東京商工リサーチは「大手外食チェーン値上げ・価格改定」に関する調査を実施した。その結果、大手外食の約6割がメニュー価格の値上げに踏み切ったことが分かった。資源価格や原材料価格の高騰、円安を背景に仕入コストの上昇が続いたことが背景にある。
●業態別・値上げを実施するブランド数
まず業態別に値上げを実施するブランド数を見ると、前回(7月)の調査で最多だった「ファストフード」(前回11ブランド)を抜いて、「中華・ラーメン」(前回9→今回16)が最も多かった。小麦粉を材料とする中華麺などのメニューを中心に、値上げが続いた。
次いで多いのは「ステーキ・焼肉」(同8)、「ファストフード」の各12ブランドだった。またレストラン(前回6→今回9)や居酒屋(前回4→今回6)など、多様なメニューを総合的に扱うチェーンでも値上げが目立った。
●値上げ幅
次いで各社の値上げ対象のメニューから代表的な商品を抽出し、その値上げ幅を算出した。
値上げ幅が判明した44ブランドのうち、最多レンジは「5%以上10%未満」の25ブランド(構成比56.8%)だった。10%以上の値上げは11ブランド(同25.0%)あり、前回(同19.4%)から5.6ポイント上昇している。コーヒーや単品メニューを中心に、値上げ幅を押し上げる結果となった。
●値上げの理由
値上げの理由を見ると、値上げを公表した88ブランドのうち、最も多かったのは「原材料」の高騰で75ブランド(構成比85.2%)だった。以降は「物流」46ブランド(同52.2%)、「資源(原油含)」23ブランド(同26.1%)、人件費19ブランド(21.5%)と続いている。
大手外食チェーン122社のうち、2022年に値上げや価格改定を実施済み、または実施の予定は71社で、対象ブランドは88にのぼる。前回の調査から2カ月間で19社、23ブランドが追加された。例えばマクドナルドではハンバーガーを110円から130円に、モスバーガーではモスバーガーを390円から410円に、ロッテリアではハンバーガーを209円から220円に値上げしている。
スケール・メリットを生かして商品価格とは別の方法でコスト転嫁を図る大手外食チェーンでも、収益悪化が避けられず値上げする動きが目立つ。今年に入ってすでに2回値上げを表明した外食チェーンも5社、5ブランドあり、1回の小幅な値上げではコスト上昇への対応が難しい異例の事態となっている。
東京商工リサーチが8月に実施したアンケート調査では、「原油・原材料の高騰に伴うコスト上昇分を製品価格に転嫁できない」と答えた企業は48.5%にのぼった。中でも飲食業を含む「サービス業他」は75.1%と高水準だった。
(出典 news.nicovideo.jp)
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