危ないです。

 2020年以来、米国で増えるアジア系米国人に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)。直近では、ジョージアアトランタマッサージパーラーで起きた、アジア系女性を含む8人が殺される銃乱射事件が記憶に新しい。

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 その背景には根強い嫌中感情に加えて、新型コロナの感染拡大が挙げられる。米国は世界最大の感染国であり、新型コロナによる死者数は第二次大戦における死者数を超えた。その厄災の元凶は中国だと考えている米国人は少なくなく、それがアジア系へのヘイトクライムにつながっている面がある。

 もっとも、米国全体がアジア系に厳しい目を注いでいるかと言えば、もちろんそんなことはない。むしろ多くの米国人は、アジア系へのヘイトクライムに対して抗議の声を上げている。人種や出身国を越えて、さまざまな人間が集まっていることそのものが米国のアイデンティティだからだ。筆者の住むニューヨークで始まった反ヘイトクライムのデモを写真で振り返る。(元吉 烈:映像作家・フォトグラファー)

 タイムズスクエアを出発し、コリアタウン(32丁目)、チャイナタウン(カナル・ストリート)をコールしながら歩く。時間とともにデモ隊に参加する人々が増えていった。


「白人至上主義を終わらせろ」というプラカード

「アジア人女性はあなたの慰み者ではない」

 自転車の上に打楽器をつけてリズムを打つ二人組。参加者の声以外の音はこの二人が担う。

 デモ主催者のアジア人女性が道の途中で立ち止まり、拡声器を使って踊りながらコールを行う。

 前の写真のコールに対して、コールバックをする参加者たち。左の少年の持つプラカードには「アジア人の子供を守れ」、中央女性の持つプラカードには「アジア人女性はあなたの慰み者ではない」とある。

盛んに鳴らされたクラクションの意味

 仮設の飲食スペースからエールを送るコリアタウンの女性。室内飲食が限定されているため、マンハッタンでは道路に仮設の飲食スペースが設けられている。

 デモ隊を撮影する女性(コリアタウン)。

 デモ隊の自転車部隊。デモ隊が交差点を渡る際に、車の強行発進を防ぐために身を挺して道を塞いでいた。停車中の車から応援の意味を込めたクラクションが鳴らされ、それにデモ隊が歓声を上げて応答するという光景も盛んに見られた。

ワシントン・スクエア・パークに響く祈り

 コールする男性。デモの参加者にはアジア人が多かったが、BLMの流れからかアフリカ系や白人の参加者もかなりの数がいた。

 グラマシー・パーク付近(23ストリート×ブロードウェイ)を歩くデモ隊。奥にエンパイア・ステート・ビルが見える。

 グリニッジ・ビレッジにあるワシントン・スクエア・パークキャンドルで犠牲者を追悼する集会が開催された。

なぜ犠牲者一人ひとりの経歴を読み上げたのか

 アトランタで殺された8人の女性の名前が書かれた紙を持つアジア系女性。「8人」の死者ではなく、それぞれ「一人」の女性であることを協調するため、一段上にいる女性が犠牲者一人ひとりの経歴を読み上げた。

 一人の犠牲者の経歴がほとんどわからず、「あなたのことを何も調べられずにごめんなさい。これからちゃんと知っていきます」と目に涙を浮かべながら話す。

 集会に参加する女性。白いものを身につけている参加者が多いのは、事前にそういうアナウンスSNSで拡散されていたため。

 同上。

ようやく春が訪れつつあるニューヨーク

 ようやく暖かくなったニューヨークの公園には、スケーターを中心に若者が多く集まっていた。

[もっと知りたい!続けてお読みください →]  アジア系へのヘイト犯罪、中国に政治利用される恐れ

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アトランタ・マッサージ店殺人は本当に人種ヘイトか

Safe Walks NYC(インスタグラム @safewalksnyc)が3月20日に主催した「StopAsianHate」のデモ。“Who’s life matter?”“Who’s street?”というデモ隊リーダーたちの呼びかけ(コール)に対して、“Asians’ lives matter!”“Our street!”と応答(コールバック)しながらデモ隊の行進は始まった。男性が持つプラカードには「セックス産業の非犯罪化」と書かれている(写真、Retsu Motoyoshi、以下同)


(出典 news.nicovideo.jp)