値上げされる。

 東京商工リサーチ(TSR)は国内の大手外食122社を対象に、2022年1月から11月上旬までの値上げ、および値上げによる価格改定を調査した。その結果、大手外食の約7割がメニュー価格の値上げを実施していることが分かった。前回調査した9月以降も35社の46ブランドが値上げに踏み切り、ラッシュが続いている。

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●2度値上げした企業は20%超、3度実施した企業も

 値上げ回数は「1回」が54社(構成比44.2%)と半数近くを占めた。一方で「値上げしていない」とした企業は40社(同32.7%)だった。複数回の値上げを実施した企業は、「2回」が25社(同20.4%)、「3回」が3社(同2.4%)となった。値上げを複数回実施したのは、ファストフードや中華・ラーメン回転寿司など、1品当たりの単価が安い業態で多く見られた。

●「5%以上10%未満」の値上げが最多

 各社の値上げ対象のメニューから代表的な商品を抽出し、その値上げ幅を算出したところ、9月中旬から11月上旬の間に値上げ幅が判明した31ブランドのうち、最多レンジは「5%以上10%未満」の12ブランド(構成比38.7%)だった。10%以上の値上げは11ブランド(同35.4%)となり3割以上を占めた。

●夏までファミレスに集中していたが、レストランなども続々値上げ

 業態別に見ると、前回(9月)の調査に続き「中華・ラーメン」(今回18、前回16)が最多だった。麺やスープ材料の値上げの影響が続いていると考えられる。

 次いで、前回4位の「レストラン」が(今回16、前回9)、前回2位のステーキ・焼肉(今回14、前回12)や、同3位の「ファストフード」(今回・前回12)を抜いて2位に。レストランの値上げは、夏まで最大手のファミレスチェーンに集中していたが、高級価格帯や、和食メニューが主力のレストランチェーンなども新たに値上げを表明し、件数を押し上げる結果となった。

 値上げの理由で最も多かったのは、「原材料の高騰」(89ブランド・構成比84.7%)と8割超を占めた。次いで、「物流」(53ブランド・同50.4%)、「資源(原油含)」(28ブランド・同26.6%)、「人件費」(23ブランド・同21.9%)と続いた。東京商工リサーチは「今後、冬場に燃料の最需要期を迎えるが、最低賃金の上昇による人件費の負担増も不可避で、さらに値上げが増える可能性を残している」とコメントした。

 大手外食チェーン122社のうち、22年に値上げや価格改定を実施済みまたは実施予定の企業は82社に達し、対象ブランド105に上る。9月調査から2カ月で35社、46ブランドが新たに追加された。当初、ファストフードコーヒーショップステーキ・焼肉など、輸入食材を中心に扱う業態で値上げが相次いだが、その後、値上げを公表しなかった居酒屋レストラン業態にも拡大する傾向にある。

 秋以降は、長引く原材料高や資源価格、人件費の上昇が避けられず、2回目、3回目の値上げを表明する企業も見られた。値上げの例として、マクドナルドハンバーガーは年初の110円から150円に、ミスタードーナツの人気商品「ポン・デ・リング」は110円から140円と、年内にそれぞれ36.3%、27.2%の大幅値上げとなった。

 東京商工リサーチは「ウクライナ情勢や円安、物流コスト高で春以降、物価高が止まらず、外食への消費マインド低下が危惧されている。当面、企業側の「値上げ」と消費者の「値上げ受容」の両にらみ状態が続くだろう」と分析している。

 調査は、国内の主な外食大手122社を対象に、22年1月1日以降に値上げを実施、または実施予定を文書、Webサイト、開示資料などで公表した企業を集計した。7月、9月に続き、3回目の調査となる。

「大手外食チェーン値上げ・価格改定」に関する調査


(出典 news.nicovideo.jp)