女性の地位がもっと向上してほしいです。

 東京五輪の開催前のすったもんだの影響でしょうか。「意思決定の場に女性を!」「若い人は男女平等は当たり前!」「昭和おじさんは撤退させるべし!」といった空気が息を吹き返してきました。

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 といっても、残念なのは社会全体に「女性を!」という空気があるわけではないってこと。

 女性活用の数値目標や、クオーター制へのアレルギーはいまだに強く、

「女性だから優遇されるとか、逆差別では?」「女性だからって能力不足の人をリーダーにするのは、会社にとってマイナスでしょ?」「優秀な男性がやる気をなくす」

 などの意見は、むしろ以前よりも多くなったのでは? と感じることもしばしばあります。

 女性軽視発言やセクハラについては多くの人たちが問題にするのに、いったいなぜ、「女性リーダーの数を増やす」ことには否定的なのでしょうか。

「だって若い女性の専業主婦志向、高まってるし」「だって女性は管理職になりたがらないし」「まずは女性の意識改革でしょ?」

 といった声が聞こえてきますが、「日本」が女性活躍後進国であって、「女性」が問題ではないのです。

●「社会の問題」と「個人の問題」は違う

 「社会の問題」から「個人の問題」にすり替えてしまうことは、問題の本質に向き合っていません。

 女性は人口の半分いるのに、衆議院議員に占める女性の割合が9.9%なのは明らか不自然です。

 労働力人口総数に占める女性の割合は 44.4%なのに、管理職に占める女性の割合が8.9%なのも明らかにおかしい。

 入社したときには「4割超」が女性なのに、管理職になると「1割以下」になってしまう正当な理由を、私はいままで聞いたことがありません。結局、階層組織の「上」の人たちが、女性に期待していないのです。

 その結果として、「金メダルがじり事件」やら「女性の会議は長い発言」、さらには「女性でも殴り合い発言」といった事態が相次いでいる。ありとあらゆるジェンダーランキングで、日本は先進国中の最下層を爆走し続けている。

 教条主義、前例主義が横行し、世界の波に完全に乗り遅れ、女性=非正規、女性=低賃金、女性=ケア労働という理不尽に加え、男性社員が育児休暇や介護休暇を取りたくても取れない状況が続いているのです。

 女性問題は多岐にわたり、その都度コラムでは取り上げていますが、「数」は極めて重要です。

 世界の先進国が「クオーター制」を取り入れているのも、「数」の重要さを理解しているからに他なりません。

 クオーター制は、ポジティブアクション(アファーマティブアクション)の一つで、もともとは、米国のリンドン・ジョンソン大統領の演説がきっかけとされています。人種差別を禁じた1964年成立の公民権法の精神を基本とし、これに実効力を持たせるため、主として大統領令に基づき推進されてきた「差別を積極的に是正する措置」です。

 どんなに「人種差別はいけません」「肌の色の違いで機会が奪われるようなことがあってはいけません」と啓蒙したところで、差別を根絶することは難しい。そこで強制的に差別される人たちが抱える“重し”を見える化し、それを軽減するための措置や、不利な立場に置かれる人たちの視点がしっかりと生かされるような法令や制度を作りました。

 時代の移り変わりとともに、人種などのマイノリティーへの施策から、ジェンダーの視点がクローズアップされるようになり、女子差別撤廃条約が国連で採択されました。ここでは、「事実上の男女の平等を促進することを目的とする暫定的な特別措置」と定義し、これが国際的なジェンダー視点におけるポジティブアクションの定義と理解されています。

 要は、「仕方がない」と諦められていたり、「そこに何もない」かのごとく無視されたり、ないがしろにされたりしていた問題点を是正し、「全ての人がより良く生きられるために、全ての人の尊厳を守る」ための、強制的な動きを意味している。

 「女性だから」「小さな子どもがいるから」「結婚しているから」といった理由で、雇用や昇進の機会が失われてしまうことがない、全ての人の自由と幸福のための強制的な措置こそが、クオーター制なのです。

