フランス紙記者が見る日韓対立「徴用工問題と似たようなことが戦後のヨーロッパでも起きていた」


徴用工訴訟問題(ちょうようこうそしょうもんだい)とは、第二次世界大戦中日本の統治下にあった朝鮮および中国での日本企業の募集や徴用により労働した元労働者及びその遺族による訴訟問題。元労働者は奴隷のように扱われたとし、現地の複数の日本企業を相手に多くの人が訴訟を起こしている。韓国で同様の訴訟が進行中の日
54キロバイト (8,355 語) - 2019年9月29日 (日) 00:09



(出典 www.sankei.com)


ヨーロッパと韓国では事情が違うと思います。

「フランスでも第二次大戦の『隠れた被害者』の存在は、1960年代後半まで表面化しなかった」と語るメスメール氏
フランスでも第二次大戦の『隠れた被害者』の存在は、1960年代後半まで表面化しなかった」と語るメスメール

悪化の一途をたどり、改善の糸口も見えない日韓関係。日本と韓国の双方を取材するヨーロッパメディアジャーナリストはこの問題を客観的にどう見ているのか? 「週プレ外国人記者クラブ」第144回は、フランス「ル・モンド」紙の東京特派員、フィリップ・メスメール氏に聞いた――。

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──いわゆる「徴用工訴訟問題」に端を発した今回の日韓対立を、メスメールさんはどう見ていますか?

メスメール 徴用工訴訟問題は、日韓双方が輸出管理の優遇対象国から排除する「貿易問題」や、韓国政府によるGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄という「安全保障問題」といった、まったく別の問題にまで発展しています。私が気になるのは、両国の「対立」ばかりが注目されていて、個々の問題を切り分けた冷静な議論が行なわれていない点です。

政府、民間の両面で関係が修復不能に陥らないための努力が続いていて、話し合いチャンネルが完全に閉ざされてしまったわけではありませんが、ここまでこじれると修復にはかなりの時間が必要でしょう。

両国の対立が深まった経緯を振り返ると、昨年10月に韓国の最高裁にあたる「大法院」が日本製鉄に対し、戦時中、徴用工として動員された韓国人4人へ1人あたり約1000万円の損害賠償を命じた判決がきっかけでした。この判決に対して、日本政府は徴用工への補償問題は「1965年の日韓請求権協定ですべて解決済み」と主張し、「司法の判断を尊重する」とする韓国政府と激しく対立しています。

ここで検証する必要があるのは、日韓請求権協定が結ばれた1965年当時の韓国の状況です。この合意は、日韓の和解を強く望んでいたアメリカの強い意向を受け、当時、朴正煕パク・チョンヒ大統領の独裁政権下にあった韓国と日本政府の間で結ばれたものです。このとき、朝鮮戦争で荒廃した韓国は戦後復興のために巨額の資金援助が必要な状況でした。一方、すでに戦後の経済成長が軌道に乗り始めていた日本は新たなマーケットを求めていて、韓国はそのひとつでした。

個人への補償分も含め、日本政府が韓国に巨額の賠償金を支払う形で合意に至ったわけですが、朴政権は経済復興を優先し、賠償金の大部分をインフラの建設などに使ったため、戦争や日本統治下での被害者には十分な補償が行なわれなかった。当然、「その責任は誰にあるのか?」という議論はあるでしょう。ただし、韓国には日本統治下で徴用工として働きながら未だに補償を受けられていない人たちが存在するというのは紛れもない事実で、人権的な観点で言えば、彼らが救済を求めて声を上げる権利そのものは否定できないと思います。

もうひとつ考慮しなければいけないのは、日韓請求権協定が結ばれた当時の韓国には、「自らの被害を名乗り出られずにいた人たち」が数多くいたという点です。これは従軍慰安婦問題にも共通することですが、韓国には戦後長い間、日本統治下で自分が徴用工や従軍慰安婦として働かされたことを心理的に「恥」と感じ、その事実を隠していた人たちが少なくありませんでした。

そうした「隠れた被害者」たちが、ようやく公に声を上げられるようになったのは独裁政権が終わり、民主化が始まった80年代後半に入ってから。つまり、日韓請求権協定が結ばれた65年時点で彼らの被害は表面化していなかったのです。

──65年時点では明らかになっていなかった「被害」があり、彼らが未だに補償を受けられずにいるという現実は無視できないと?

