(出典 www.pakutaso.com)


財務省が握っている。

―[言論ストロンスタイル]―


◆“一強”たる安倍首相の手綱は財務省が握っている。忖度などするはずがない

 夏は官庁人事の季節である。日本の権力を握る官僚たちも、自身の命運に気もそぞろだ。

 インターネットの一部では、太田充主計局長の財務事務次官昇格を「森友問題で安倍内閣を庇った論功行賞」などと見当違いの批判が流れている。何を勘違いしているのか。最強官庁の財務省が、安倍内閣に忖度などするはずがない。もし忖度したように見えるとしたら、政権に対して貸しを作っているだけだ。それほど力関係の差は激しい。

 では、財務省の強さの秘密とは何か。大きく五つあげる。

 第一は、予算だ。予算とは国家の意思である。政治家やぶら下がっている業界、他の官庁に対するアメである。だが予算は、一瞬にしてムチとなる。仮に予算を削られて死活問題となる政治家・官僚・業界団体はひれ伏する。予算を司る財務省主計局は他の全省庁を査定する立場にあり絶対の存在なのだ。

 第二は、徴税だ。全国の税務署を差配する国税庁財務省の外局だ。そして増税は絶大な権力である。増税を取り仕切るのは、主税局だ。

 第三は、国有財産の管理と財政投融資の運用、そして巨大民間企業への影響力だ。財務省はたとえばNTTの筆頭株主である。こうした仕事を担当する理財局が、主計どころか主税局からも大きく離された第三の序列しか与えられない所に、財務省の巨大さが分かろうか。

 第四が、金融への影響力だ。国際局はアジア開発銀行のような国際機関をも天下り先としている。何より、世界最強の銀行である日本銀行は明治時代に大蔵省の子会社として設立され、今も財務省の影響力が強い。

 第五が、インテリジェンス能力だ。「東大法学部にあらずんばFラン大学」「在学中に司法試験に受かるなど珍しくない」「公務員試験上位者の集まり」である財務省は、当然ながら情報の収集分析、そして対処能力が高い。政治家を洗脳するなど、若手の仕事だ。民主党政権では、歴代財務大臣の「菅直人は3か月、野田佳彦は3日、安住淳は30分」で増税派に転向させたと噂された。

 財務省のインテリジェンスの中枢は大臣官房だ。だが、名前こそ「大臣」と付くが、政治家はしょせん「お客様」にすぎない。官僚は身内の頂点である事務次官に忠誠を尽くす旨を叩きこまれて生涯を過ごす。財務省ナンバー3の官房長のもとには、日本を支配するためのあらゆる情報が集まってくる。

 安倍内閣は「一強」で、最強官庁の財務省も首相に忖度するしかないなどと主張する論者が後を絶たないが、いったいどこを見ているのだろうか。

◆実力政治家とは「財務省主計局に頭を下げるのが上手い政治家」だ。勘違いしては、事の本質を見誤る

 さらに言うと、財務省政治家を操る得意技は「負けたフリ」である。現に、「一強」のはずの安倍内閣が、2度の消費増税を行い、自らの生命線である景気回復を破壊している。財務省安倍首相を「一強」「財務省も逆らえない史上最強の総理」などと世間に向かっては持ち上げつつ、裏では手綱を握りしめる。どんな手段を使ったか詳らかには知らないが、安倍首相があれほど嫌がっていた増税を押し付けたのは事実だ。

 そんな財務省の人事は、国民にとって重要に決まっている。「森友事件で首相を庇った論功行賞」などと頓珍漢な解説に惑わされないよう、正確な知識を身に付けるべきだ。

 財務省トップは財務事務次官、ナンバー2は主計局長、ナンバー3は官房長、いわゆるラインである。通常、事務次官になる出世競争の勝者は、年次に従い「官房長→主計局長→事務次官」と上っていく。時に他の局長を経験することもあるが、主計が絶対であり、官房は主計局と一体である。

 現事務次官の岡本薫明(昭和58年入省。以下数字は同じ)は、小泉内閣の時代から主計と官房にしかいない。財務省エース中のエースで、10年に一度の大物とされ、事務次官は通常1年のところを、2年も務めた。その結果、59年組からは次官が出せなかった。

 主計局長は、岡本次官と同期の太田充主計局長である。主計局長になれば、天変地異が無い限り事務次官になれる。

 戦後、主計局長になりながら事務次官になれなかったのは4人。2人はダグラス・マッカーサーの介入、1人は田中角栄の介入、1人は竹下登の介入が原因だ。占領期に昭和電工疑獄に巻き込まれて逮捕され(後に裁判で無罪)事務次官になれなかった福田赳夫などは、「可哀そうだから総理大臣くらいにはしてあげなきゃ」と、本当に当時の大蔵省OB現役の総意で押し立ててもらったほどだ。財務省は旧大蔵省の時代から、そういう世界なのだ。

