない。確かに自衛隊法や海上保安庁法の改正は必要だ。だがどこか内向きで、大所高所からの視点に欠けていると言わざるを得ない。
日本の政治家にその爪の垢でも煎じたいような衝撃の報告をさせていただきたい。
「日米同盟すら心許ない」
日米の軍事専門家たちの尖閣防衛論議は、そんな抽象論を飛び越えて日米間に現存する「同盟調整メカニズム」(ACM)*1改正の急務に絞られていることが明らかになった。
米第7艦隊の元司令官や日本の元統合幕僚長ら日米軍事専門家たちは「このままでは尖閣防衛はおろか、日米同盟の根幹を揺るがしかねぬ事態になる」という危機感を共有しているのだ。
*1=2015年制定された日米の新ガイドラインに明記された日米間の危機対応メカニズム。
これは5月25日に米有力軍事シンクタンクが公表した特別報告書に明記された。
NBR(The National Bureau of Asian Research)が5月25日、公表した特別報告書「Murkey Waters in the East China Sea: Chinese Gray-Zone Operations and U.S.-Japan Alliance Coordination」(東シナ海における不透明な海域:中国のグレイゾーン・オペレーションと日米同盟調整)がそれだ。
同報告書作成に関わったのは、米側はジョナサン・グリーナート退役海軍大将(元第7艦隊司令官、米海軍作戦部長)、ジョン・ヘミングズ・D・イノウエ・アジア太平洋安全保障研究センター准教授、ウェイド・トーボルト退役海軍大佐、、クリスティン・ガネス・ランド研究所政策上席研究員の4人。
日本側は、斎藤隆・元統合幕僚長(中曽根平和研究所海洋安全保障研究会委員長)、徳地秀士・元防衛審議官(政策研究大学院大学客員教授)、中村進・退役海将補(笹川平和財団客員研究員)ら6人。
NBRは2020年7月公表した報告書で、日米が尖閣防衛で「日米統合機動展開部隊」の常設を提案している。この時もグリーナート氏が座長を務めている。
参照:「米国、ついに尖閣防衛に積極関与へ」(JBpress 2020年8月5日付、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61561)
今回、報告書を書くにあたって日米軍事専門家たちは一つの現状認識で一致した。
中国軍が実際に尖閣諸島に上陸し、占領に至るグレイゾーンの状況下で、中国は今何を考え、目論んでいるか、(いや、その一部はすでに実行に移している)への危機感だった。
中国がなぜ、今、それほど尖閣に固執するのか。報告書の趣旨を要約するとこうなる。
「漁業権や天然資源といった海洋権益の拡大はあくまでも目先の目的に過ぎない。尖閣諸島は、地政学的に見て東シナ海における重要な戦略拠点だ」
「尖閣を獲得することで東シナ海での覇権を確実なものにする。尖閣奪取は中国にとっては本格的な日米同盟に対する戦略的チャレンジである」
「そのために中国はグレイゾーン状況下であらゆるリソースを使って着々と準備を進めているのだ」
グレイゾーンとは、尖閣有事に至る直前までの不透明なゾーン、つまり「平時と有事とのThreshold(閾値)」を超えるゾーンを指す。
ランド研究所のガネス氏は、今現在、中国が推し進めている「グレイゾーン・オペレーション」についてこう分析している。
「中国は海警局の公船による尖閣諸島沖の領海侵入を繰り返している。これはコンベンショナル・ケイパビリティ(通常戦力)の行使だ」
「だが、その裏で蠢いているのは、中国がAI(人工知能)、アルゴリズム、データ処理機能といった情報・ハイテクを使ったアンコンベンショナル・ケイパビリティ(非在来型戦力)だ」
「中国は尖閣有事をちらつかせながら情報ハイテクによって日米のあらゆる通信システムを撹乱させるようとしているのだ」
「中国人民解放軍に戦略支援部隊(Strategic Support Forces)を創設し、通常戦力と宇宙戦力、サイバー戦力を結合させることで(尖閣を超えた)より大きな国益の拡大を狙っている」
「中国のグレイゾーン・オペレーションは今後さらに増強されるのは火を見るより明らかだ」
退役軍人で戦略研究者のヘミングズ、トーボルト両氏は日米のグレイゾーン・オペレーションの現状についてこう記述している。
「現行のACMは確かに有効だが、いくつかの点で制約がある。第1に、日米間にはグレイゾーンの定義に違いがある」
「どこからが紛争状態に入ったのか、どこからの始まりなのか、その解釈で日米間には食い違いがある」
