「勉強は机でするもの」という考え方は、一部の人には合っているかもしれませんが、全ての人にとっては必ずしも最適な方法ではありません。勉強法は個人の学習スタイルや環境に合わせてカスタマイズするべきです。

―[貧困東大生・布施川天馬]―


 みなさんは、自分の子どもを学校に行かせるとき、どんな役割を学校に期待しますか?株式会社カルペ・ディエムとインビザラインジャパン株式会社による小学生高校生のご子息を持つ保護者を153名を対象にしたアンケートでは、次のような結果になっています。

Q:学校教育に期待することはなんですか?一番近いものを選んでください。
1位 自信をもてるように、明るく前向きな思考(自己肯定感)を身につけられるようにしてほしい 43%
2位 思考力・課題解決能力を鍛える教育をしてほしい 37%
3位 個性や独自性を尊重してほしい 8%
4位 社会生活に必要な一般常識を教えてほしい 7%
5位 宿題や議題を増やして教科の基礎力を定着させてほしい 4%
6位 基本的な生活習慣を身につけてほしい 2%
7位 英語教育を増やしてほしい 0%


◆学校教育に親が望んでいることは?

 この結果を見ると、アンケートに回答した方のうち、3分の1以上は「思考力や課題解決能力を鍛える教育をしてほしい」と答え、40%以上が「自己肯定感を身につけられるようにしてほしい」と望んでいることが分かります

 一方で、勉強に対する期待感はそこまで無いようでして、「宿題や課題を増やして教科の基礎力を定着させてほしい」(4%)「英語教育を増やしてほしい」(0%)に対しては全く票が集まっていません。すなわち、少なくともこアンケートに回答した保護者の方は、「学校の勉強はできなくてもいいから、自分の力で考えられる自己肯定感の高い子どもに育ててほしい」と考えていることが分かります

◆勉強の力が実は不可欠

 確かに、問題解決能力と高い自己肯定感さえあれば、自分の力で人生を切りひらいていけると思われます。親は、子どもに自立した一人の大人として育ってほしいと願っているのです。その割には、「社会生活で必要な一般常識を教えてほしい」や「基本的な生活習慣を身につけてほしい」の割合が低いことが気にかかりますが、ここは家庭の方で面倒を見るのでしょう。

 しかし、そのためには勉強の力が不可欠です。問題解決能力を得るきっかけにも、子どもたちが自己肯定感を高めるきっかけにもなりうるからです。落ちこぼれたちが一念発起して東大を目指す様子を描いた『ドラゴン桜』でも、同じことが語られています。





◆勉強が苦手な人ほど「机の前で座って行うもの」と考えがち

 東大受験の立役者である桜木から「勉強とは何か」を問われた高原は、「然るべき教育環境の中で教養を学び、物事を考える力を養うこと」と答えます。しかし、これを桜木は一蹴。「勉強とは生きることだ。勉強と生活は一体なのだ」と返します。

 勉強するうえで、最も大切なことは、それが生活の中に組み込まれていること。勉強が苦手な人ほど、「勉強とは机の前に座って行うものだ」と考えがちですが、それは大きな間違いです。生活で行う一挙手一投足すべてが勉強に直結している状態こそが、なによりも理想になっています。

 買い物に行って商品の産地から地理を学んだり、金額の計算から算数を鍛えたり、散歩で星を眺めながら地学を学んだり、様々なことが学べます。ここで鍛えた勉強への好奇心や、知識欲は、間違いなく机の上のお勉強になっても活かせます。こうして、成績が上昇していくのです。成績が上昇していけば、その子は「自分はできる人間なのだ」と考えるようになるでしょう。そして、自己肯定感を得ることにもつながります

◆数字目標を掲げることの意味

 勉強ファーストで考えるのは確かに良くありませんが、だからといって、生活と勉強を切り離すのもまた、意味がないことです。「勉強」と「自立した生活」は、表裏一体の存在。どちらも力を入れて、初めて自立した一個人として、「問題解決能力」を携えた大人になることができます。

「数値目標を掲げて勉強に力を入れる」と聞くと、冷たく無機質な感じがしますが、実態はそうではありません。誰よりも、子どものことを考えるのであれば、まずは目に見える数字を使って目標を管理し、ひとつひとつゴールに達する喜びを子どもに教えることが、重要なのです。そうして成長を実感した先にあるのが、「自立した大人」であると、私は考えています。

 学校で学ぶことは社会に出ても役に立たないと言われることもありますが、これは全く正しくありません。学校で学んだことを通して自身の成長を実感し、学校で学ぶことをたたき台にして自身の思考力を鍛え、初めて社会に出られるのです。だからこそ、勉強を疎かにしていては、思考力も自己肯定感も身につきません。

 生活と勉強、その両輪を自身の力で回し続けられるようになるためにも、まずは学校の勉強に注力するところから始めてみてはいかがでしょうか。

<文/布施川天馬>

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネスタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Twitterアカウント:@Temma_Fusegawa

―[貧困東大生・布施川天馬]―


©三田紀房/コルク


(出典 news.nicovideo.jp)