メスメール 第二次大戦後のヨーロッパでもこれと似たようなことが起きていて、戦争中に迫害されたユダヤ人の中にも、終戦直後には心理的な被害を名乗り出ることができなかった人たちが数多くいました。第二次大戦中にナチスの占領下にあったフランスでもユダヤ人に対する迫害はあり、その被害者たちの存在は1960年代後半になるまで、なかなか表面化しませんでした。

先日亡くなったシラク元大統領が、戦時中のユダヤ人迫害に対する政府の責任を初めて認めて謝罪したのは、終戦から半世紀を経た1995年のこと。このように、戦争や植民地支配などが残した傷は戦争が終わると同時に全貌が明らかになるわけではなく、30年、40年という長い年月を経て表面化するものも少なくないのです。過去の戦争や植民地支配がもたらした傷は、条約や賠償金だけで癒えるものではなく、それで不幸な歴史が消えてしまうわけでもありません。

例えば、ポーランドへの戦後補償についてドイツは「政治的・法的に解決済み」という立場を取っています。それでもナチス・ドイツポーランド侵攻から80年の節目にポーランドで行なわれた、今年9月1日の式典にはドイツのシュタインマイヤー大統領が出席し、「かつて、独裁国家だったドイツの犠牲者となったポーランド国民の前に私は頭を下げ、許しを乞う」とポーランド語で謝罪の言葉を述べました。日本の安倍首相アメリカに対しては、ハワイの真珠湾を訪問したときに、真珠湾攻撃の犠牲者たちに頭を下げ、哀悼の意を表していたではありませんか。

おそらく、日本政府が韓国に対してこれだけ強硬な態度を取っているのは、元徴用工の個人的請求権を認め日本企業への賠償を求めた韓国大法院の判決が、今後、他の日本企業への大量提訴に発展することを危惧しているからでしょう。しかし、そうした「現実的な理由」を差し引いても、両国間の歴史的背景を考えれば、強硬な態度が韓国側の強い反発を招くことは、日本政府にとって十分に予想できたことだと思います。

ちなみに日中間の徴用工問題について言えば、1972年の日中共同声明で解決済みということになっていますが、2000年代に入ってから、戦時中の中国人強制徴用について西松建設や三菱マテリアルなどの日本企業が賠償や和解に応じているケースもあります。

いずれにせよ、「補償の責任が誰にあるのか」という議論はともかく、徴用工の問題が「日本の植民地支配下で起きたという歴史的背景があるのですから、日本政府は「補償問題はすべて解決済み」という公式な立場を頑なに繰り返すだけでなく、この問題の「当事者のひとり」として韓国政府と協力し、被害者の救済のためにあらゆる可能性を検討する必要があると思います。そのためには日韓両国がお互いをリスペクトする姿勢が欠かせませんが、現状はそれとは程遠いところにあるのが残念です。

──「嫌韓」や「反日」といった言葉に代表される、両国の感情的な対立の背景には何があると思いますか?

メスメール その点に関しては2点ほど指摘したいと思います。ひとつは、日韓両国の首脳の、あまりにも対照的な政治的バックグラウンドの存在です。

日本の戦争責任や従来の歴史認識に否定的な「右派的ナショナリズム」を背後に抱える安倍首相は、日本会議などに象徴される右派の支持を得るために、今回の徴用工を巡る問題でも、韓国に対して常に強硬な態度を取り続ける必要がある。

一方、学生時代から韓国の民主化運動に関わり、長く人権派弁護士として活動してきた経歴を持つ文在寅大統領にとっては、旧日本軍朝鮮人将校だった朴正煕大統領が交わした日韓請求権協定は、忌まわしい独裁政権時代の遺物だと感じているはずです。こうした韓国の「左派的ナショナリズム」を背景に持つ彼も、日本に対して強硬な態度を貫かざるを得ない。

こうした日韓のリーダーの「極端に異なる政治的背景」が対立を必要以上に悪化させ、両国民の間に感情的な対立を引き起こしているように感じます。

──では、もうひとつのポイントは?

メスメール もうひとつは「メディアの問題」です。先日、大きな批判を受けた「韓国なんていらない」という週刊誌の特集が象徴的ですが、テレビや新聞、ラジオなども連日のように日韓対立を報じている。

しかし、冒頭でも述べたように、その多くは個々の対立点について丁寧な検証を行なうのではなく、単に日本政府や韓国側の公式見解を伝えるだけのものや、相手側の問題を批判するだけで、この問題について国民が深く理解し、議論するための材料を提供しているとは言い難い。しかし、本当はそれこそがジャーナリズムの果たすべき大切な役割のはずで、こうしたメディアの現状も両国の感情的な対立を深めている、大きな要因ではないかと思います。

繰り返しますが、過去の戦争や植民地支配によって生まれた傷は、簡単に癒えるものではありません。それは日韓の問題だけでなく、フランスを含め、かつて多くの植民地を支配したヨーロッパの国々も、そうした歴史がもたらした被害について、すべての責任を果たしているとは言い難い。その傷を癒すためには、過去の歴史と正面から向き合うことが必要ですし、何よりもお互いが敬意を持って、丁寧な対話を続けていくしかない。それは簡単なことではないと思いますが、結局、それ以外に解決の道はないと思います。