 ところが、日本ではクオーター制の議論すらまともに行われてきませんでした。掲げられた数値目標は、「実態に即した形」という聞こえのいい言葉で、実質的には消滅しています。

 クオーター制を逆差別とする根強い意見がありますが、実際には、国内外の研究でクオーター制を導入した方が「男性の能力が引き出される」ことが示されています。

●男性の能力を引き出すワケ

 多くの実験研究で、男性の場合、競争相手がいる方がパフォーマンスが向上することが分かっていますが、同じグループに女性がいることで「僕は絶対に競争に勝てる」という自信が高まり、潜在的な能力を発揮しやすくなる可能性が分かっているのです。

 日本では、大阪大学などの研究者たちが興味深い実験を行っています(「自信過剰が男性を競争させる」2009年)。

 この実験では、グループの男女比にバリエーションをつけ、「全員男性」「全員女性」「男性3人女性1人」「男性2人女性2人」「男性1人女性3人」という5つのグループで、メンバーたちの競争への自信にどのような変化が生じるかを調べました。

 その結果、男性は「全員男性」のグループで競争するときは、自信がなくなる傾向が認められたのに対し、女性が競争に加わったとたん競争に勝つ自信が出ることが分かりました。一方、女性では「全員女性」のグループで競争するときには、「勝つ自信」を持てるのに対し、男性が競争に加わった途端、自信がなくなることが分かったというのです。

 「勝つ自信」は自分への信頼なので、自己効力感を高めます。人は「自分はできる」と信じる(=自己効力感)からこそ、能力を最大限に発揮できる。集中して、タスクに取り組むことが可能になります。

 もっとも、これらは「実験」という特別な環境での結果です。

 しかし、男性の自信が「女性が加わることで出る」という傾向は極めて興味深い結果ですし、女性が「全員女性でこそ自信が持てる」というのは、私の経験からも至極納得できます。

 長年、女性管理職たちのセミナーをやっているのですが、最初は牽制(けんせい)しあっている女性たちが時間と共に距離感を縮め、悩みを言い合い、互いに励まし合う姿を何度も見てきました。自分より上をいく“同志”に刺激を受け、「もっと頑張らなきゃ!」と自らを鼓舞していました。

 そして、最初は「自分がリーダーなんて無理。期待には応えられない」と自信喪失し、管理職になったことを悔やんでいた“女性リーダー”が、同じ立場の女性たちと一緒に過ごすことで、一回りも二回りも成長する姿を目の当たりにしました。

 男性の言動が「紅一点」により強化されることは以前から分かっていたのですが、その男性性の強化は「女性を排除することにつながる」という文脈で語られてきました。しかし、それが「クオーター制」を目指す上での男性性の強化ならば、話は別です。「僕は今までだってがんばってきた。女性に負けたくないし、負けるわけがない」と自己効力感を高められれば、男性だけの競争で「自信を失い能力発揮できない」という問題解決の期待にもつながります。

●「意見が言える組織」の作り方

 いずれにせよ、女性が多い組織はザワザワしていて、元気がいい。組織を変えたければ「若者、よそ者、バカ者を入れよ!」といわれるように、男社会特有の教条主義や前例主義に「よそ者」である女性が風穴をあけ、「意見が言える組織」が出来上がるのです。

 ただし、マイノリティーである「女性」が意見を堂々と言えるには、最低でもグループに「3割の女性」が必要不可欠です。1割=紅一点だと、男性に排除されるか、同化させるかのどちらかになり、2割だと遠慮して言いたいことが言えません。やっと3割になって意見が言えるようになり、4割になると「女性の視点って面白いね! もっと意見を聞きたい! みんなももっと意見だそうよ!」という空気が熟成され、性別などの属性の壁が崩壊します。

 さて、あなたはいつまで「男だから~」「女だから~」と言い続けますか? あるいは、「壁崩壊」に向かうための「変革の担い手」を目指すか?

