マスクが理由?

 新型コロナウイルスの感染拡大によって世界各国で観光客の受け入れを停止していたが、今年に入り、多くの国がコロナ禍前の規制の水準に戻しているようだ。

 日本も外国人観光客の受け入れを開始したが、人数を制限してツアー客に限定するなどハードルは世界の中でも高め。ワクチン接種の有無にかかわらず、出国72時間以内にはPCR検査の実施も必要になる。検査のフォーマットは日本が認めているものしか基本的に許可されていないため、日本式フォーマットを発行してくれる検査場所を探す必要があり、郊外に住む場合は日本式フォーマットを発行する遠くの検査場所まで行かなければならない。また観光客は必要な情報を事前登録する必要があり、自身が住む国の領事館とやりとりしなければならないのだ。こういった事情もあり、日本に旅行に行くことが現実的でない今、ヨーロッパでは日本への興味が薄れつつあるようだ。

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 コロナ禍前、ヨーロッパでは日本への旅行が人気で、ドイツ在住の日本人は「日本の文化を気に入っている人は多く、毎年行くという人も珍しくはなかった」という。しかし現在、日本に行くにはハードルが高く気軽には行けない。ドイツ在住のドイツ人は、今は燃料代が上がって日本行きのチケットが高いこともあるが、それを差し引いても「日本への関心は薄れてきている」という。「いつか行けるかもしれないと思う時期は過ぎて、もう数年は日本への観光は無理だと思ったら興味がなくなった」と話す。

 そんな中、新たに人気を博している国がタイだ。

 タイは6月末まではワクチン接種に加え、「タイランドパス」と呼ばれる事前入国申請と保険の加入が必要だったが、7月からは両方が撤廃される。しかしながら、元から保険に入って旅行に行くという人も多く、元々大きな手間をとるものではなかった。さらにタイではマスクの着用義務が屋内外含めて解除されている。現在、ヨーロッパの多くの国で、公共交通機関など一部の場所を除いてマスク着用義務が解除されているため、ヨーロッパではすでに着用する習慣が薄れてきている。息苦しいため嫌う人も多く、義務が解除された影響は大きそうだ。

 実際にヨーロッパからタイに旅行に行くという人は多いようだが、現地では観光客が嫌がられることはなくウェルカムの雰囲気だという。EU圏のニュースを発信する海外サイト『SchengenVisaInfo』は、タイ国民のおよそ69パーセントが今年の6〜9月にヨーロッパ諸国へ旅行する計画があるとヨーロッパの保険会社の調査結果を伝えている。自分たちも旅行への計画を立てており、一時の「観光客がウイルスを運んでくるかもしれない」という抵抗や不安はほとんどないのかもしれない。マスクについては着用義務が屋内含め全ての場所で解除されているものの、「観光客という立場もあってか、任意で着用している観光客も多かった」(6月末にタイ旅行に行ったフランス人)そうだ。

 そんな中、日本への興味を失った人たちによる奇妙な現象も起きている。彼らはタイで吉野家サイゼリヤなど日本のチェーン店の食事を楽しんでいるというのだ。タイに旅行したドイツ在住ドイツ人は「日本に行かなくても日本の食事がタイで食べられる。価格も日本とほぼ同じだし、これからもタイで日本を味わえばいいと思った」「多くのお客さんが欧米人だった」と言う。日本は現在円安で、観光客は来やすい環境であるが、「チェーン店の味がアジアの他の国で味わえることもそうだが、日本でしかできないことがアジアの他の国でもできるようになっている。円安だとしても他のアジアの国の方が全体的に安いからいい」と説明した。

 一方タイで、「コロナ陽性者が増えたため通訳がいる病院が満床。旅行に来るにはある程度、覚悟した方がいい」とガイドなどから言われたという人も複数いる。なお観光地でも英語が通じないことも多く「病院に行く際のタクシーや薬局などでも苦労するかも」と心配する声もあるようだ。

 まだまだどの国に行くにしても、多少のリスクを覚悟すべきなのかもしれない。しかしこのまま日本が観光客受け入れのハードルを下げなければ海外での日本に対する関心はどんどん薄れていくばかりだろう。

記事内の引用について
「69% Of Thai Plan to Travel to Europe From June to September This Year, Survey Reveals」(SchengenVisaInfo)より
https://www.schengenvisainfo.com/news/69-of-thai-plan-to-travel-to-europe-from-june-to-september-this-year-survey-reveals/

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(出典 news.nicovideo.jp)