海外の通勤列車を日本以上に混んでいることもある。

 ソウルの繁華街・梨泰院で10月29日深夜、「ハロウィン圧死事故」が起きた。150人以上の人が亡くなり、人混みという空間がいかに危険であるかを考えた人は少なくないはずだ。

 人混みは決して非日常的な現象ではなく、満員電車もかなりの密集地帯と言える。梨泰院のような惨劇が起きる可能性など、群集事故に精通している関西大学教授の川口寿裕氏に話を聞いた。

◆日本での類似事故の可能性は

 まずハロウィン圧死事故について聞くと、「梨泰院の事故ではかなり密集しており、恐らく1平方メートルに16人ほど密集していたと思います。300~400キロ以上の圧力が1人あたりにかかっていたのではないでしょうか」と分析。

 一方、日本の満員電車でも同様のケースが起こり得るかどうかについて、「それは非常に考えにくいです」と答える。

ハロウィン圧死事故では、群衆の圧力によって息を吸おうにも肺が膨らまず、窒息して亡くなった人が多かったです。ただ、日本の満員電車は多くても1平方メートル8~10人ほど。扉付近などで局所的に1平方メートル10人を超えるところでも、1人1人にかかる圧力も数十キロほどですので、呼吸困難に陥る可能性は低いです。

 一方、梨泰院の事故は1平方メートルに15~16人が密集していました。満員電車の乗客を車両半分に圧縮したぐらいの状況が梨泰院の事故現場で起きていた、と想像するとわかりやすいのではないでしょうか。数人の駅員が押し込んだぐらいでは、そのような密集状態にはなりません」

◆偶然が重なればゼロではない?

 とはいえ、「車内が満員で、なおかつ急ブレーキカーブなどで大きな力が加わり、その際に躓いてしまい他の人に押しつぶされると危険な密集状態ができるおそれはあるでしょう。さまざまな要素が重なることでハロウィン圧死事故に近い状況が車内でも再現されるかもしれません」としつつも、「裏を返せば、いろいろな偶然が重ならない限りは圧死することはないように思います」という。

 ただ、リスクがゼロではない以上、満員電車に乗車している際に気をつけるべきこともあるのではないか。

イヤホンなどを落としてしゃがんでしまうと他の乗客に押しつぶされかねません。また、小さい子供が乗っているケースもありますので、身長差によって他の人に押された時に、子供を下敷きにする可能性もあります。つり革などに捕まっておくと怪我をするリスクも、怪我をさせるリスクも減らせるでしょう」

音楽フェスではあり得るのか?

 乗車以外でも気をつけるべきことはあり、「ラッシュ時に電車が遅延した場合、普段よりも密集してしまいます。そういう時に階段で移動する際は、転倒によって将棋倒しになるリスクも低くありません。特に下りの階段を移動する時には注意が必要です」と語る。

 ちなみに、電車以外にも人混みになるケースとして音楽フェスも挙げられるが、「刃物を持った人が暴れたり地震が発生したりすれば危険な状態にはなるでしょうが」 としつつも、「不測の事態が起きない限り、人混みで圧死する可能性は低いです」と指摘した。

◆日本は対策がしっかりしている 

 日本ではハロウィン圧死事故のような事故が起きにくいことがわかったが、そのなかでも大きな要因を説明する。

2001年兵庫県明石市で“明石花火大会歩道橋事故”が起きるなど、長年密集が原因で起きた事故を踏まえたうえでの警備体制を敷きます。過去の痛ましい事故からの経験や知識の積み重ねにより、多少密集しても安全に過ごすことができるようになりました。ただ、韓国では今回のような大規模な密集に関する事件をあまり経験してこなかったため、雑踏警備の重要さを認識できておらず大惨事が起こってしまったのではないでしょうか」

 最後に「年末年始に向かってクリスマスや初詣など、人混みが予想されるシチュエーションは増えます。日本ではリスクは低いとはいえ、しっかりと警備員や警察の声を聞いたうえで行動するようにしましょう」と締めた。

 イベントの際には警備員や警察に意識を向けることは少ない。ただ、私達を守ってくれている重要な人達であり、感謝の気持ちを持っていたい。

取材・文/望月悠木

【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter@mochizukiyuuki

写真はイメージ


(出典 news.nicovideo.jp)