失業者が増えている。対策が必要です。

 収入減に会社倒産、投資失敗……コロナを機に無一文となる人が後を絶たない。突然に訪れた無と絶望とはいかほどのものか。もはや他人事とは思えない、日本の現実をリポートする!「明日はわが身」かもしれない!?

コロナ禍で収入源を失い貯金もごっそり消える地獄

 農薬メーカーで勤続8年目となる前田康二さん(仮名・33歳)は、コロナ禍による会社の業績悪化により貯金をほとんど失ったという。一体、何が起きたのか。

「研究職ということもあって転勤の可能性がほぼなく、なかには20年以上勤めている人もいた。それを見越して6年前、勤務先の近くである大阪府S市で、2Kの独身者用マンションをフルローン550万円で購入していました」

 しかし4月、前述の事情で営業所が合併され、勤務先は自宅から片道2時間以上かかる場所に移転。そのため家を売らざるを得なくなった前田さんは、住宅ローン残額385万円から売却額230万円を引いた残債155万円と転居費用を支払い貯金をほぼ失った。

「そのうえ、残業代がなくなりボーナスも15%カット。会社自体の臨時休業が増えたので、その分給与も減りました」

 こうしたコロナ禍での労働環境の変化を余儀なくされ、痛い出費から貯金ゼロに陥るケースは後を絶たない。だが、前田さんのケースまだマシなほうだ。

◆突然の雇い止めで収入ゼロ

 製造業の派遣社員として働いていた吉田永哲さん(仮名・28歳)は突然の雇い止めに遭い、収入ゼロの憂き目に。派遣元からも「すぐには次の職場を紹介できない」と言われた。

「急いで当面の生活費として『緊急小口資金』20万円を借りました。その後派遣元の寮を退去し、2か月間カプセルホテルに寝泊まりしながら求職活動を行いましたが、どこもコロナ禍で求人がなく、その間に貯金50万円がすべてなくなってしまいました」

 そうして無一文になった直後の8月、幸い新たな派遣会社から職を得て復職したが、「また雇い止めを受けたら今度こそ死ぬしかない」と戦々恐々としている。

コロナ禍による不当解雇にはどう対処する?

 法テラス東京法律事務所の林雅子弁護士はこう話す。

コロナによる業績悪化を理由に会社が労働者を解雇するには、契約期間の定めの有無にかかわらず、人員削減の必要性や解雇回避の努力義務を尽くすなど、整理解雇の4要件を満たすことが必要とされています。

 しかし、明らかにそれを満たしていないケースが見受けられます。その場合は労働審判を申し立て、地位確認と賃金の支払い請求などの法的措置を取ることも考えられます」

 会社との係争内容にもよるが、解雇通知や告知された際のメールを保管しておくのがベター。また休業補償がないまま勤務先が事業休止になることも最近増えたが「休業支援金、給付金で何とか休業補償並みのお金を手に入れられることもある」とか。

◆事が起きたらすぐ相談

 だが実際には、切られて数か月たってからようやく相談に来る人が多いという。その間に困窮し、悪循環が生じる。

 そのため林氏は「法テラスは経済的に余裕のない方に、無料の法律相談を行い、必要な場合には弁護士費用などの立て替え制度があるので心配せず、事が起きたらすぐ相談に来てほしい」と話す。

弁護士・林雅子氏】
専門領域は司法ソーシャルワーク。福祉関係者と協力しつつ、生活困窮者や問題を抱えている高齢者などの法的支援に尽力

<取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/にしやまひろし>

―[[コロナで無一文]衝撃ルポ]―


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(出典 news.nicovideo.jp)