 どちらが「自由」な社会なのか? 是非とも考えてみてください。

●著者:河合薫

 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。

 研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)、『他人の足を引っぱる男たち』(日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)、『コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)がある。

女性リーダーの数が増えない


(出典 news.nicovideo.jp)

あどれす

あどれす

当人達がそれを望んでいない、やる気が無いから。

バグ

バグ

本当に能力があるなら引っ張り上げるし押し上げるよ。本当に能力があるならね。性別関係なく

taku417

taku417

女政治家の言動が答えでしょ。まともなのいる?もちろん男でもろくなの居ないけど、どっちもどっちならわざわざ女を増やすなんてギャンブルしたくない。

kani

kani

外周りと内勤あったら内勤選ぶ女性がほとんどだからだろ

aya

aya

なんだろうな。。。男女関係(役割分担含め)って、太極図の様に混ざればいいのに、みんなカフェオレにしようとするから、変な感じになる。混ぜて均(なら)して、良い所も悪い所も無くそうっていうのが、気持ち悪い。

ALTAIR [ltr]

ALTAIR [ltr]

女性優遇排除で生きにくいって等を女性が言っていますが...

ゲスト

ゲスト

各自の基準で男だから、女だからで性差別をしてくるやつとクズと認識すればいいでしょう

かに(ずわい)

かに(ずわい)

人としてできる女性は結婚して家庭との両立になるけど、できる女性はできる男性と結婚してそこまで稼がなくても大丈夫だし、子供への投資を兼ねて家庭を大事にする。結婚できない女は仕事にまい進するけどそもそも人間的に問題があって管理職が無理

かに(ずわい)

かに(ずわい)

そもそも男自体の誰しもが管理職や出世するわけでも無いやん

天野龍雅

天野龍雅

単純に「やりたくない」人達もいるけどね。そうなると押し付けられるのは男性なんですが。

なぬー

なぬー

女性は理論的な対応より感情的な対応をしてしまう人が多いからじゃないかな。 理論的に対応できる女性も増えてきてるから、そういう人は事業を起こしたりしてもうまくやってるよ。 でもそうなると理論的な人は大きな名誉より堅実に実益を優先させるから、リスクに見合わない世界には飛び出さないんじゃないかな。 男は馬鹿だからおだて上げるとどんどん登っていくだけ。

ゲスト

ゲスト

つまりバカは選別せよと

UE

UE

女性だからリーダーにするのが反対なだけであって、優秀だから上司にするなら別に女性だろうがLGBTだろうが半魚人だろうが火星人だろうがコンピューター様だろうがそれこそなんでも構わんわ。

ひろぽん

ひろぽん

女には冒険心が無い。男は前人未踏の未知へ踏み出す冒険心がある。女は誰かに成功を保障されないと行動できない。これは性差だから仕方がない。

たこわさ

たこわさ

総合職ではなく一般職を選ぶからじゃねーの?

ku “zi” ra

ku “zi” ra

「パパ活」みたいなことが当たり前に存在してる時点で無理やろ

Foe

Foe

お前らの親玉のソフバンのトップを孫ハゲじゃなく女にしてからほざけカス

steppen

steppen

典型的な確証バイアス。理詰めで話してるつもりだろうが「明らかだ」「以前から分かっている」と言い切る部分にまったく根拠がない。「女は全員ピンク色が好きである」ぐらいの暴論を前提に展開されている、ただの妄想。 自分は正義の側に立っているという思い込みが正常な判断を狂わせている。

みょうが

みょうが

とりあえず女性を増やせ黒人を増やせって考え自体が、それこそ人を性別や人種でしか見てない差別じゃねえの?>>いずれにせよ、女性が多い組織はザワザワしていて、元気がいいこれ「会議が長くなる」とそう変わんなくね?

レイフ

レイフ

正当な理由をいままで聞いたことがありません?それはそうだろう。女性の管理職や議員数が少ない正当な理由を説明されても「絶対に違うもん!」と言ってかたくなに認めないからな。自分に都合の悪い意見だから切り捨てるようでは、いつまでたっても真実にはたどり着けない。