(出典 bunshun.jp)


大統領選挙はどうなるのかな?

 11月3日に迫った米大統領選だが、10月最終週から、「トランプ氏が追い上げている」という報道が増えた。現地の世論調査では、バイデン氏優勢ながら、差が縮まっているというのだ。

 10月30日に激戦のミネソタ州に入ったトランプ大統領は、「国民の安全を守る」とアピール。ミネソタ州といえば、5月に黒人男性が白人警察に死亡させられ、ブラックライヴズ・マター運動(以下、BLM運動)=黒人への暴力や差別に反対する激しい運動のきっかけになった土地だ。

 日本で報道だけ見ていると、BLM運動を理解せずに分断を煽ったトランプ大統領は、当然支持を失うだろうと感じられた。
 
 ところが、『隠れトランプのアメリカ』を上梓した横江公美氏(東洋大学国際学部教授)によると、警察を大動員してデモ制圧にかかったトランプ大統領は、「新たな票田を獲得した」というのだ。なぜそんな皮肉な結果に?

 ちなみに横江氏は、米国の大手保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」の元上級職員で、2016年大統領選でもトランプ勝利を言い当てた。2020年大統領選も、“隠れトランプ”がカギを握ると予測する。(以下は、横江公美著『隠れトランプアメリカ』の一部を編集したものです)

◆徹底的に警察の味方をしたトランプ大統領

 反差別を求める声が高まり続けるなかで、トランプは新たな票田を見いだした様子である。本来であれば、差別が生む分断を阻止するべく行動するのが、アメリカリーダーたるトランプの役目だ。だが、トランプにその気はない。8月の共和党全国大会の受諾演説でも、これだけBLM運動が活発化していながら、「分断を終わらせる」という話はまったくしなかった。

 分断を阻止することよりも、トランプは治安の回復に注力した。警察の改革を訴え、そのうえで「治安を守るための警察官が必要だ」と訴えていった。抗議デモの破壊行為を「国内テロ」と非難し、徹底的に警察の味方をしている。公約では警察改革を柱に据えて「警察官と法執行官への十分な資金提供と雇用」「法執行官に対する攻撃の重罰化」と、警察官の収入と雇用、安全を守ることを盛り込んだ。

◆警察の労組35万人超の取り込みに成功

 9月に入ってからは暴動が何度となく発生したウィスコンシン州ケノーシャを訪問し、治安維持にあたる警察と州兵部隊に賛辞を贈った。このとき、白人警官による7発の銃弾で重傷を負ったジェイコブ・ブレークさんの母親と面会する予定だったが、弁護士が電話で面会時の会話を聞くと伝えられたことを理由に、急遽キャンセルした。この直後に、全米最大の警察労組である警察友愛会は大統領選挙でトランプを支持すると表明した。35万5000人以上の会員を擁する組織を、取り込むことに成功したのだ。

 この背景にはかつてニューヨーク市長だったジュリアーニの存在がある。1980年代までニューヨークの治安の悪さは有名だった。そこで1990年代半ばからジュリアーニ市長は大幅に警察官を増やし、治安の回復に努めたのである。いまだにジュリアーニは警察からの支持が厚い人物だ。そのため、8月の共和党全国大会の最終日にジュリアーニは「暴動の最中に、民主党の市長は警察の逮捕をたびたび妨害し、リべラルな地方検事は暴動が終わらないように暴徒を釈放している」とトランプと警察を援護した。

バイデン候補は、失言癖でBLM支持者をまとめきれていない

 対するバイデンはBLM運動を支持する姿勢を見せているが、失言癖の影響でBLM運動参加者の支持をまとめきれていない様子だ。
5月には黒人の若者たちに人気のあるラジオ番組のインタビューで、「私とトランプのどちらを支持するべきか迷うようでは黒人ではない」と発言して、人種差別だとバッシングを受けた。8月6日オンラインイベントで「ヒスパニックの社会は黒人と異なり、信じられないほど多様だ」と、黒人社会が多様性を受け入れていないとも取れる発言をして批判を浴びた。



 その1年前の2019年8月には、ヒスパニック系有権者が多く集まったアイオワ州の集会で「貧しい家の子供たちも白人の子供たちのように輝いていて、才能を持っている」と話し、「白人至上主義者のような発言だ」と批判を浴びていた。繰り返される失言に、民主党も頭を抱えている。

