深夜1時はかなりキツイ。在宅勤務にも問題がある。

大半の飲食店で人数制限や滞在時間の制限がなくなったり、屋外で会話が少なければマスクが不要になるなど、やっとコロナによる規制が緩和されはじめています。一方でビジネスシーンでは、パソコンタブレットを使ったビデオ会議も定着しました。



写真はイメージです(以下同じ)



出勤とリモートワークを選べたり、ライフスタイルにあわせて使いこなしたりできれば、作業効率もますますアップしますよね。ただ、今ビデオ会議を頻繁にこなしている一部の人々が“ある深刻な事態”におちいっているというのです。一体どういうことでしょう。


◆「家にいるのに帰りたい」永遠に残業させられる苦しみ
「家で過労死しそう」と青ざめた表情で力なく呟くのは、広告代理店で働く二宮有紀さん(仮名・27歳)です。


ビデオ会議やオンライン取材が続き、合間に一瞬の休憩をとることすら相当難しい日々です。というのも、だいたいが被るようにして予定を詰め込んだり、詰め込まれたりしてしまうからなんです。ひとつのビデオ会議が終わったら、即、次の会議に遅れて入る、そしてまた終わったら取材中のビデオ会議へ……。


リモートワークで移動時間がないから、効率重視でいくらでも仕事を詰め込めてしまうんですよね。最高は一日に14件のビデオ会議と取材に立ち合いました。普段使っている2000円くらいのウェブカメラを酷使してしまって、毎月買い替えている気がします」



ウェブカメラをそんなに頻繁に使い潰すということからも、相当な激務っぷりが垣間見えますが……。


「いくらでも詰め込めちゃうんですよね。移動時間がない、雑談もないからすぐに本題(会議)に入れるというオンラインメリットが、逆に負担になっている状態です。そして、終業時間や定時という概念もないので、どこまでも残業できてしまう。


元々広告業界は、定時にあがる人なんてほとんどいないと思います。とくに私の会社はブラックで有名で、『25時からZOOMミーティングね』とか、『28時までにデータを送れ』とか。ひどいときは、『30時くらいまでいつでも電話に出られる状態でいてください』とクライアントや上司から言われることもあるんです」


30時!? それって、つまり次の日の朝6時ということですよね。あれ、一日って24時間じゃなかったっけ………。取材中にどんどん飛び出す真っ黒な“ブラック業界用語”に、ついていけません。


◆切り替えができない! 家に帰れない! だって家だもん
かなりのブラック業界ということも問題ですが、リモートワークになってより“仕事と生活の境界線が曖昧になってしまった”という二宮さん。



「今までだったらどんなに激務でも、“切り替え”があったんです。


直接人と会って進める仕事がほとんどだったので、クライアントに会うまでの移動や、朝の通勤ラッシュだって、『今から仕事するぞ』っていうスイッチを入れる時間になっていました。だから、しんどいな、だるいなと思ってはいても、『しょうがない……よしやるか』って心構えもできていたんです。


でも今はそれすらできなくて、次から次にどんどん数をこなさないといけない。自分でコントロールできればいいのですが、人の頼みを断り切れない性格なのでどうしても受けてしまって……。


家で壊れたウェブカメラを直しながら、『家に帰りたい! 帰らせて!』って叫ぶことも結構あります。かなり末期ですよね(笑)


◆「仕事は顔を合わせてなんぼ!」上司に振り回される
元々人からの頼みを断りづらい、過剰に気を遣ってムリをしてしまうという性格もあるそうですが、今のストレスの大きな原因は“些細なことでもすぐにビデオ会議をしたがる上司”にもあるそうです。



リモートワークが推奨される前は、『仕事は人と直接会って、目を見て会話をしてなんぼだ!』と、どんな小さい用事でも会って話すことを最優先する上司が多くて。とくに50代の人ですね。それも信用を築いたりする上で、大切なのも分かります


でも、リモートワークになってからも、すぐにビデオ通話をしようとするんですよね。ちょっとした作業の申告や、事務的な報告も、毎日何回もZOOMの会議に招待するURL一方的に送られてきて、『仕事はどんな些細な用事でも、顔を見てするものだ』って……。


結局、今まで雑談や世間話など、ダラダラと仕事をしたフリをして息抜きもできていたのに、それができなくなって寂しいのかもしれません。ムダZOOMに仕事を圧迫されて、20代・30代の社員がリモートワークで50代の上司に振り回されているという話もよく聞きます。


家にいると逃げ場がないので、どんどん追い詰められてしまう。パソコンの電源を引っこ抜いて、コードをちぎりたくなるくらい、コロナ下になってからずっと精神的に追い詰められています……」


◆たまにはカメラUSBを引っこ抜いてしまえ
同僚やブラッククライアント無茶振りに、面倒くさい上司の相手。そしてどんどんスケジュールが詰め込まれていくビデオ会議。話を聞いているだけでも、とてもストレスを感じます。



そもそもビデオ会議自体が、人を疲れさせるものだとご存知でしょうか。米スタンフォード大学の研究グループの報告によると、私たちは対面で無意識に駆使しているボディーランゲージやジェスチャーを駆使しているのですが、それがオンラインになるとより分かりやすく大げさにリアクションをとる必要があるので、心身ともに負担が増大するそうです。


また、それぞれが画面に映る参加者の顔と向き合うので、多くの参加者からの視線を浴びてストレスも跳ね上がるのだとか。


自分でも気が付かないうちに、多くのストレスに晒されているオンラインでのビデオ会議。ときにはビデオ機能をオフにして顔出しを控えたり、音声のみでの参加も検討したいですね。目に見える画像や音声のやりとりよりも、チャットスタンプなどリアクション機能を活用するのもグッド。なにより、体や心が悲鳴をあげるほど詰め込むのは御法度です。効率より、自分の健康。上司の無茶ぶりより、心の余裕。


便利さと効率に溺れてしまう前に、自分が発するSOSに耳を傾けたいですね。


シリーズ新しい生活様式がしんどい」―


<取材・文&イラスト 赤山ひかる





(出典 news.nicovideo.jp)