フィリップ・メスメール
1972年生まれ、フランス・パリ出身。2002年に来日し、夕刊紙「ル・モンド」や雑誌「レクスプレス」の東京特派員として活動している

取材・文/川喜田 研 撮影/長尾 迪

「フランスでも第二次大戦の『隠れた被害者』の存在は、1960年代後半まで表面化しなかった」と語るメスメール氏


(出典 news.nicovideo.jp)




Kourin

Kourin

なぜバカは「約束なんてどーでもいい」「全部相手が悪い理論」に立って話するのが大好きなんだろう。

Kanoto

Kanoto

問題の根本はかの国の異常性だから、そんな問題世界中のどこを探しても存在しないよ

Yahiro

Yahiro

ふーん。敬虔なキリスト教国家で先進国たるフランス人は契約については真摯に守るもんだと思ってたけど違うんですね

TAKASHI

TAKASHI

正論過ぎて笑うしかないw でも、状況によって話が変わるのが現実。屁理屈と屁理屈の応酬になってしまうの仕方ないっしょ。

頭腐

頭腐

『慰安婦問題』『植民地配下』 解散

ツルッツルだよ

ツルッツルだよ

そのとおり国との関係は数日数年で とりなせるものではない一世代以上のときをかけ修復の関係になる もはや日韓の関係も同様 自分の世代のうちに修復できようはずがない

ツルッツルだよ

ツルッツルだよ

そのくせ今のご時勢 国民らは早い結果を要求しうるというものよ そのあたりは今も昔もまったく変わっていない

うぃんた

うぃんた

韓国の言い分は完全に当たり屋のソレだから、一度この悪しき流れを断ち切らなきゃイカンのですよ。 その上で改めて話し合えば良いと思うんだけど、残念ながら奴さんがそれを望んでない、何だかんだ金目当てでしかないから、こっちも打つ手がないんですわ。

五拾粍巾

五拾粍巾

韓国相手に冷静な議論などできないよ。だいたい次から次へと捏造歪曲が行われてるんだし

dipper

dipper

協定を破棄して再検証ならまだしも、これは別問題だから、って言いだすんじゃ何をやっても無駄なんだよなあ

unimon

unimon

メスメール君の話とかネタ元がガーディアンとかジャパンタイムズ、ジャパン・フォーカスなんかだから真面目に聞く価値ないぞ。そもそもこの人、ジャーナリストというより翻訳ライターだからあまり取材とかしないし

KID

KID

>日本の安倍首相もアメリカに対してはハワイの真珠湾を訪問したときに真珠湾攻撃の犠牲者たちに頭を下げ哀悼の意を表していたではありませんか。  そりゃアメリカは大人だからね。オバマだって広島に来たし。でも韓国はそうじゃない

ヨッシー

ヨッシー

交通事故でもそうだが行政処分は済んだが、民事上の補償は残っている様なモノか。思えば北米での日系移民の戦時中の差別問題も民事上の補償を勝ち取ったのだったけ。しかしながら今までの韓国側の言い分は悪辣過ぎる。請求者は被害者の周囲の人間であるし条約が納得いかないから一方的に無効にする様な連中に民事上の同情の余地など無い。ちゃぶ台返しの様なコトをし続けるヤカラ連中だ!

オカリナ

オカリナ

白人の植民地支配と一緒にするな。一緒にするなら、植民地支配した地域に賠償と謝罪して発展させてこい。それと日本政府が日韓合意や請求権協定で解決した問題を「政府間で解決済。あとは韓国政府とやってください」っていうことの何が問題なのか?日本の企業が2000年代に入って徴用工被害者に支払ったとしても、それは支払いますよと言った企業の問題であって、日本政府は関係ない。

廉架

廉架

日韓に興味無い人が外から見るとこう見えるのかね。本質を知ったら驚くかもしれない。

ash

ash

このフランス人記者は、竹島・旭日旗・慰安婦像・レーダー照射事件、およびそれ以外の韓国による日本国への嫌がらせについては何も言っていませんね。氷山の一角だけ見て話をされても困るのですが

ハヤト

ハヤト

当時の日本の企業の募集に自らの意思で応じた朝鮮半島出身労働者が今になって嘘をついている事件と似たことが他にもあるんですか?

ぬる

ぬる

この手の人は対立煽ってるメディアが主流みたいに語るけど、問題点ごまかした上に日本が譲ってやれ折れてやれみたいなのばっかじゃん

葦名弦一郎

葦名弦一郎

イギリス「その時代のことはその時代の人間にいってくれ(植民地問題を丸投げ)」ドイツ「それナチス政権の時代なんで、ドイツとちゃうで(ユダヤ問題を丸投げ)」ロシア「すまん、それソ連の時代の問題なんで、ロシアとちゃうで(色々丸投げ)」これが現実

ひろひろ582

ひろひろ582

フランスは国同士の約束破り続ける相手ではなかったからね。