 唯一の希望は分断を埋めるべく、副大統領候補に指名したカラマ・ハリスだ。ハリスは父がジャマイカ、母はインド出身の移民2世で、「黒人社会のアイデンティティを持って育った」と言っている。大学は黒人のエリート大学として有名なハワード大学である。バイデンがBLM運動に関して積極的に発言しないなか、ハリスは初の会見で「黒人の命は大切。希望を持ってチャンスを掴みましょう。私を信じて」とBLM運動への支持を表明した。バイデンはともかく、ハリスは支持するという有権者も多いだろう。

◆「とにかく治安を守って」という人が“隠れトランプ”に

 最も多くの暴動が発生しているオレゴン州ポートランドでは、昼間から抗議者が破壊行為に手を染める事件が頻発している。
トランプはここを攻め立てる。「暴動が起きている場所は民主党が首長を務めているところだけだ」と批判し、「俺に助けを求めたら、いつでも暴動を治めてやる」とBLM運動参加者を煽るような発言を繰り返している。

 これは「黒人に対して白人警察の対応は度を越しているが、自分の町の治安が悪くなるのは嫌だ」と考える潜在的な隠れトランプへのメッセージだ。トランプを支持すると表明すれば、身の危険を伴う可能性がある。治安の悪化に頭を悩ませる人々は、おのずと隠れトランプになっていくのだ。

◆軍隊の派遣に58%が賛成

 アメリカの調査会社モーニング・コンサルタントが6月に実施した世論調査では、その直前にトランプが表明した暴徒の取り締まりを目的とした軍隊の派遣について、「大いに賛成する」が33%で、「ある程度は賛成」と合わせて、賛成する人が58%に達した。

 さらに、共和党支持者に限ると77%が賛成し、民主党支持者でも48%が賛成と答えたという。裏を返せば、半数以上の人は抗議者の暴徒化を不安視していると考えられる。

<文/横江公美>

【横江公美】
明治大学卒業後に松下政経塾に入塾。プリンストン大学、ジョージ・ワシントン大学で客員研究員を務めた。’11~’14年まではアメリカの大手保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」でアジア人初の上級研究員として活躍。’16年から東洋大学グローバル・イノベーション学科研究センターで客員研究員、’17年から同大学教授に。’16年に出版した『崩壊するアメリカ』でトランプ政権の誕生を予想するなど、アメリカ政治に関する著書多数。近著に『隠れトランプのアメリカ

―[隠れトランプアメリカ]―


BLM運動に反対し、トランプ大統領と警察を支持するデモ隊も。オハイオ州コロンバス、2020年7月18日(C)Adrienne Wallace


(出典 news.nicovideo.jp)

かむば

かむば

当然だ。悪意持って凶器振りかざす凶悪犯を擁護し、警官の命を異常に軽視する”反差別”とやらよりも、一般人を悪人の不当な暴力から守る治安維持の方が重要に決まってる。

目玉の親父

目玉の親父

黒人男性が白人警官に死亡させられというけど、どいつもこいつもれっきとした犯罪者であることは、頑なに言わないマスゴミ。隠れトランプというけど、マスゴミや反差別を謳う差別主義者に攻撃されるから隠れる必要があるんでしょ。

はしだて

はしだて

治安維持で平和であってこそのデモだから当然だわな

kous

kous

現状米国ではトランプ支持を公言すると、周囲から袋叩きにあうらしいからな。支持者は”隠れ”にならざるを得ん。

ジャック

ジャック

中立的に見るべき日本のメディアもトランプネガキャンで終始してるし、今更だけど質の低下がひどすぎる。暴徒にしても一口で軽い表現してるけど、放火や窃盗をする犯罪者だからな。バイデンはバイデンでオバマほどのカリスマ性も無ければトランプより成果を出せないってのが見えてるし…日本の国益を考えれば中国に批判的なトランプの方がまだマシ

あし

あし

反差別という看板だが実態は破壊活動やら強盗やらだし、有権者を馬鹿にしてるのがにじみ出てるのもある。

無法松

無法松

BLM支持すれば差別がなくなるとかいうお花畑が存在することに絶望を感じるわ。どういう教育受けてたらそうなるんだ?話を聞く・妥協案を模索する、ならわかる。だが支持するのは頭が沸きすぎてるだろ

kinven05

kinven05

社会の分断なんて元からあったものを今までメディアや新自由主義者が見てみぬふりをしていただけなんだよなぁ、リベラルの口先だけの綺麗事なんて保守層の白人は元より黒人やヒスパニックだって本気で信じてはいないだろう