「これは中国の軍事・準軍事行動に対する適切な対応をとる上で、混乱を招きかねない。ACMは改正が必要だ。現行のACMには不明瞭さがある」
「尖閣諸島周辺は、海上保安庁巡視船が現在、かろうじてコントロールしているが、AMCの混乱は中国に尖閣を奪取されるテンポを速めかねない」
「日米合同部隊の指揮統制(C2)統合司令部も不可欠だ。在日米軍の再編成も必要だ」
中国にとっての大きな障害
佐藤隆氏ら日本側軍事専門家たちの尖閣諸島防衛に対する認識も米側と変わりない。
「日米同盟に基づく、東シナ海に位置する各国の協力はインド太平洋地域の安定化にとって一層重要になってきている」
「特に尖閣諸島をめぐる係争は内在する危険をはらんでおり、一つ対応を誤るとこの地域における楔石である日米同盟を変質させる可能性を秘めている」
「尖閣諸島を守るという米国のコミットメントは有事の際に(中国の)攻撃を阻止する上で日本にとっては死活的に重要な約束事だ」
「中国は、日米安保条約第5条を尖閣防衛に適用させまいとありとあらゆるグレイゾーン・オペレーションを行使しようとしている」
「ここでカギとなる課題は、日米同盟がこうした中国のグレイゾーン・オペレーションにいかに効果的に対処するかにかかっている」
「中国にとっては、日米の強固な同盟関係は日本が固有の領土だと主張し、その領有を堅持してきた尖閣諸島を奪取するうえで大きな障害となっている」
「だからこそ、中国は尖閣をめぐる日中間の係争をテコにして日米離反を利用としているのだ」
日本のインフラが中国の標的
これは尖閣諸島周辺で領海侵犯を繰り返す海警局の船舶などによる「通常戦力」だけではない。
米側の軍事専門家が指摘する「非在来型戦力」を酷使した中国の大掛かりな対日戦略なのだ。
日本側は具体的に以下の点を列挙している。
一、情報ハイテクを使った日本の金融システム、エネルギー供給網への妨害。
二、電磁システムを使った日本の人工衛星や地上通信ネットワークへの妨害。
三、海底ケーブルシステム破壊による日本の通信ネットワークへの妨害。
その結果、日米はどんなダメージを受けるのか。
「中国のこうした破壊的オペレーションは、日本のインフラに依存する自衛隊と在日米軍の戦力に大きなダメージを与えることになる」
尖閣有事以前のグレイゾーンでの中国の「対日侵略」は着実に進行しているのだ。
冒頭に引用した前原氏は、かつて中国の最高指導者、鄧小平が1989年に言った「韜光養晦」*2(とうこうようかい)が2010年9月の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件から変わったとも述べている。
*2=韜光(とうこう)は、名声や才覚を覆い隠すこと。養晦(ようかい)は、隠居すること。転じて爪を隠して才能を隠すという意味だが、密かに力をつけて時期を待つ戦術のこと。
だがNBRの特別報告書が明らかにした中国のグレイゾーン戦略の実態を知れば知るほど、中国は今まさに「韜光養晦」に徹していることが手に取るように分かるというものだ。
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(出典 news.nicovideo.jp)
マツ 日本が尖閣諸島を固守するために先ずスパイ防止法を制定し公安機関を統合・拡充し権限を大幅に強化し、特亜工作員とそのシンパを徹底的に排除するべき。 次に海自に対し海上警備行動を下令し護衛艦部隊を尖閣領海に派遣し、同時に尖閣諸島への自衛隊施設の建設を進めていくべき。 |
マツ それに対し中国による尖閣領海へ海軍艦艇の派遣、海上民兵による尖閣諸島への上陸等、我が国の尖閣諸島の実効支配強化を妨害した場合は中国に対し全面的経済制裁を科す旨を中国政府に通告するべき。 また尖閣諸島への海上民兵の大規模上陸に備えオスプレイを那覇基地に配備し、治安出動により陸自普通科中隊を迅速に事前展開させる体制を整える必要がある。 |
Ricker 今後の戦争って宇宙空間の通信衛星の攻防から始まりそう、敵の通信を破壊するにせよ奪うにせよ衛星は全ての要。それ以外の機密や資産的な情報戦はとっくの昔から始まってる。シーレーンばっか気にしてたけど本格的に中国が宇宙進出してきてるから絶対碌な事にならない。国際社会のルールより自分の国のルールだから抗議で止まる筈も無い。 |
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