イギリスにあるローマ帝国の遺跡で、紀元3世紀のものと思われる、「いちもつ」と悪口が刻まれた石が発見された。考古学者によると、ローマの兵士が仲間を侮辱するために彫ったものであるそうだ。
1700年前の人も今の人とやることはあまり変わらないなーってことだ。
石がメモ代わりの時代だったことから、刻まれた落書きはしっかりと後世に残されちゃったわけで、デジタルタトゥーならぬストーンタトゥーってやつだな。
【画像】 1700年前のローマ帝国時代のいちもつが彫刻された石
5月19日にローマ帝国の砦跡「ヴィンドランダ」で発見された問題の石の大きさは、幅40センチ、高さ15センチほど。石に落書きが彫られたのは3世紀頃だと考えられている。
そのすぐ北にある「ハドリアヌスの長城」は、カレドニア(現在のスコットランドや北部イングランド)のピクト人からイングランド北部を守るために築かれたもので、当時のローマ帝国の北限でもあった。
遺跡の発掘を行う「ヴィンドランダ慈善信託(Vindolanda Charitable Trust)」は、発掘調査をボランティアに頼っており、発見者はその1人である、ディラン・ハーバート氏だ。
「裏から見ると、その他と同様に普通の石ですが、ひっくり返すとはっきり文字が見えたので驚きました」と、ハーバート氏は声明でコメントする。
泥を落としてみると、かなりしっかり彫られたいちもつ彫刻の全貌が明らかになったのだという。
[もっと知りたい!→]なぜ古代彫刻像の息子スティックはあんなにも小さいのか?科学的に検証する。
発掘されたイチモツ彫刻石 / image credit:The Vindolanda Trust
一緒に書き記されていた悪口の内容は?
目を引くのはいちもつ彫刻だが、研究者がより関心を抱いているのは、一緒に彫られているSECUNDINUS CACOR」という文字だ。これは「Secundinus cacator」を略したもので、「セクンディヌス(人名)のウンコたれ」という意味であるとのこと。
考古学者にとって過去からのメッセージは常に素晴らしい贈り物だが、さすがにこれには面食らったようだ。
「石のメッセージを解読して眉をひそめました」と、ヴィンドランダ慈善信託のアンドリュー・バーリー氏は語る。

発見者のディラン・ハーバート氏。足元にあるのがいちもつ彫刻だ / image credit:The Vindolanda Trust
ローマ帝国では良く使用されていた男性器モチーフ
男性器をモチーフにしたオブジェを「ファルス」といい、ローマ帝国では特に珍しくなかった。金属製のいちもつは魔除けや加護、繁殖の象徴として男女問わずお守りとして身に着けていた。
ヴィンドランダはまだ4分の1程度しか発掘が進んでいないが、ここで発見されたファルスは今回で13点目だ。
最近のものとしては、2021年6月に発見されたイチモツを露出した裸の騎兵の彫刻が挙げられる。こちらは、幸運や豊穣祈願の為のものだったようだ。

裸の騎兵の彫刻石 / image credit:The Vindolanda Trust
前代未聞の悪い意味で使用されたいちもつ彫刻
だが今回のものは明らかに悪口で、それゆえに専門家を驚かせている。
彫刻の深さから、かなり時間をかけて彫ったものであることがうかがえる。落書きした人物は、よほど「セクンディスヌス」と言う人物のことを嫌っていたようだ。
そんなものを砦の人目につくところに置けば、相手を辱める効果はテキメンだったろう。現代のSNSでも悪口は絶えないが、そのローマ帝国版と言ったところだろう。
「落書きした本人がセクンディヌスと大きなトラブルにあったことは明白で、それを公にしたいほど恨みがあったようです」と、バーリー氏は説明する。
「1700年前、現地をぶらついていたセクンディヌスは、これを見てさぞ不快な思いをしたことでしょう」
セクンディヌスはその汚名を21世紀にまで引き継がれてしまったわけで、お気の毒としか言いようがないが、いったいなぜそこまで嫌われてしまったのだろう?
タイムトラベルができるなら、落書きをした本人に会ってインタビューをしてみたい。
References:Vindolanda discovery / Penis graffiti and explicit insult carved into ancient stone 'raises eyebrows' at Roman fort | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo

(出典 news.nicovideo.jp)
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