 仮に太田氏の昇格を論功行賞と言うなら、主計局長就任の時点で指摘すべきだ。

◆神輿は軽くてパーがいい

 ちなみに「安倍一強」などと批判する御仁は、安倍首相マッカーサーのような絶対権力を握っているとでも思っているのだろうか。麻生太郎財務大臣や二階俊博幹事長が「神輿は軽くてパーがいい」と思っているから、使い勝手の良さで長期政権にしてもらっているだけだと微塵も考えないのであろうか。

 その麻生氏も財務省の走狗であるのは誰もが知るところであり、二階氏とて「財務省主計局と話がつけられる」から実力政治家なのだ。

 先日の「和牛券」騒動を思い出せばよい。自民党において実力政治家とは、「限られた財源から自分の支持者に予算を獲得できる政治家」なのだ。国家の経済を成長させて財源そのものを拡大するとか、国民全体に富を配分すると言った発想は無い。言い換えるならば、「財務省主計局に頭を下げるのが上手い政治家」こそが実力政治家なのだ。

 安倍批判者は思い込みで財務省を過小評価しているが、それでは事の本質を見誤る。

 官庁人事が一段落すれば、政治の季節だ。既に自民党実力者は頻繁に会合し、勢力争いをしている。二階幹事長は公明党を引き連れて安倍包囲網辞さずの形勢だが、麻生財務大臣が守っている限り、安倍倒閣への決め手は無い。

 その膠着を少しずつ崩しているのが検察で、河井前法相夫妻事件で安倍首相本人の名前が挙がっている。

 安倍首相は潰されるまで待つか、余力を残して辞めるか、それとも破れかぶれの中央突破か。

 抗争は、これからが本番だ。

【倉山 満】
憲政史研究家 ’73年、香川県生まれ。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務め、’15年まで日本国憲法を教える。現在、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰し、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交について積極的に言論活動を行っている。ベストセラーになった『嘘だらけシリーズ』など著書多数。最新著書に『13歳からの「くにまもり」

―[言論ストロンスタイル]―


衆院予算委員会前に談笑する今回昇格の決まった太田充主計局長(左)と、麻生太郎財務相。政治家はしょせん「お客様」、歴然とした力関係の差がそこには存在する 写真/時事通信社


(出典 news.nicovideo.jp)




langley

langley

森友問題でハッキリしたように、マスゴミは自民叩きしたいが為に、本丸である財務省に忖度して批判的な報道をしなかった。当然、野党も財務省の責任であるのは知っているが、政治家は財務省に頭が上がらないので、野党議員ですらも財務省を追及できなかった。バブル崩壊からずっと日本を悪くしているのが財務省であり、逆らう政治家を潰してきたのも財務省だ

UE

UE

自分達は優秀であると言う願望と言うか教義と言うか大前提があるせいで陰の実力者を作り出さないと破綻する奴は大変やね。

マツ

マツ

財務省と経団連が日本経済を弱体化させ庶民を困窮させている、国家革新により財務省と経団連を潰さない限り日本経済の復興と庶民の生活を守るべきだ。

にゅうにゅう

にゅうにゅう

財務省だけじゃなくほかの省庁官僚もだよ。政治家なんて官僚どもの操り人形。官僚のいう事聴かないと資料も作ってくれないんだから

kinven05

kinven05

今さらそれを言う?今まであなた方が唱えていた安倍政権批判は何だったの?? 今まで安倍政権批判をしていた人たちが「本当に悪いのは財務省」って何?何故最初から財務省批判しないの? そもそも安倍内閣のMMT政策って財務省が最も嫌う政策じゃないの?それなら安倍大正義って事にならない?この矛盾を説明して!?

ちょっさん

ちょっさん

おかしい。神輿は軽くてパーがいいんなら、反日野党のアホどもが担がれているはずなんだが…。パーにも限度があるってことなのかな。

kaze

kaze

財務省にそこまでの権力があるわけないだろイカレてんのかこいつ十万円給付金の時も財務省は反対してたが公明党のごり押しで結局成立してしまった官僚の権力など所詮その程度ってこった

kasshu

kasshu

要するに俺達の望みがかなわないのは俺達が無能なんじゃなくて強大な悪に虐げられているからだって言いたいだけだろ。アベノセイダーズにしてもこれにしても

hinode

hinode

見出し見て今更感。

十三

十三

いいえ、他弱です。

トーキ

トーキ

おっついにマスコミが財務省にメスをいれるのか?(そんな度胸はないです)