発達障害の認知度が年々高まっている。従来は子供の問題だと思われてきたが、実は一定数の割合で「大人にも発達障害の人がいる」という事実が知られるようになった。それによって「自分もそうかもしれない」と疑う人が増え、職場では混乱も起きているという。あなたの同僚や部下にもいるかもしれない、「大人の発達障害」の最前線を追った。
◆「食事で発達障害が治る」という主張には根拠がない
発達障害の認知度上昇とともに、それに便乗した「発達障害ビジネス」とも呼べるような存在が増えている。消費者庁ではすでに「障がい者の消費行動と消費トラブルに関する調査」(平成29年)というリポートを公開。SNS上で起こる、金銭トラブルに警鐘を鳴らしている。効果が疑問視される「食事療法」もその1つだ。
「発達障害の治療法など確立されていないし、食事で発達障害が治るという主張には根拠などありません」
そう断言するのは、自身も発達障害の子供を持つ、管理栄養士の成田崇信氏だ。
◆発達障害によって偏食になる子供は多いが…
ここ数年、ネットや新聞広告で「〇〇を食べれば発達障害がよくなる!」といった類いの広告をよく見かけるという。
「発達障害によって感覚が過敏になっていて、『食感が気になる』『痛くて食べられない』などの理由で、どうしても偏食になる子供は多いです。栄養が偏ると、今度は別の健康被害が出てくる。
私たちも体調が悪いとイライラしたり精神的に不安定になりますよね。それが発達障害の子供たちならなおさら、症状が強く出ることもあるのです」
◆体の不調のサインを「発達障害の特徴」と混同しがち
そんな体のサインを、「発達障害の特徴」と混同することが多いという。
「そこで、『発達障害が治る』という食材を食べて、症状が落ち着いたとします。でもそれは、ただ体が健康になっただけ。
ほかにも、『ミネラルで改善する』『子供に化学調味料や肉や砂糖を与えると、発達障害になる』という根拠のない話もあります。デマに振り回される人がこれ以上増えないよう、私たち専門家は情報発信を続けます」
【管理栄養士・成田崇信氏】
社会福祉法人に勤める傍ら、「道良寧子(みちよしねこ)」という名義で、主にネット上で「食と健康」に関する啓蒙活動を行っている
取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/菊竹 規 モデル/黒木俊穂
(出典 news.nicovideo.jp)
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